副鼻腔炎(蓄膿症)に用いられる漢方薬はある?
「黄色っぽい鼻水がなかなか止まらない」
「鼻がつまって、頭が重い感じが続いている」
「かぜは治ったのに、鼻の症状だけが長引いている」
など、副鼻腔炎(蓄膿症)による症状に悩んでいる方は少なくありません。
副鼻腔炎は、鼻の奥にある「副鼻腔」という空洞に炎症が起こる病気です。かぜなどをきっかけに起こる急性副鼻腔炎と、症状が長く続く慢性副鼻腔炎があります。治療は、症状や重症度に応じた鼻の処置や薬物療法が中心で、必要に応じて抗菌薬が使われます。一方で、症状や体質に合わせて漢方薬が用いられることもあり、市販の漢方薬にも鼻づまりや蓄膿症を効能・効果とするものがあります。
漢方薬は「副鼻腔炎」という病名だけで選ぶものではありません。次のような点も考慮して選びます。
- 鼻水の色や粘り気
- 鼻づまりの強さ
- かぜのひき始めなのか、慢性化しているのか
- 体力があるかどうか
そのため、同じ副鼻腔炎でも、人によって適した処方は異なります。
ただし、副鼻腔炎のなかには、抗菌薬による治療が必要なもの、目の周りなどに炎症が広がり早めの受診が必要なもの、治りにくいタイプのものもあります。漢方薬だけで様子を見続けることが適切でない場合もあるため、注意が必要です。
この記事では、副鼻腔炎に用いられる代表的な漢方薬5種類を紹介します。それぞれの特徴や症状に応じた選び方、服用時の注意点、医療機関を受診すべき目安についても、医師がわかりやすく解説します。
副鼻腔炎とは?急性と慢性の違い
副鼻腔炎は、経過によって急性と慢性に分けられます。それぞれ原因や治療の考え方が異なり、なかには治りにくいタイプもあります。ここでは、副鼻腔炎の主な症状と、急性・慢性の違いについて解説します。
副鼻腔炎の主な症状
副鼻腔は、鼻の穴(鼻腔)の周りにある、骨に囲まれた空洞です。頬の奥にある「上顎洞」、目と目の間にある「篩骨洞」、額の奥にある「前頭洞」、さらにその奥にある「蝶形骨洞」の4種類が、それぞれ左右にあります。副鼻腔は細い通り道で鼻腔とつながっており、この部分の粘膜に炎症が起きて腫れたり、膿がたまったりした状態が副鼻腔炎です。
主な症状は次のとおりです。
- 鼻づまり
- 粘り気のある鼻水、黄色っぽい鼻水
- 鼻水がのどに流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」
- 咳
炎症が起きている副鼻腔の位置によっては、頭痛や頬の痛み、顔の圧迫感を伴うこともあります(出典元※1)。また、鼻づまりや粘膜の腫れによって、においがわかりにくくなる場合もあります。
出典元※1:日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版」
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00181/
急性副鼻腔炎|かぜに続いて起こることが多い
急性副鼻腔炎は、急に発症し、発症から4週間以内のものを指します。多くはかぜ(急性鼻炎)に引き続いて起こります。はじめはウイルス感染がきっかけとなり、数日後に細菌感染へ移行することもあります。主な原因菌は肺炎球菌やインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別の細菌)です。
日本鼻科学会のガイドラインでは、鼻漏(鼻をかむ頻度などの自覚症状)、顔や額の痛み(顔面痛・前頭部痛)、鼻汁・後鼻漏の性状と量から重症度を軽症・中等症・重症に分類しています(出典元※1)。 (※小児の場合は、不機嫌や湿性咳嗽などの症状も評価項目に含まれます)
実際、かぜなどのウイルス性の上気道感染症のうち、細菌性の副鼻腔炎を合併するのは2%未満と報告されています。抗菌薬を使わなくても、1週間後には46%、2週間後には64%(約6割)の方が治癒するとされています(出典元※2)。
また、鼻水の色だけでは、ウイルスによるものか細菌によるものかは区別できないとされています。「黄色い鼻水が出ている=抗菌薬が必要」とは限りません。一方で、いったん良くなりかけた症状が再び悪化する場合には、細菌感染を疑う必要があります(出典元※2)。
出典元※1:日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版」
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00181/
出典元※2:厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001630903.pdf
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)|症状が長く続く
急性副鼻腔炎が治りきらなかったり、繰り返したりして、副鼻腔の炎症が長く続く状態を慢性副鼻腔炎といいます。一般的には、症状が3か月以上続く場合を慢性副鼻腔炎と呼び、「蓄膿症」とも呼ばれてきました。
慢性副鼻腔炎では、副鼻腔と鼻腔をつなぐ通り道の粘膜が腫れて、たまった膿や分泌物が外に出にくくなります。その結果、鼻づまりや粘り気のある鼻水、後鼻漏が続きます。急性に比べて強い痛みは少ないことが多い一方、次のような症状が長く続き、日常生活に影響することもあります。
- 頭が重い感じ
- においのわかりにくさ
- 集中しにくさ
鼻の粘膜が腫れてできる「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれるポリープを伴う場合もあります。
慢性副鼻腔炎の治療は、医療機関での鼻の処置や鼻洗浄、薬物療法が中心です。改善しない場合には手術が検討されることもあります。漢方薬は、こうした治療に加えて、症状や体質に応じて用いられることがあります。
治りにくい「好酸球性副鼻腔炎」もある
慢性副鼻腔炎のなかには、「好酸球性副鼻腔炎」と呼ばれる治りにくいタイプもあります。好酸球性副鼻腔炎は、成人になってから発症する副鼻腔炎です。両側の鼻に多数の鼻茸ができ、粘り気の強い鼻水によって強い鼻づまりとにおいの障害が起こります。においがわからなくなることで、食べ物の風味を感じにくくなることもあります。
一般的な副鼻腔炎と異なり、抗菌薬は効かず、手術で鼻茸を取り除いても再発しやすいとされています。また、次のような病気を伴うことが多く、国の指定難病にも定められています(出典元※3)。
- 気管支喘息
- 解熱鎮痛薬によって喘息発作などが誘発される「NSAIDs不耐症(アスピリン不耐症)」
次のような場合は、市販薬や漢方薬だけで様子を見ず、耳鼻咽喉科で詳しい検査を受けることが大切です。
- 両側の鼻づまりが長く続いている
- においがわからない
- 喘息がある
出典元※3:厚生労働省「306 好酸球性副鼻腔炎」
https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001212066.pdf
副鼻腔炎に用いられる漢方薬5選
副鼻腔炎の治療は、原因や重症度に応じて、経過観察や薬物療法、鼻の処置、手術などを組み合わせて行います。漢方薬はこうした治療の代わりではなく、鼻づまりや粘り気のある鼻水などの症状に応じて検討される選択肢の一つです。
漢方薬を選ぶ際は、かぜのひき始めなのか、症状が慢性化しているのかといった経過に加え、鼻水の性状や体力、体質などを考慮します。ただし、高熱や強い顔の痛み、目の周りの腫れなどがある場合は、漢方薬で様子を見ずに医療機関を受診することが大切です。
ここでは、副鼻腔炎やそれに関連する鼻症状に用いられる代表的な漢方薬5種類について、それぞれの特徴や適した症状を紹介します。
葛根湯加川芎辛夷|鼻づまりが強い副鼻腔炎に
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は、かぜのひき始めに用いられる葛根湯に、「川芎(せんきゅう)」と「辛夷(しんい)」という2つの生薬を加えた漢方薬です。辛夷はモクレン類のつぼみで、昔から鼻の通りを良くする目的で用いられてきた生薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎が効能・効果として記載されています。
鼻づまりが強く、粘り気のある鼻水や、頭や額が重い感じを伴う場合に用いられることがあります。かぜに続いて鼻の症状が長引いている段階から、慢性的な鼻づまりまで幅広く使われる処方です。葛根湯がかぜのひき始めの寒気や首・肩のこわばりを目安に選ばれるのに対し、葛根湯加川芎辛夷は鼻づまりが主な症状の場合に選ばれます。
ただし、「麻黄(まおう)」を含むため、比較的体力がある方に向いた処方です。動悸や不眠、発汗などが現れることがあり、高血圧や心臓の病気、甲状腺の病気がある方は注意が必要です。また、葛根湯や小青竜湯などの麻黄を含む漢方薬、エフェドリン類を含むかぜ薬・鼻炎薬との併用にも注意しましょう。特に、重い高血圧や、狭心症・心筋梗塞などの心臓・血管の病気、高度の腎臓の障害、甲状腺機能亢進症、排尿障害がある方、汗をかきやすい方、高齢の方は注意が必要です(出典元※4、※7)。
このような方におすすめ:
- 鼻づまりが強く、鼻で息がしにくい
- 粘り気のある鼻水が続いている
- 頭や額が重い感じがある
出典元※4:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ葛根湯加川芎辛夷エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200015D1084_1?user=1
出典元※7:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200013D1123_1?user=1
辛夷清肺湯|黄色く粘る鼻水や熱感がある方に
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)は、辛夷に加えて、石膏(せっこう)、黄芩(おうごん)、山梔子(さんしし)など、体にこもった熱を冷ますとされる生薬を組み合わせた漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、鼻づまり、慢性鼻炎、蓄膿症が効能・効果として記載されています(出典元※5)。
特に、黄色く粘り気のある濃い鼻水が出る場合や、鼻の奥に熱っぽさを感じる場合、鼻づまりが強い場合に用いられることがあります。急性期だけでなく、慢性化した副鼻腔炎で膿のような鼻水が続く場合にも検討される処方です。葛根湯加川芎辛夷が寒気を伴うかぜに続く鼻づまりにも使われるのに対し、辛夷清肺湯は熱感や炎症が目立つタイプに向いています。麻黄を含まないため、麻黄が合わない方の選択肢にもなります。
一方で、体を冷やす性質の生薬が多いため、胃腸が弱く冷えやすい方には合わないことがあります。また、山梔子を含む漢方薬は、長期間服用すると腸間膜静脈硬化症という副作用が報告されているため、漫然と長く飲み続けないことが大切です(詳しくは注意点の項で解説します)。
このような方におすすめ:
- 黄色く粘り気のある鼻水が出る
- 鼻の奥に熱っぽさや乾燥感がある
- 鼻づまりが強く、においがわかりにくい
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出典元※5:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ辛夷清肺湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200080D1044_1?user=1
荊芥連翹湯|慢性化して炎症を繰り返しやすい方に
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)は、荊芥(けいがい)や連翹(れんぎょう)、黄連(おうれん)、黄芩、山梔子など17種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、蓄膿症、慢性鼻炎、慢性扁桃炎、にきびが効能・効果として記載されています(出典元※6)。
慢性的な鼻づまりや粘り気のある鼻水が続く慢性副鼻腔炎や慢性鼻炎に用いられることがあります。効能・効果に扁桃炎やにきびが含まれていることからもわかるように、鼻やのど、皮膚など首から上の炎症を繰り返しやすい体質の方に検討される処方です。辛夷清肺湯が熱感を伴う濃い鼻水に用いられるのに対し、荊芥連翹湯は症状が長引き、炎症を繰り返している場合の選択肢となります。
胃腸が著しく弱い方では、食欲不振や胃の不快感、下痢などが現れることがあります。また、甘草(かんぞう)や山梔子を含むため、ほかの漢方薬との併用や長期間の服用には注意が必要です。
このような方におすすめ:
- 慢性的な鼻づまりや鼻水が続いている
- 副鼻腔炎(蓄膿症)を繰り返している
- 扁桃炎やにきびなどの炎症も起こりやすい
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出典元※6:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ荊芥連翹湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200027D1052_1?user=1
葛根湯|かぜのひき始めの鼻症状に
葛根湯(かっこんとう)は、かぜのひき始めに用いられる代表的な漢方薬です。医療用漢方製剤の添付文書では、自然に汗が出ず、頭痛や発熱、悪寒、肩こりなどを伴う比較的体力のある方の感冒、鼻かぜなどが効能・効果として記載されています(出典元※7)。
副鼻腔炎そのものを対象とした処方ではありません。ただし、急性副鼻腔炎の多くはかぜに続いて起こるため、副鼻腔炎に移行する前の段階として、かぜのひき始めに鼻水や寒気、首や肩のこわばりがある場合の選択肢となります。かぜの初期を過ぎて鼻づまりが主な症状になってきた場合は、葛根湯加川芎辛夷などのほかの処方が検討されます。
葛根湯も麻黄を含むため、汗をかいている方や体力が低下している方、高血圧や心臓の病気がある方では注意が必要です。かぜのひき始めに短期間用いるのが基本であり、数日服用しても症状が続く場合や、黄色い鼻水や顔の痛みが出てきた場合は、医療機関で相談しましょう。
また、添付文書の重大な副作用には、頻度は不明ですが偽アルドステロン症やミオパチー、肝機能障害、多形紅斑(赤い発疹が多数現れる皮膚の症状)などが記載されています。服用後に発疹やかゆみ、手足のしびれ、全身のだるさなどが現れた場合は服用を中止し、医師や薬剤師に相談してください(出典元※7)。
このような方におすすめ:
- かぜのひき始めで、鼻水や鼻づまりがある
- 寒気や発熱があり、汗をかいていない
- 首や肩のこわばりがある
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出典元※7:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200013D1123_1?user=1
排膿散及湯|膿を伴う炎症がある方に
排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)は、桔梗(ききょう)、枳実(きじつ)、芍薬(しゃくやく)、甘草など6種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。名前のとおり、膿を伴う炎症に用いられてきた処方で、医療用漢方製剤の添付文書では、患部が赤く腫れて痛みを伴う化膿症などが効能・効果として記載されています(出典元※8)。
添付文書に副鼻腔炎の記載はなく、副鼻腔炎そのものを対象とした処方ではありません。ただし、臨床では、膿のような鼻水が続く場合などに、症状に応じて用いられることがあります。今回紹介したほかの4処方が鼻づまりや鼻水の性状を目安に選ばれるのに対し、排膿散及湯は「膿を伴う炎症」という点に着目した処方です。単独で使うだけでなく、医師の判断でほかの漢方薬や治療と組み合わせることもあります。
甘草を含むため、むくみや血圧上昇、低カリウム血症などを伴う偽アルドステロン症に注意が必要です。アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症のある方は服用できません。高熱や強い顔の痛みを伴う場合は、細菌感染に対する治療が必要なこともあるため、自己判断で服用せず医療機関を受診しましょう。特に排膿散及湯は、むくみや高血圧の治療に使われる一部の利尿薬と併用すると、低カリウム血症が起こりやすくなります(出典元※8)。
このような方におすすめ:
- 膿のような鼻水が続いている
- 炎症に伴う腫れや痛みが気になる
- ほかの治療とあわせて漢方薬について相談したい
出典元※8:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ排膿散及湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200118D1027_1?user=1
副鼻腔炎に用いる漢方薬の選び方
ここまで紹介した漢方薬を、鼻の症状や時期、体質ごとにまとめました。どの漢方薬が自分の症状に合っているかわからない場合は、以下の表を参考にしてください。
| 症状・時期 | 特徴 | おすすめの漢方薬 |
|---|---|---|
| 鼻づまりが強い | 鼻づまりが主な症状で、粘り気のある鼻水や頭・額の重さがある。比較的体力がある | 葛根湯加川芎辛夷 |
| 黄色く粘る鼻水・熱感 | 黄色く濃い鼻水が出て、鼻の奥に熱っぽさや乾燥感がある。鼻づまりが強い | 辛夷清肺湯 |
| 慢性化・炎症を繰り返す | 鼻づまりや鼻水が長引いている。扁桃炎やにきびなど首から上の炎症も起こりやすい | 荊芥連翹湯 |
| かぜのひき始め | 鼻水や鼻づまりに加えて、寒気や発熱、首・肩のこわばりがあり、汗をかいていない | 葛根湯 |
| 膿を伴う炎症 | 膿のような鼻水が続く。炎症に伴う腫れや痛みがある | 排膿散及湯 |
透明でサラサラした鼻水やくしゃみが中心の場合は、副鼻腔炎ではなくアレルギー性鼻炎や花粉症の可能性もあります。鼻水の性状や時期によって適した漢方薬は異なるため、同じ「鼻づまり」「鼻水」でも、表のどのタイプに近いかを確認することが大切です。
次のような場合は、自己判断で服用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。
- 市販の漢方薬を服用しても改善しない
- 症状が長引く
- どの漢方薬を選べばよいかわからない
特に、次のような症状がある場合は、漢方薬だけで様子を見ず、早めに医療機関を受診することが大切です。
- 高熱がある
- 顔や目の周りの強い痛み・腫れがある
- 物が二重に見える
- 激しい頭痛がある
- においがまったくわからない
細菌感染が強い場合や、炎症が目の周りなどに広がっている場合、好酸球性副鼻腔炎などの治りにくいタイプが隠れている可能性があります。
副鼻腔炎で漢方薬を服用するときの注意点
漢方薬も医薬品であり、副作用が起こることがあります。また、症状の時期や体質に合わない漢方薬では、十分な効果が得られない場合があります。副鼻腔炎の漢方薬は、かぜ薬や鼻炎薬と同時期に使われたり、慢性副鼻腔炎で長く使われたりすることもあるため、次の点に注意しましょう。
症状の時期や体質に合わせて選ぶ
副鼻腔炎といっても、症状の現れ方は人によって異なります。
- かぜのひき始めで寒気や首・肩のこわばりがある
- 鼻づまりが中心になっている
- 黄色く粘る鼻水に熱感を伴う
- 症状が慢性化して炎症を繰り返している
同じ方でも、時期によって適した漢方薬が変わることがあります。例えば、かぜのひき始めに葛根湯を服用していても、鼻づまりや粘り気のある鼻水が主な症状になってきた場合には、ほかの処方が適している可能性があります。
また、麻黄を含む処方は比較的体力がある方向け、体を冷やす性質の生薬が多い処方は胃腸が弱く冷えやすい方には合わないことがある、というように、体質によって向き不向きがあります。市販薬を服用しても改善しない場合や、自分に合った漢方薬がわからない場合は、自己判断で服用を続けず、医師や薬剤師に相談しましょう。
麻黄・甘草などの重複や副作用に注意する
今回紹介した漢方薬のうち、葛根湯加川芎辛夷と葛根湯には「麻黄(まおう)」が含まれています。麻黄には交感神経を刺激する成分が含まれており、動悸や不眠、発汗などが現れることがあります。特に、高血圧や心臓病、甲状腺機能亢進症などの持病がある方は注意が必要です。
また、辛夷清肺湯を除く4つの処方には「甘草(かんぞう)」が含まれています。甘草を含む漢方薬では、血圧上昇やむくみ、低カリウム血症などをきたす偽アルドステロン症が起こることがあります(出典元※4、※6〜※8)。
これらの生薬は、ほかの漢方薬や一部の市販薬にも含まれています。複数の薬を自己判断で併用せず、事前に医師や薬剤師に確認しましょう。服用中に動悸やむくみ、手足の脱力感などの異常が現れた場合は、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。
長く服用するときの副作用に注意する
漢方薬は比較的長い期間服用することもありますが、副作用がないわけではありません。処方によっては、間質性肺炎や肝機能障害などの重篤な副作用が報告されています。また、辛夷清肺湯や荊芥連翹湯に含まれる山梔子(さんしし)は、長期間の服用によって腸間膜静脈硬化症を引き起こすことがあります(出典元※5、※6)。
服用中に発熱や空咳、息苦しさ、強いだるさ、腹痛や下痢などの異常が現れた場合は、服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。また、効果が感じられないまま漫然と服用を続けず、医師や薬剤師に相談しながら継続の必要性を判断しましょう。
出典元※5:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ辛夷清肺湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200080D1044_1?user=1
出典元※6:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ荊芥連翹湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/rdDetail/iyaku/5200027D1052_1?user=1
治療中の薬がある方、妊娠中・授乳中の方は相談する
漢方薬は、ほかの薬との飲み合わせや、含まれる生薬の重複に注意が必要です。すでに処方薬や市販薬を使用している方は、自己判断で漢方薬を追加せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
また、妊娠中や授乳中の方、高血圧や腎臓病、肝臓病などの持病がある方は、漢方薬の種類によって使用に注意が必要な場合があります。安全に服用するためにも、事前に医師や薬剤師に確認することが大切です。
漢方薬だけで様子を見ずに受診すべき副鼻腔炎のサイン
副鼻腔炎はかぜに続いて起こり、自然に改善することもありますが、細菌感染が強い場合や炎症が周囲に広がった場合には、早急な治療が必要になることがあります。特に、目の周りに炎症が広がる眼窩内合併症や、髄膜炎・脳膿瘍などの頭蓋内合併症には注意が必要です(出典元※1)。
次のような症状や経過がある場合は、市販の漢方薬だけで様子を見ず、耳鼻咽喉科などの医療機関を受診しましょう。
- 高熱や強い顔の痛みが続いている
- 目の周りが腫れる、物が二重に見える、見えにくい
- 激しい頭痛や意識の異常がある
- 鼻水や鼻づまりが10日以上改善しない
- 一度良くなった症状が再び悪化した
- 片側だけの鼻づまりや血の混じった鼻水が続く
- においの障害や鼻づまりが長引いている
特に、視力の異常や意識障害、激しい頭痛などがある場合は、救急受診が必要です。また、嗅覚障害や両側の鼻づまりが長く続き、喘息を伴う場合には、治療が難しい好酸球性副鼻腔炎の可能性もあるため、専門的な診察が必要になります(出典元※3)。
糖尿病などの持病がある方も、症状が長引く場合は早めに医師へ相談しましょう。
夜間や休日などで受診の必要性や救急車を呼ぶべきか迷う場合は、救急安心センター(#7119)に相談できます。実施地域では、医師や看護師、相談員などから適切な受診先についてアドバイスを受けられます(出典元※9)。
出典元※1:日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版」
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00181/
出典元※3:厚生労働省「306 好酸球性副鼻腔炎」
https://www.mhlw.go.jp/content/10905000/001212066.pdf
出典元※9:総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate007.html
オンライン診療でも副鼻腔炎について相談できます
鼻づまりや鼻水が続いている場合、オンライン診療で医師に相談することも選択肢の一つです。症状の経過や鼻水の状態、体質などを伝えながら、漢方薬を含めた治療法について相談できます。
特に、次のような方はオンライン診療が役立つ場合があります。
- 忙しくて医療機関を受診する時間が取れない方
- 市販の漢方薬の選び方がわからない方
- かぜのあとに鼻づまりや鼻水が長引いている方
- 慢性的な鼻の症状について継続的に相談したい方
ただし、副鼻腔炎の診断には、鼻の中の観察やCTなどの検査が必要になることがあります。特に、高熱や強い顔の痛み、目の周りの腫れ、見え方の異常、激しい頭痛などがある場合は、速やかに対面での診察を受けましょう。
「患者目線のクリニック」では、予約から診察・決済・薬の配送まで自宅で完結できます。薬は自宅配送のほか、最寄りの薬局で受け取ることも可能です。鼻の症状や漢方薬について相談したい方は、お気軽にご利用ください。
まとめ
副鼻腔炎には、かぜに続いて起こる急性副鼻腔炎と、症状が長く続く慢性副鼻腔炎があります。急性副鼻腔炎の多くはウイルス感染がきっかけで、軽症であれば抗菌薬を使わずに経過をみることもあります。一方、慢性副鼻腔炎では、鼻の処置や薬物療法、手術などの治療が必要になることがあります。
副鼻腔炎に用いられる漢方薬にはさまざまな種類があり、鼻づまりや鼻水の状態、症状の経過、体質などによって適した処方が異なります。ただし、漢方薬だけで対応できるとは限らず、原因や重症度に応じた治療が必要です。
症状が長引く場合や悪化する場合は、自己判断で服用を続けず、医療機関を受診しましょう。特に、高熱や強い顔の痛み、目の周りの腫れ、見え方の異常などがある場合は、速やかな対面診療が必要です。
「どの漢方薬を選べばよいかわからない」「忙しくて受診する時間が取れない」という方は、オンライン診療で医師に相談することも選択肢の一つです。症状や経過を伝え、自分に合った治療法について相談してみましょう。
『患者目線のクリニック』では、高血圧や脂質異常症などの慢性疾患の定期受診に加え、副鼻腔炎による鼻づまりや鼻水についても、医師がオンライン診療で対応可能と判断した場合は相談できます。症状の内容や経過、伴う症状、服用している薬などを確認したうえで、必要に応じて漢方薬を含めた治療方針について相談することが可能です。
診療時間は年中無休・6時〜24時のため、仕事や家事・育児で忙しい方でも、自宅や職場などから受診できます。来院や待ち時間が不要なため、「通院の時間が取れない」「待ち時間を減らしたい」という方にもおすすめです。
また、全国どこからでも受診でき、処方箋は近隣薬局での受け取り(最短30分)または自宅配送(最短翌日)に対応しています。なお、症状によっては耳鼻咽喉科での対面診療や検査が必要になるため、医師が症状に応じた受診方法をご案内します。
【忙しい方のための、受診ステップ】
- 事前準備:専用アプリ『デジスマ診療』をインストールし、保険証と決済情報を登録
- 診察当日:自宅や外出先など、好きな場所でビデオ通話を待つだけ
- 受取:処方箋発行後、自宅配送または薬局受け取りが選べます
【費用について】
- 診察料:保険適用(自己負担割合に応じる)
- システム利用料:1,000円(税込)
- お支払い:クレジットカード決済のみ
※お薬代および配送料(配送希望時のみ)は別途発生いたします
オンライン診療について
オンライン診療と対面診療の違い
専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを使い、好きな場所で受診することが可能です。処方薬はご自宅へ配送します。
※厚生労働省『令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況』を参照し、中央値を用いた推定平均値。
オンライン診療の流れ
2. 診察前に問診を
Webで回答
予約登録時のメールアドレスへ送信される問診に回答してください。
3. 診察に必要な
アプリをインストール
予約完了メールの案内に沿ってアプリをダウンロードのうえ、クレジットカードやマイナンバーカードなどを登録してください。
※2回目以降はデジスマ診察券アプリからご予約ください。登録済みの情報を引き継ぐことができ、スムーズに予約できます。
予約時間になったら医師と診察
医師からスマホのビデオ通話がかかってきます
※予約時間前までにアプリホーム画面で「チェックイン」が必要です。
お薬の受け取り
どちらかを選択できます
薬剤師による服薬指導後、通常ポスト投函で配送。最短翌日受け取りも!
(※さらに23区内は16時までの服薬指導+890円で「当日到着便」をご利用可能です)
受け取りの薬局は全国どこでもご自身で指定できます。指定した薬局で、診察後30分程度でお薬の受け取りが可能です。
診察に必要なもの
- 診察時に必要なデジスマアプリをインストールしたスマホ
- クレジットカード(VISA / JCB / Mastercard ※Apple Pay・Google Payを利用した登録も可)
- マイナンバーカード(マイナ保険証)、または資格確認書
- (お持ちの方) 医療証、お薬手帳、検査結果など
オンライン診療の料金
大きく変わりません
(例)3割負担の場合の料金
診察料
初診 1,000円 前後
再診 500円 前後
お薬代
(対面診療時と同じ)
※オンライン診療のシステム利用料として、別途1,000円をいただきます。
※心療内科と婦人科はシステム利用料が異なります。
(心療内科 初診2,000円・再診3,000円、婦人科 初診1,000円・再診1,500円)
※医療証も利用可能です。(東京都以外は各自治体で後日精算が必要)
夜間・早朝等加算について
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診療報酬点数の算定基準に基づき、
下記の時間帯に診療を受けられる方に関して初診料及び再診料に加えて、
夜間早朝等加算をいただいております。
平日 6~8時・18~22時 / 土曜日 6~8時・12~22時
/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
上記時間帯を指定して予約を取られた方も加算の対象となりますので、あらかじめご承ください。
自己負担額
・1割負担の方 50円
・2割負担の方 100円
・3割負担の方 150円
一般オンライン診療
風邪|咳|のどの痛み|片頭痛(偏頭痛)|花粉症・アレルギー性鼻炎|高血圧|痛風(高尿酸血症)|糖尿病|脂質異常症|生活習慣病|胃痛|逆流性食道炎|便秘|下痢|貧血|新型コロナウイルス後遺症 など
インフルエンザ|新型コロナウイルス感染症 など
湿疹|かゆみ|乾燥肌|発疹|皮膚炎|蕁麻疹|酒さ|ニキビ・吹き出物|ヘルペス|アトピー|多汗症|あせも|汗疱|乾癬|帯状疱疹|口内炎|虫刺され|水虫・白癬(検査済みの方)|血管性浮腫|ひょう疽|円形脱毛症(AGA除く)など
アレルギー科
蕁麻疹|喘息|鼻炎|結膜炎|目の充血|花粉症 など
尿漏れ|頻尿|排尿困難|蛋白尿|尿糖|腎盂腎炎|膀胱炎|前立腺炎|尿路結石 など
片頭痛(偏頭痛)|緊張型頭痛|ストレスによる慢性頭痛 など
ストレスに伴う身体症状(食欲不振、下痢、倦怠感) など
不眠 など
つかれ、倦怠感、食欲低下、冷え、めまい、肩こり、腰痛、イライラ・不安などの慢性的な不調|かぜ症状、咳・たん、鼻炎、湿疹 などで漢方をご希望の方
風邪|鼻炎|便秘|下痢|発疹|アトピー など
その他
ドライアイ・麦粒腫(ものもらい)・結膜炎などの眼の症状|腰痛・関節痛・神経痛(※6ヶ月以内の処方歴が確認できるお薬手帳提出可能な方のみ)など
※治療・処方に対して検査が必要になる場合は対面診療をお願いすることがあります。
クリニック紹介
白月 遼(代表理事)
- 旭川医科大学 卒業
- 資格:医師、日本外科学会専門医、日本小児学会専門医、がん治療認定医、日医認定産業医
東京 虎ノ門・新橋で対面診療も受診可能
詳しくはこちら
よくある質問
Q オンライン診療に必要なものは何ですか? keyboard_arrow_down
ビデオ通話ができるスマホ、マイナンバーカード(マイナ保険証)・または資格確認書、クレジットカードがあれば、保険でのオンライン診療を受診できます。
Q 自分の症状でオンライン診療を受けられますか? keyboard_arrow_down
当院のオンライン診療では、内科・皮膚科・泌尿器科・アレルギー科・小児科などのさまざまな症状に対応しています。治療・処方にあたり、検査や処置が必要な場合は対面診療をお願いすることがあります。詳細はお問い合わせください。
Q 来院は不要ですか? keyboard_arrow_down
初診からオンライン診療を受け付けています。症状によっては、オンライン診療ではなく、外来での受診をお勧めするケースがあります。
Q 対面診療(外来)より高くなりますか? keyboard_arrow_down
外来時と比べて、診察料は大きな差はなく同水準です。交通費などがかからず、家やオフィスで他のことをしながら待てるので、負担は少ないです。
Q 薬の受け取りは、どうするのですか? keyboard_arrow_down
受診時に「配送」または「ご希望の薬局で対面での受け取り」のどちらかを選択いただきます。「配送」の場合、オンラインで薬局の服薬指導を受けていただき、薬をお届けします。「ご希望の薬局で対面での受け取り」の場合、当院から該当の調剤薬局へ処方箋を送りますので、直接薬局に行き服薬指導を受け、薬を受け取ります。
本記事は一般的情報の提供を目的とし、個別の診断・治療を指示するものではありません。診断・処方・診断書等の可否は医師が判断します。 内容は公開時点の情報で、法令・保険・料金・取扱いは変更されることがあります。緊急症状時は119等へ。 外部サイトの内容は保証いたしません。法令上の責任が認められる場合を除き、当院は本記事に基づく損害につき責任を負いません。
