食欲不振に用いられる漢方薬はある?
「最近、食欲がわかない」
「少し食べただけでお腹がいっぱいになってしまう」
「夏になると食べる気が起きず、疲れやすい」
など、食欲不振に悩んでいる方は少なくありません。
食欲不振は、疲れやストレス、暑さなどをきっかけに一時的に起こることもあれば、胃腸の働きの低下や加齢、薬の副作用、病気などが関係していることもあります。
数日で自然に戻る場合もありますが、食欲が落ちた状態が長く続くと、栄養不足による体力の低下や体重減少につながることもあります。
市販の漢方薬にも、食欲不振に用いられるものがあります。
ただし、漢方薬は「食欲がない」という症状だけで選ぶのではありません。胃もたれや吐き気、だるさ、体力の低下、暑さによる疲れなど、ほかに現れている症状や体質も考慮して選ぶことが大切です。
また、食欲不振の背景に治療が必要な病気が隠れていることもあるため、漢方薬だけで様子を見続けるべきではないケースもあります。
この記事では、食欲不振に用いられる代表的な漢方薬8種類を紹介します。それぞれの特徴や症状に応じた選び方、服用時の注意点、医療機関を受診すべき目安についてもわかりやすく解説します。
食欲不振とは?主な原因
食欲不振とは、「お腹がすかない」「食事が食べられない、食べる気がしない」など、食べ物を摂りたいという欲求が低下したり、なくなったりした状態のことです。「食欲低下」「食欲減退」「食思不振」と呼ばれることもあります(出典元※1)。
食欲不振の原因は多岐にわたり、大きく分けると生活習慣やストレス、胃腸の働きの低下、加齢や社会的要因、病気や薬の副作用などがあります。原因が一つとは限らず、いくつかの要因が重なっている場合もあります。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
出典元※1:国立がん研究センター「CHEER!(チアー)|症状別アドバイス 食欲不振」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/CHEER/advice/010/index.html
生活習慣やストレスによるもの
精神的なストレスや肉体的なストレスがかかると、自律神経のバランスが崩れて食欲がなくなることがあります。運動不足や睡眠不足など、不規則な生活が続くことでも自律神経のバランスは乱れます。また、運動量が少ないと、食事からエネルギーを補う必要が減るため、食欲が落ちることもあります。
アルコールの摂りすぎにも注意が必要です。肝臓に負担がかかり、身体のだるさとともに食欲の低下が起こることがあります。
このほか、不安や気分の落ち込みなどの精神的な負担も食欲不振の要因になります。暑さで体力を消耗する夏場に食欲が落ちる、いわゆる「夏バテ」も身近な例です。
さらに、一人暮らしで孤独を感じている、買い物や食事の準備が難しいといった社会的な要因から、食欲がなくなることもあります。
胃腸の働きの低下によるもの
便秘や下痢、お腹の張り、胃のもたれ感、吐き気など、消化・吸収機能が低下していると、食欲不振につながることがあります。
また、胃カメラなどの検査で明らかな異常が見つからないのに、胃もたれやみぞおちの痛みなどの症状が慢性的に続く病気を「機能性ディスペプシア」といいます(出典元※2)。食後の胃もたれや、少し食べただけでお腹がいっぱいになる感じ(早期満腹感)が続く場合には、こうした胃の機能の問題が関係している可能性もあります。
出典元※2:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)」
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf
加齢や噛む・飲み込む力の低下によるもの
年齢を重ねると、若い頃に比べて食欲は低下しやすくなります。また、高齢になって噛む力や飲み込む力が弱くなった場合や、入れ歯が合わない場合なども、食事がしづらくなり食欲不振の要因になります(出典元※1)。虫歯や口内炎など口の中のトラブルが原因となることもあります(出典元※1)。
出典元※1:国立がん研究センター「CHEER!(チアー)|症状別アドバイス 食欲不振」
https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/CHEER/advice/010/index.html
病気や薬の副作用によるもの
食欲不振は、さまざまな病気によって起こることがあります。例えば、慢性膵炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍、がん、心不全、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症、風邪やインフルエンザなどの感染症、脱水などが挙げられます。うつ病や認知症など、こころや脳の病気でも食欲は低下します。
また、痛み止めや強心薬、抗がん剤や向精神薬、抗菌薬、睡眠導入剤など、さまざまな薬の副作用で食欲不振が起こることもあります(出典元※3)。新しい薬を飲み始めてから食欲が落ちた場合は、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。
食欲不振がある場合、医療機関では病気以外の原因も考慮しながら、血液検査や超音波検査、胃カメラなどで原因となる病気がないかを必要に応じて調べます。がん患者さんの症状緩和に関するガイドラインでも、まず食欲不振の原因を検討し、改善できる病態があれば治療を行うことが基本とされています(出典元※4)。
出典元※3:国立長寿医療研究センター「高齢者の食欲低下について 〜年を取るとどうして食欲がなくなるの?~」「食欲低下 薬を見直してみよう」
出典元※4:日本緩和医療学会「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン(2017年版)」
https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/gastro_2017/02_07.pdf
食欲不振に用いられる漢方薬8選
漢方薬は、食欲不振の原因や伴う症状、体質を考慮して使い分けます。例えば、胃もたれやみぞおちのつかえを伴う場合には六君子湯、だるさや気力の低下が目立つ場合には補中益気湯、暑さによる食欲不振には清暑益気湯などが選択肢になります。
ただし、食欲不振の背景に治療が必要な病気が隠れている場合もあります。漢方薬はあくまで症状に応じた選択肢の一つであり、食欲不振が長く続く場合や体重が減っている場合には、医療機関で原因を確認することが大切です。
ここでは、食欲不振に用いられる代表的な漢方薬8種類について、それぞれの特徴や適した症状を詳しく紹介します。
六君子湯|胃もたれやみぞおちのつかえを伴う食欲不振に
六君子湯(りっくんしとう)は、食欲不振に用いられる代表的な漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、「胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいもの」の胃炎や消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐などが効能・効果として記載されているほか、動物実験で食欲に関わるホルモン(グレリン)の分泌を促す作用が報告されていることも記載されています(出典元※5)。
日本消化器病学会の「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)」では、機能性ディスペプシアに対する六君子湯の使用が推奨されています(出典元※2)。また、がん患者さんの消化器症状に関するガイドラインでも、食欲不振に対する推奨の中で六君子湯が取り上げられています(出典元※4)。
もともと胃腸が弱く、少し食べただけで胃がもたれる、みぞおちがつかえて食が進まないといった方に向いています。後述する四君子湯と比べると、胃もたれや吐き気など胃の症状がよりはっきりしている場合に選ばれることが多い処方です。
このような方におすすめ:
- 胃もたれやみぞおちのつかえがあって食欲がない
- 少し食べただけでお腹がいっぱいになる
- 胃腸が弱く、疲れやすい、手足が冷えやすい
▼関連記事
六君子湯は市販で買える?効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説
出典元※5:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ六君子湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200141D1034_1?user=1
出典元※2:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)」
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf
出典元※4:日本緩和医療学会「がん患者の消化器症状の緩和に関するガイドライン(2017年版)」
https://www.jspm.ne.jp/files/guideline/gastro_2017/02_07.pdf
四君子湯|食が細く、疲れやすい方の食欲不振に
四君子湯(しくんしとう)は、胃腸が弱く、食が細い方に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、「やせて顔色が悪くて、食欲がなく、つかれやすいもの」の胃腸虚弱、慢性胃炎、胃のもたれ、嘔吐、下痢が効能・効果として記載されています(出典元※6)。
四君子湯は、六君子湯のもとになった基本的な処方です。四君子湯に半夏(はんげ)と陳皮(ちんぴ)を加えたものが六君子湯にあたります。そのため、みぞおちのつかえや吐き気などの胃の症状はそれほど目立たないものの、もともと胃腸が弱くて食が細い、疲れやすく顔色がすぐれないといった場合の選択肢となります。
このような方におすすめ:
- もともと食が細く、食欲がない
- やせ型で顔色がすぐれない
- 疲れやすく、胃腸が弱い
出典元※6:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ四君子湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200062D1020_1?user=1
補中益気湯|だるさや気力の低下を伴う食欲不振に
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、体力や気力が落ち、疲れやすい方に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、「消化機能が衰え、四肢倦怠感著しい虚弱体質者」の夏やせ、病後の体力増強、食欲不振、胃下垂、感冒などが効能・効果として記載されています(出典元※7)。
六君子湯が胃もたれやみぞおちのつかえなど胃の症状が中心の場合に用いられるのに対し、補中益気湯は手足のだるさや気力の低下など、全身の疲れが目立つ場合に選ばれることが多い処方です。過労が続いて食欲が落ちている方や、病気のあとに体力が戻らず食が進まない方などの選択肢となります。
このような方におすすめ:
- 疲れやすく、手足がだるい
- 気力が出ず、食欲も落ちている
- 病後や過労のあとに体力が戻らない
▼関連記事
補中益気湯は市販で買える?効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説
出典元※7:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200131D1065_1?user=1
人参養栄湯|病後や体力が低下したときの食欲不振に
人参養栄湯(にんじんようえいとう)は、体力が低下し、疲労感や食欲不振が続く方に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血が効能・効果として記載されています(出典元※8)。
補中益気湯と同じく体力や気力が落ちている方に用いられますが、人参養栄湯は手足の冷えや貧血傾向、ねあせなどを伴う場合に選ばれることがあります。病気や手術のあとに体力が落ちている方や、高齢で食欲と体力がともに低下している方などの選択肢となります。
ただし、地黄(じおう)や当帰(とうき)などの生薬を含むため、胃腸が非常に弱い方では、胃の不快感や下痢などが現れることがあります。服用後に胃腸の不調が強くなる場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
このような方におすすめ:
- 病後や手術後などで体力が落ちている
- 疲れやすく、食欲が戻らない
- 手足の冷えや貧血傾向がある
出典元※8:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ人参養栄湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200117D1030_1?user=1
清暑益気湯|夏バテによる食欲不振に
清暑益気湯(せいしょえっきとう)は、暑さによる体調不良に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、暑気あたり、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠、夏やせが効能・効果として記載されています(出典元※9)。
補中益気湯も効能に「夏やせ」が含まれますが、清暑益気湯は暑さに関連した不調に特化した処方です。夏になると食欲が落ちる、暑さでだるくて食事が進まない、夏場に体重が減りやすいといった、いわゆる夏バテの症状がある方の選択肢となります。
なお、強いだるさや頭痛、吐き気、めまいなどが急に現れた場合には、熱中症の可能性もあります。水分を摂れない、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、漢方薬で様子を見ず、速やかに医療機関を受診してください。
このような方におすすめ:
- 夏になると食欲が落ちる
- 暑さで体がだるく、食事が進まない
- 夏場に体重が減りやすい、下痢をしやすい
出典元※9:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ清暑益気湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200085D1020_1?user=1
半夏瀉心湯|吐き気や軟便を伴う食欲不振に
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)は、みぞおちのつかえや吐き気、下痢などを伴う胃腸の不調に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、「みぞおちがつかえ、ときに悪心、嘔吐があり食欲不振で腹が鳴って軟便又は下痢の傾向のあるもの」の急・慢性胃腸カタル、消化不良、神経性胃炎、胃弱、げっぷ、胸やけなどが効能・効果として記載されています(出典元※10)。
六君子湯と同じくみぞおちのつかえがある場合に用いられますが、半夏瀉心湯はお腹がゴロゴロ鳴る、便がゆるいといった腸の症状を伴う場合に選ばれることが多い処方です。体力が極端に落ちているというよりも、胃腸の不調そのものが目立つ方の選択肢となります。
半夏瀉心湯は甘草を比較的多く含む処方です。添付文書では、アルドステロン症やミオパチー、低カリウム血症のある方には使用しないこととされています(出典元※12)。
このような方におすすめ:
- みぞおちがつかえて食欲がない
- 吐き気や胸やけ、げっぷがある
- お腹がゴロゴロ鳴り、軟便や下痢になりやすい
出典元※10:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ半夏瀉心湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200123D1079_1?user=1
平胃散|食べ過ぎや胃もたれによる食欲不振に
平胃散(へいいさん)は、胃もたれや消化不良に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、「胃がもたれて消化不良の傾向のある」急・慢性胃カタル、胃アトニー、消化不良、食欲不振が効能・効果として記載されています(出典元※11)。
もともと胃腸が弱い方に用いられる六君子湯や四君子湯とは異なり、普段は胃腸の働きに大きな問題がない方が、食べ過ぎや飲み過ぎで胃もたれを起こし、食欲が出ないときなどに用いられることが多い処方です。食べたものがいつまでも胃に残っている感じがする、お腹が張るといった症状がある場合の選択肢となります。
このような方におすすめ:
- 食べ過ぎや飲み過ぎで胃がもたれている
- 食べたものが胃に残っている感じがする
- 胃もたれのせいで食欲がわかない
出典元※11:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ平胃散エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200128D1047_1?user=1
安中散|胃の痛みや胸やけを伴う食欲不振に
安中散(あんちゅうさん)は、胃痛や腹痛を伴う胃の不調に用いられる漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、「やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴う」神経性胃炎、慢性胃炎、胃アトニーが効能・効果として記載されています(出典元※12)。
ほかの処方が胃もたれや疲れやすさを中心に用いられるのに対し、安中散は胃の痛みがあることが選ぶ際の目安になります。ストレスなどで胃が痛み、食欲が落ちている方の選択肢となります。
ただし、胃の痛みは胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの病気によって起こることもあります。痛みが強い場合や長く続く場合、黒い便が出る場合などは、漢方薬で様子を見ず医療機関を受診しましょう。
このような方におすすめ:
- 胃の痛みがあって食欲がない
- 胸やけやげっぷを伴う
- ストレスで胃の調子が悪くなりやすい
出典元※12:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ安中散エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200001D1066_1?user=1
食欲不振に用いる漢方薬の選び方
ここまで紹介した漢方薬を、食欲不振の特徴や伴う症状ごとにまとめました。どの漢方薬が自分の症状に合っているかわからない場合は、以下の表を参考にしてください。
| 症状・体質 | 特徴 | おすすめの漢方薬 |
|---|---|---|
| 胃もたれ・みぞおちのつかえを伴う | 胃腸が弱く、少し食べただけで胃がもたれる、早くお腹がいっぱいになる | 六君子湯 |
| 食が細く疲れやすい | やせ型で顔色がすぐれず、胃の症状は目立たないが食欲がない | 四君子湯 |
| だるさや気力の低下を伴う | 手足のだるさや疲れやすさが強く、過労や病後に食欲が落ちている | 補中益気湯 |
| 病後などで体力が低下している | 病後や術後、高齢などで体力が落ち、冷えや貧血傾向、ねあせを伴うことがある | 人参養栄湯 |
| 夏バテによる食欲不振 | 暑さで体がだるく食事が進まない、夏場に下痢や体重減少が起こりやすい | 清暑益気湯 |
| 吐き気や軟便を伴う | みぞおちがつかえ、吐き気や胸やけがあり、お腹が鳴って軟便や下痢になりやすい | 半夏瀉心湯 |
| 食べ過ぎによる胃もたれ | 普段は胃腸が丈夫だが、食べ過ぎや飲み過ぎで胃がもたれて食欲が出ない | 平胃散 |
| 胃の痛みや胸やけを伴う | 胃痛や腹痛があり、胸やけやげっぷ、吐き気を伴うことがある | 安中散 |
同じ「食欲がない」という症状でも、胃もたれや吐き気など胃の症状が中心なのか、だるさや体力の低下など全身の疲れが目立つのか、暑さや食べ過ぎなどはっきりしたきっかけがあるのかによって、適した漢方薬は異なります。市販の漢方薬を服用しても改善しない場合や、どの漢方薬を選べばよいかわからない場合は、自己判断で服用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。
特に、食欲不振が長く続く場合や、原因のわからない体重減少がある場合、吐血や黒い便、強い腹痛、発熱などを伴う場合には、治療が必要な病気が隠れている可能性があります。漢方薬だけで様子を見続けず、早めに医療機関を受診することが大切です。
食欲不振で漢方薬を服用するときの注意点
漢方薬も医薬品であり、副作用が起こることがあります。また、症状や体質に合わない漢方薬では、十分な効果が得られない場合があります。さらに、食欲不振の原因によっては、漢方薬だけで対応することが適切ではない場合もあります。安全に服用するために、次の点に注意しましょう。
食欲不振のタイプや体質に合わせて選ぶ
食欲不振といっても、胃もたれやみぞおちのつかえがある、だるさや気力の低下が強い、暑さで食事が進まない、吐き気や軟便を伴う、胃が痛むなど、症状の現れ方は人によって異なります。そのため、同じ「食欲不振」であっても適した漢方薬は異なります。
例えば、胃もたれが中心の方に体力を補う処方を選んだり、食べ過ぎによる胃もたれに胃腸が弱い方向けの処方を選んだりすると、期待した効果が得られないことがあります。市販の漢方薬を選ぶ際は、食欲不振以外にどのような症状があるか、もともと胃腸が弱いかどうか、食欲が落ちたきっかけは何かなどを整理しておくと参考になります。自分に合った漢方薬がわからない場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
甘草の重複や副作用に注意する
今回紹介した8つの漢方薬は、いずれも甘草(かんぞう)を含んでいます。甘草を含む漢方薬では、血圧上昇やむくみ、低カリウム血症などをきたす偽アルドステロン症が起こることがあります。低カリウム血症が進むと、手足のだるさや脱力感、筋肉痛などが現れることもあります。
特に、複数の漢方薬を併用すると甘草の摂取量が増える場合があるため、注意が必要です。ほかの漢方薬や甘草・グリチルリチンを含む医薬品を使用している場合は、事前に医師や薬剤師に確認しましょう。
このほか、処方によっては肝機能障害や間質性肺炎などの重篤な副作用が報告されています。服用後にむくみや手足の脱力感、発疹などの異常が現れた場合は、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。特に、発熱や空咳、息苦しさ、皮膚や白目が黄色くなるなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
妊娠中・授乳中や持病がある方は医師・薬剤師へ相談する
妊娠中や授乳中は、漢方薬であっても自己判断で服用しないようにしましょう。妊娠初期のつわりによって食欲が落ちることもありますが、その場合も市販の漢方薬を選ぶ前に、かかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談することが大切です。
また、高血圧や心臓病、腎臓病などの持病がある方は、甘草による血圧上昇やむくみなどに注意が必要です。利尿薬などほかの薬を服用している方も、飲み合わせによって低カリウム血症が起こりやすくなる場合があります。持病がある方や普段から薬を服用している方は、市販薬やサプリメントも含めて服用中のものを医師や薬剤師に伝えたうえで相談しましょう。
改善しない場合は漫然と服用を続けない
漢方薬を服用しても食欲が戻らない場合や、症状が悪化する場合は、自己判断で服用を続けないようにしましょう。
食欲不振は、胃腸の病気だけでなく、心臓や腎臓、甲状腺の病気、感染症、うつ病などさまざまな病気によって起こることがあります。原因となる病気がある場合には、その治療を優先することが基本です。また、服用中の薬の副作用で食欲が落ちている場合もあります。食欲不振が続く場合は、漢方薬で症状を抑えようとするよりも、まず医療機関で原因を確認することが大切です。
漢方薬に頼らず受診すべき食欲不振のサイン
食欲不振の多くは、疲れやストレス、暑さ、食べ過ぎなどによる一時的なものです。しかし、なかには消化器の病気やがん、心臓や腎臓、甲状腺の病気、うつ病など、治療が必要な病気が原因となっている場合があります。医療機関では、食欲不振の原因を調べるために、必要に応じて血液検査や超音波検査、レントゲン検査、CT、胃カメラ・大腸カメラなどを行います(出典元※2)。
市販の漢方薬を服用しても症状が改善しない場合や悪化する場合は、自己判断で服用を続けず、医療機関を受診しましょう。特に、次のような場合には、オンライン診療だけでは適切な判断が難しく、内科や消化器内科などで対面の診察や検査が必要になることがあります。
- 発熱が続いている
- ほとんど食事や水分が摂れず、ふらつきや強いだるさがある
- 食欲不振が長く続いている、または徐々に悪化している
- 原因のわからない体重減少がある
- 皮膚や白目が黄色くなっている
- 食べ物や飲み物が飲み込みにくい
- 強い腹痛や繰り返す嘔吐がある
- 吐血や黒い便(タールのような便)がある
- 気分の落ち込みや不眠が続き、何をするのもおっくうに感じる
また、新しい薬を飲み始めてから食欲が落ちた場合は、薬の副作用が関係していることもあります。自己判断で薬を中止せず、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。
高齢の方では、食欲不振が続くことで栄養状態が悪くなり、体力や筋力の低下につながることがあります。本人が「年のせい」と思っていても、食事量が明らかに減っている、体重が減ってきたといった変化に家族が気づいた場合は、早めに医療機関に相談することが大切です。
出典元※2:日本消化器病学会「機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)」
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf
オンライン診療でも食欲不振について相談できます
「忙しくて医療機関を受診する時間が取れない」
「どの漢方薬を選べばよいかわからない」
「食欲が落ちた状態が続いていて、一度医師に相談したい」
という場合は、オンライン診療を利用する方法もあります。
オンライン診療では、食欲が落ち始めた時期やきっかけ、胃もたれや吐き気、だるさなどの伴う症状、体重の変化、服用中の薬などを医師に伝えられます。医師はそれらを確認しながら、漢方薬を含めた治療法や、必要に応じた受診方法について相談に応じます。
特に、次のような方はオンライン診療が役立つ場合があります。
- 忙しくて医療機関を受診する時間が取れない
- 市販の漢方薬の選び方がわからない
- 自分の症状に合った漢方薬について相談したい
- 夏バテや疲れによる食欲不振について相談したい
- 継続的に症状を相談したい
一方で、原因のわからない体重減少がある場合や、吐血や黒い便、強い腹痛、繰り返す嘔吐、飲み込みにくさ、皮膚や白目の黄ばみなどを伴う場合には、消化器の病気などが隠れている可能性があります。
このような場合は、血液検査や胃カメラなどの検査が必要になることがあるため、内科や消化器内科などで対面の診察を受けることが大切です。また、ほとんど食事や水分が摂れない状態が続いている場合は、点滴などの処置が必要になることもあります。
症状に応じて、オンライン診療と対面診療を適切に使い分けましょう。
たとえば『患者目線のクリニック』では、予約から診察・決済・薬の配送までを自宅で完結できます。薬は自宅配送のほか、最寄りの薬局で受け取ることも可能です。
まとめ
食欲不振には、疲れやストレス、不規則な生活、暑さなどによる一時的なものから、胃腸の働きの低下、加齢、薬の副作用、病気によるものまで、さまざまな原因があります。漢方薬を使用する場合も、「食欲がない」という症状だけで選ぶのではありません。胃もたれやみぞおちのつかえ、だるさや体力の低下、暑さによる疲れ、吐き気や軟便、胃の痛みなど、伴う症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。
市販の漢方薬を使用しても食欲が戻らない場合や、症状が悪化する場合は、自己判断で服用を続けず、医療機関を受診しましょう。特に、原因のわからない体重減少や、吐血・黒い便、強い腹痛、繰り返す嘔吐、飲み込みにくさなどを伴う場合は、治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。内科や消化器内科などで、対面の診察や検査を受けることが大切です。
「どの漢方薬を選べばよいかわからない」
「食欲不振が続いていて治療について相談したい」
「忙しくて受診する時間が取れない」
という方は、オンライン診療で医師に相談することも選択肢の一つです。食欲が落ちたきっかけや伴う症状、体質などを伝え、自分に合った治療法について相談しましょう。
『患者目線のクリニック』では、高血圧や脂質異常症などの慢性疾患の定期受診に加え、食欲不振についても、医師がオンライン診療で対応可能と判断した場合は相談できます。症状の内容や経過、体重の変化、服用している薬などを確認したうえで、必要に応じて漢方薬を含めた治療方針について相談することが可能です。
診療時間は年中無休・6時〜24時のため、仕事や家事・育児で忙しい方でも、自宅や職場などから受診できます。来院や待ち時間が不要なため、「通院の時間が取れない」「待ち時間を減らしたい」という方にもおすすめです。
また、全国どこからでも受診でき、処方箋は近隣薬局での受け取り(最短30分)または自宅配送(最短翌日)に対応しています。なお、体重減少や吐血・黒い便など、症状によっては対面での診察や検査が必要になるため、医師が症状に応じた受診方法をご案内します。
【忙しい方のための、受診ステップ】
- 事前準備:専用アプリ『デジスマ診療』をインストールし、保険証と決済情報を登録
- 診察当日:自宅や外出先など、好きな場所でビデオ通話を待つだけ
- 受取:処方箋発行後、自宅配送または薬局受け取りが選べます
【費用について】
- 診察料:保険適用(自己負担割合に応じる)
- システム利用料:1,000円(税込)
- お支払い:クレジットカード決済のみ
※お薬代および配送料(配送希望時のみ)は別途発生いたします
オンライン診療について
オンライン診療と対面診療の違い
専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを使い、好きな場所で受診することが可能です。処方薬はご自宅へ配送します。
※厚生労働省『令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況』を参照し、中央値を用いた推定平均値。
オンライン診療の流れ
2. 診察前に問診を
Webで回答
予約登録時のメールアドレスへ送信される問診に回答してください。
3. 診察に必要な
アプリをインストール
予約完了メールの案内に沿ってアプリをダウンロードのうえ、クレジットカードやマイナンバーカードなどを登録してください。
※2回目以降はデジスマ診察券アプリからご予約ください。登録済みの情報を引き継ぐことができ、スムーズに予約できます。
予約時間になったら医師と診察
医師からスマホのビデオ通話がかかってきます
※予約時間前までにアプリホーム画面で「チェックイン」が必要です。
お薬の受け取り
どちらかを選択できます
薬剤師による服薬指導後、通常ポスト投函で配送。最短翌日受け取りも!
(※さらに23区内は16時までの服薬指導+890円で「当日到着便」をご利用可能です)
受け取りの薬局は全国どこでもご自身で指定できます。指定した薬局で、診察後30分程度でお薬の受け取りが可能です。
診察に必要なもの
- 診察時に必要なデジスマアプリをインストールしたスマホ
- クレジットカード(VISA / JCB / Mastercard ※Apple Pay・Google Payを利用した登録も可)
- マイナンバーカード(マイナ保険証)、または資格確認書
- (お持ちの方) 医療証、お薬手帳、検査結果など
オンライン診療の料金
大きく変わりません
(例)3割負担の場合の料金
診察料
初診 1,000円 前後
再診 500円 前後
お薬代
(対面診療時と同じ)
※オンライン診療のシステム利用料として、別途1,000円をいただきます。
※心療内科と婦人科はシステム利用料が異なります。
(心療内科 初診2,000円・再診3,000円、婦人科 初診1,000円・再診1,500円)
※医療証も利用可能です。(東京都以外は各自治体で後日精算が必要)
夜間・早朝等加算について
keyboard_arrow_down
診療報酬点数の算定基準に基づき、
下記の時間帯に診療を受けられる方に関して初診料及び再診料に加えて、
夜間早朝等加算をいただいております。
平日 6~8時・18~22時 / 土曜日 6~8時・12~22時
/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
上記時間帯を指定して予約を取られた方も加算の対象となりますので、あらかじめご承ください。
自己負担額
・1割負担の方 50円
・2割負担の方 100円
・3割負担の方 150円
一般オンライン診療
風邪|咳|のどの痛み|片頭痛(偏頭痛)|花粉症・アレルギー性鼻炎|高血圧|痛風(高尿酸血症)|糖尿病|脂質異常症|生活習慣病|胃痛|逆流性食道炎|便秘|下痢|貧血|新型コロナウイルス後遺症 など
インフルエンザ|新型コロナウイルス感染症 など
湿疹|かゆみ|乾燥肌|発疹|皮膚炎|蕁麻疹|酒さ|ニキビ・吹き出物|ヘルペス|アトピー|多汗症|あせも|汗疱|乾癬|帯状疱疹|口内炎|虫刺され|水虫・白癬(検査済みの方)|血管性浮腫|ひょう疽|円形脱毛症(AGA除く)など
アレルギー科
蕁麻疹|喘息|鼻炎|結膜炎|目の充血|花粉症 など
尿漏れ|頻尿|排尿困難|蛋白尿|尿糖|腎盂腎炎|膀胱炎|前立腺炎|尿路結石 など
片頭痛(偏頭痛)|緊張型頭痛|ストレスによる慢性頭痛 など
ストレスに伴う身体症状(食欲不振、下痢、倦怠感) など
不眠 など
つかれ、倦怠感、食欲低下、冷え、めまい、肩こり、腰痛、イライラ・不安などの慢性的な不調|かぜ症状、咳・たん、鼻炎、湿疹 などで漢方をご希望の方
風邪|鼻炎|便秘|下痢|発疹|アトピー など
その他
ドライアイ・麦粒腫(ものもらい)・結膜炎などの眼の症状|腰痛・関節痛・神経痛(※6ヶ月以内の処方歴が確認できるお薬手帳提出可能な方のみ)など
※治療・処方に対して検査が必要になる場合は対面診療をお願いすることがあります。
クリニック紹介
白月 遼(代表理事)
- 旭川医科大学 卒業
- 資格:医師、日本外科学会専門医、日本小児学会専門医、がん治療認定医、日医認定産業医
東京 虎ノ門・新橋で対面診療も受診可能
詳しくはこちら
よくある質問
Q オンライン診療に必要なものは何ですか? keyboard_arrow_down
ビデオ通話ができるスマホ、マイナンバーカード(マイナ保険証)・または資格確認書、クレジットカードがあれば、保険でのオンライン診療を受診できます。
Q 自分の症状でオンライン診療を受けられますか? keyboard_arrow_down
当院のオンライン診療では、内科・皮膚科・泌尿器科・アレルギー科・小児科などのさまざまな症状に対応しています。治療・処方にあたり、検査や処置が必要な場合は対面診療をお願いすることがあります。詳細はお問い合わせください。
Q 来院は不要ですか? keyboard_arrow_down
初診からオンライン診療を受け付けています。症状によっては、オンライン診療ではなく、外来での受診をお勧めするケースがあります。
Q 対面診療(外来)より高くなりますか? keyboard_arrow_down
外来時と比べて、診察料は大きな差はなく同水準です。交通費などがかからず、家やオフィスで他のことをしながら待てるので、負担は少ないです。
Q 薬の受け取りは、どうするのですか? keyboard_arrow_down
受診時に「配送」または「ご希望の薬局で対面での受け取り」のどちらかを選択いただきます。「配送」の場合、オンラインで薬局の服薬指導を受けていただき、薬をお届けします。「ご希望の薬局で対面での受け取り」の場合、当院から該当の調剤薬局へ処方箋を送りますので、直接薬局に行き服薬指導を受け、薬を受け取ります。
本記事は一般的情報の提供を目的とし、個別の診断・治療を指示するものではありません。診断・処方・診断書等の可否は医師が判断します。 内容は公開時点の情報で、法令・保険・料金・取扱いは変更されることがあります。緊急症状時は119等へ。 外部サイトの内容は保証いたしません。法令上の責任が認められる場合を除き、当院は本記事に基づく損害につき責任を負いません。
