桔梗湯は市販で買える？効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説

桔梗湯（ききょうとう）とは

「喉が痛くて声を出すたびにつらい」
「飲み込むときに引っかかるような感覚があって仕事に集中できない」

こうした急性の咽頭痛に対して、選択肢に挙がる漢方のひとつが桔梗湯（ききょうとう）です。

桔梗湯は、古くから「喉の腫れ・痛み」「嚥下時痛」「扁桃周囲の強い違和感」に対して用いられてきた非常にシンプルな処方で、生薬は桔梗（ききょう）と甘草（かんぞう）のわずか2種類です（参考※1）。

このシンプルな組み合わせにも関わらず、「喉の痛み」「声の出しづらさ」「飲み込むときだけ痛む」といった症状に対して、比較的早い段階で変化を感じられることの多い漢方薬です。

この記事では、桔梗湯の効果や構成生薬、向いている体質、副作用、服用方法から、オンライン診療での処方までを、医師の視点で詳しく解説します。

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※1 参考：医薬品インタビューフォーム「ツムラ桔梗湯エキス顆粒（医療用）」
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003044.pdf

桔梗湯の効果

桔梗湯が最も得意とするのは、喉の急性炎症による痛みです。

ウイルス性の咽頭炎や、風邪の初期で喉の違和感がぐっと強く出る場面、あるいは声の使い過ぎによって喉の表面がヒリヒリするような状態でも力を発揮します。

桔梗には患部の腫れを鎮めながら、喉まわりの循環を整え、分泌物の排出をうながす働きがあります（参考※2）。
甘草は炎症反応をやわらげ、喉の粘膜を保護し、痛みによる不快感を和らげる役割を担います（参考※2）。

臨床実感としては、「喉が赤い」「扁桃腺はそこまで腫れていないのに、とにかく痛い」というタイプに、相性が良い印象があります。ほかの西洋薬と併用して処方することも多いです。

「熱が高い」「膿栓がびっしりついている」といった細菌感染主体の強い炎症では他の処方を中心に検討するものの、風邪の喉のイガイガ〜強い痛みの初期によく用いられます。

※2 参考：医薬品インタビューフォーム「ツムラ桔梗湯エキス顆粒（医療用）」
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003044.pdf

桔梗湯の構成生薬

桔梗湯は、たった2つの生薬で構成されています（出典※3）。

• 桔梗（キキョウ）
• 甘草（カンゾウ）

とてもシンプルですが、この2つが補完し合うことで、「痛み」「腫れ」「粘膜の過敏さ」を集中的に和らげる処方になります。

桔梗は、喉の奥の腫れ・鬱滞をときほぐし、炎症によってうっすら張り付いたような違和感を動かす役割があります。痰がからむ感じや、喉粘膜が乾き気味の時にも相性がよい生薬です。

甘草は、炎症を鎮め、喉の粘膜を保護する方向に働きます。
特に咽頭部は繊細で、ちょっとした炎症でも「痛みとして強く感じやすい部位」です。
甘草はその過剰な反応を少し緩め、痛みに伴う不快感をなだめるように働きます。

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※3 出典：医薬品インタビューフォーム「ツムラ桔梗湯エキス顆粒（医療用）」
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003044.pdf

桔梗湯が向いている人

桔梗湯が合いやすいのは、「喉の痛みが症状の中心」にあるタイプです。
特に、次のような特徴を持つ方は相性が良い傾向があります。

• 喉がヒリヒリし、飲み込むときの痛みがつらい
• 声を使いすぎて喉の奥が熱っぽく、張りつくような違和感がある
• 風邪をひくとまず喉から痛みが出る
• 扁桃腺は大きく腫れていないのに、痛みだけが強い
• 痰は少ない、もしくは透明でからまり気味

特に「発熱はそこまで高くないのに、喉が痛い」タイプには、しっかり効き目が現れる印象があります。

桔梗湯が向かない喉の痛みのタイプ

以下のような症状を伴う咳には、治療方針が異なるため、向いていないことがあります。

・扁桃腺が強く腫れ上がっている場合
・のどに膿栓（白い粒）が多量に付着して強い倦怠感を伴う場合
・痰が黄色く濁って量が多い場合

これらの喉の痛みには、抗菌薬などの他の処方が必要となります。
とくに、以下のような症状がある場合は急を要するため、必ず医療機関を受診しましょう。

• 声枯れがある
• 息苦しさがある
• 口が開けにくい
• つばも飲み込めない

飲み方・服用のタイミング

通常、成人は1日2〜3回に分けて食前または食間に服用します（出典※4）。
漢方薬は空腹時のほうが吸収が安定しやすく、喉の局所に効かせたい桔梗湯でもその傾向は同じです。

食前は食事の30分〜1時間前、食間は食後2〜3時間ほどを目安にするとよいでしょう。

喉の痛みが強い場合は、少量のぬるま湯に溶かしてゆっくり喉を通すことで、粘膜に触れる感覚が得やすく、負担が少なくなります。
もちろん無理は禁物ですが、こうした飲み方を意識すると効果の出方が滑らかになることがあります。

飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用し、次の服用時間が近い場合は1回抜いて調整します。

※4 出典：添付文書「ツムラ桔梗湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/138/pdf/138-tenbun.pdf

桔梗湯はうがいにも使える？

桔梗湯は内服する漢方薬ですが、臨床の中では「うがい薬」として利用されることがあります。

これは、桔梗湯が喉の粘膜に触れることで局所に作用する可能性を利用した方法で、医学書院のコラムでは「漢方うがい」として紹介されています（参考※5）。
喉の痛みが出始めた時期に、こうした使い方が選択肢として挙がることがあります。

ただし、この使い方はすべての人に適しているわけではなく、症状や体質によって反応に違いがあります。また、飲み込む場合とうがいで吐き出す場合では意味合いが変わるため、自己判断で行うのではなく、必ず医師の指示に従うことが重要です。特に甘草を含むため、長期的な使用やほかの甘草含有薬との併用がある場合は慎重に判断する必要があります。

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※5 参考：医学書院「医学界新聞プラス｜喉の痛みに効く！桔梗湯うがい術」
https://www.igaku-shoin.co.jp/paperplus/archive/y2025/hack_04

副作用と注意点

桔梗湯は構成が非常にシンプルで、副作用の頻度は多くありません。
しかし、甘草を含むため、いくつか注意すべき点があります。

甘草によって起こり得る代表的な副作用として、
偽アルドステロン症（低カリウム血症、むくみ、だるさ、血圧上昇、筋力低下など）が知られています（出典※6）。特に、ほかの甘草含有薬や漢方製剤を併用している場合、このリスクが高まります。まずは医師か薬剤師に相談しましょう。

また、桔梗の刺激で胃が弱い方ではまれに胃部不快感や吐き気を感じることがあります。
喉の炎症が強い時期は食事も十分に取れず、胃の負担が大きくなっている場合があるため、
そうしたときは医師と相談しながら用量を調整することが望ましいです。

高血圧、腎疾患、心疾患など基礎疾患を持つ方は、他の薬剤との相互作用も含めて医師に相談することをおすすめします。

※6 出典：添付文書「ツムラ桔梗湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/138/pdf/138-tenbun.pdf

桔梗湯を入手するには？｜オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能

桔梗湯は医療機関で医療用漢方薬として処方できるほか、一般のドラッグストアでも市販薬を購入することは可能です。
ただし、市販薬と医療用では成分量が異なることもあり効果を安定して得るためには医療機関での処方が望ましいケースがあります。

喉の痛みは、扁桃炎、溶連菌、逆流性食道炎、アレルギー、乾燥など原因が多岐にわたるため、
症状が強い場合や続く場合は、自己判断で市販薬を続けるのではなく、早めに医師に相談することをおすすめします。

『患者目線のクリニック』のオンライン漢方外来では、桔梗湯を含む漢方薬の処方が可能です。

年間診療件数10万件以上の実績があり、年中無休で早朝6時から深夜24時まで診察を受け付けています。仕事の前後や夜間、休日など、自分の隙間時間に相談しやすい体制が整えられています。

全国どこからでも受診可能で、予約、診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結でき、薬の自宅配送または当日にいつもの薬局で受取にも対応しています。

「喉が痛くて外に出られない」「仕事の合間にしか時間がない」という方でも、オンライン診療を入り口に相談し、必要に応じて対面診療や他科受診につなげてもらうことができます。忙しい方や小さなお子さんがいる方にとって、オンライン診療と漢方処方の組み合わせは、負担を減らしながら症状に向き合う有効な選択肢の一つといえます。

喉の痛みは放置すると悪化しやすく、扁桃周囲炎のように強い腫れを伴うケースもあります。
早めに医師に相談し、ご自身の症状に合った治療を選ぶことが大切です。

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桔梗湯の市販薬｜代表的な製品と特徴

桔梗湯は、市販でも入手しやすい処方のひとつです。
急な喉の痛みや「飲み込むとツキンと響く」ような症状があるときにセルフケアとして取り入れやすく、顆粒・液剤・トローチと用途に応じて選べます。

ツムラ「ツムラ漢方桔梗湯エキス顆粒」

顆粒タイプの第2類医薬品で、成人は通常1回1包を1日2回、食前または食間に服用します。

細かい年齢区分によって用量が調整されているため、小学生以上の子どもにも使用しやすい設計です。

急性の強い喉の痛みや声がれに向き、刺激感のある痛みが目立つときに選ばれます。

出典：ツムラ「ツムラ漢方桔梗湯エキス顆粒（ききょうとう）」https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/138.html

クラシエ「クラシエ桔梗湯内服液」

液体タイプの第2類医薬品で、成人は通常1回1本を1日3回、食前または食間に服用します。
内服液のため飲みやすく、のどが強く痛んで顆粒が飲みにくい場面でも使いやすい点が特徴です。
飲み込む時の激しい痛みや声の出しにくさがあるときに選ばれやすい製品です。

出典：クラシエ「クラシエ桔梗湯内服液」
https://www.kracie.co.jp/products/pdf/4987045183669.pdf

ツムラ「ツムラ漢方トローチ桔梗湯」

トローチタイプの第3類医薬品で、成人は1回2個を1日3回、ゆっくり口中で溶かして使用します。
顆粒や液剤と異なり、のどに直接作用させたいときに便利で、外出先や仕事中でも使いやすい形状です。刺激性の痛みを少しずつ和らげたい場合に向く製品です。

出典：ツムラ「ツムラ漢方トローチ桔梗湯（ききょうとう）」https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/kikyoto-trochisci.html

市販の桔梗湯は、急性の喉の痛みや声の出しにくさに対して手軽に使える一方、生薬量や構成は医療用と異なる場合があります。
痛みが強く長引くとき、発熱を伴うとき、何度も繰り返す場合は、市販薬だけで判断せず一度医療機関に相談することをおすすめします。

よくある質問（Q&A）

Q：効果はどのくらいで出ますか？

個人差はありますが、即効性のある方が多く、早い方だと服用後数分で喉の痛みが和らぐ方もいらっしゃいます。

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Q：妊娠中や授乳中でも使えますか？

妊娠中は、母体と胎児の安全性を考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与されます（出典※7）。授乳中も、同様です。自己判断での服用は避け、必ず医師と相談してください。

※7 出典：添付文書「ツムラ桔梗湯エキス顆粒（医療用）」https://medical.tsumura.co.jp/products/138/pdf/138-tenbun.pdf

Q：他の薬と併用できますか？

他の漢方薬や甘草を含む薬剤との併用は、偽アルドステロン症リスクが高まるため注意が必要です。
市販の総合感冒薬にも甘草が含まれていることがあるため、併用の際は必ず医師または薬剤師に確認してください。

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まとめ

桔梗湯は、喉の痛みや飲み込むときの違和感、声を出すとつらいと感じるような急性の咽頭炎症状に用いられる漢方薬です。桔梗と甘草のみというシンプルな処方ですが、喉の粘膜に働きかけ、炎症に伴う不快感を落ち着かせていくことを目的とします。風邪の初期や声の使いすぎ、乾燥した環境で喉が過敏になるタイプの方と相性が良い場面があります。

副作用としては甘草に関連する偽アルドステロン症が知られており、むくみ・倦怠感・血圧の変化・筋力低下などが気になる場合には注意が必要です。高齢の方や心疾患・腎疾患のある場合、ほかの甘草含有薬を使用している場合は、医師のフォローのもとで慎重に使用します。妊娠中や授乳中の方は、自己判断ではなく必ず医師へ確認することをお勧めします。

オンライン診療が普及し、喉の痛みで外出が負担になる状況でも、自宅から治療の相談ができるようになりました。『患者目線のクリニック』のように早朝から深夜まで受診できる医療機関であれば、生活リズムに合わせて相談することが可能です。忙しくて受診が遅れがちな方でも、無理なく治療へアクセスできます。

喉の痛みは「風邪だからそのうち治る」と考えがちですが、日常生活を大きく妨げる症状です。仕事や会話、食事のたびに痛みが気になるようであれば、早めに医師へ相談し、状況に合った治療を一緒に検討していくことをおすすめします。

『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わりません（別途システム利用料1,000円が必要です）。本日予約の空き枠も確認可能ですので、お忙しい方はぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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