当帰四逆加呉茱萸生姜湯について｜効果・副作用・飲み方を医師が解説

当帰四逆加呉茱萸生姜湯とは

「手足が氷のように冷たくてつらい」

「下半身が冷えると、下腹部や腰がじんじん痛む」

こうした「強い冷え」に伴う痛みや不調に対して、漢方でよく用いられるのが、当帰四逆加呉茱萸生姜湯（とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう）です。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、古典『傷寒論』に由来する処方で、「四逆」は四肢（手足）に冷えが逆流するように広がる状態を意味します。冷えによって血流が滞り、末梢から冷えがせり上がってくるような体質を想定した漢方薬です。

臨床現場では、四肢の冷えやしもやけ、下腹部痛や腰痛などに対して体を温めながら血流を改善する目的で使用されます（出典※1）。

この記事では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果や構成生薬、向いている体質、副作用、服用方法から、オンライン診療での処方までを、医師の視点で詳しく解説します。

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※1 出典：巣鴨千石皮ふ科「漢方薬38 当帰四逆加呉茱萸生姜湯（トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ）」

https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/tokishigyakukagoshuyushokyoto.html

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効果

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、体力が中等度以下で、手足の冷えを強く感じる方に処方される漢方薬です。

冷えが強まると下肢や下腹部に痛みが生じやすく、しもやけ、頭痛、下腹部痛、腰痛などを繰り返すタイプに用いられます（出典※2）。

冷えが背景にあることで、痛みや不快感が慢性的に続いている方では、体の内側から温め、血の巡りを整えることで、頭痛や腰痛、月経痛、下痢などの冷えを伴う症状の改善を目指します。冷えによる症状が全身的にも局所的にもあらわれる場合に、冷えと血行不良の両面からアプローチする処方といえます（出典※3）。

※2 出典：添付文書「オースギ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキスG」

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016293

※3 出典：クラシエ漢方セラピー「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」

https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/tokisigyakukagoshuyushokyoto.html

当帰四逆加呉茱萸生姜湯の構成生薬

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、複数の生薬が組み合わさることで、体を温め、血流を整え、冷えに伴う痛みを和らげるよう設計され、以下の生薬で構成されています（出典※4）。

• 大棗（タイソウ）
• 桂皮（ケイヒ）
• 芍薬（シャクヤク）
• 当帰（トウキ）
• 木通（モクツウ）
• 甘草（カンゾウ）
• 呉茱萸（ゴシュユ）
• 細辛（サイシン）
• 生姜（ショウキョウ）

当帰は血を補いながら血行を促進し、桂皮は体を内側から温めます。

芍薬は筋肉のこわばりや痛みを和らげ、木通は水の巡りを整えます。

甘草は全体のバランスをとる役割を担い、細辛は末梢の冷えに働きかけます。

さらに、呉茱萸と生姜は胃腸を温めつつ、嘔気や冷えによる腹部の不快感にアプローチする生薬です。これらが総合的に作用することで、「冷え」と「血行不良」、「痛み」が絡み合った状態を、内側から整えていくことを狙った処方と言えます。

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※4 出典：医薬品インタビューフォーム「オースギ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキスG」

https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00004045.pdf

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が向いている人・使い分けのポイント

当帰四逆加呉茱萸生姜湯が向いているのは、冷えが症状の中心にあり、その冷えが痛みや不調を引き起こしているタイプです。特に、次のような特徴を持つ方に適しています。

• 手足がいつも氷のように冷たい
• 下半身が冷えると、下腹部や腰にじんとした痛みが出る
• 冬場になるとしもやけができやすい
• 冷たい飲食で腹痛や下痢を起こしやすい
• 冷えとともに頭痛が出やすい

体力が中等度以下で、手足の冷えが強く、下肢または下腹部に痛みが生じやすい冷え症のタイプに処方されることが多く、しもやけ・頭痛・下腹部痛・腰痛・下痢・月経痛など複数の症状が重なっている場合にも適しています（出典※5）。冷えが体の表面だけでなく、下腹部や腰の「内側の不快感」として現れるケースに向いている点が特徴です。

一方で、ほてり・のぼせ・顔の赤みなど、熱感が前面に出る体質では、冷えが主原因ではないことも多いため、別の処方を選ぶことがあります。どの症状が中心にあるのかを見極めることが、処方の使い分けにおける重要な判断材料となります。

※5 出典：クラシエ漢方セラピー「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」

https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/tokisigyakukagoshuyushokyoto.html

用法・用量と飲み方

通常、成人1日9.0gを2～3回に分割し、食前または食間に経口投与します（出典※6）。年齢・体重・症状に応じて適宜増減することが可能です。

漢方薬は、空腹時に服用することで生薬成分が吸収されやすく、効果が発揮されやすいとされています。食前とは食事の30分～1時間前、食間とは食後2～3時間程度を目安と考えるとよいでしょう。

冷えや腹部症状が強い場合は、白湯とともにゆっくり服用し、その後に体を冷やさないようにすることで、体を温める作用を後押しできます。飲み忘れた場合は、気づいた時点で1回分を服用し、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばして調整します。

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※6 出典：添付文書「オースギ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキスG」

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016293

副作用と注意点

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は比較的安全性の高い漢方薬ですが、添付文書ではいくつかの副作用や注意点が記載されています。

消化器症状として、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢などがあらわれることがあります（出典※7）。もともと胃腸が弱い方や、すでに食欲不振・悪心・嘔吐がある方では、これらの症状が悪化するおそれがあるため注意が必要です。

また、本剤には甘草（カンゾウ）が含まれているため、偽アルドステロン症やミオパチーといった電解質異常に関連する重篤な副作用が報告されています（出典※7）。むくみ、だるさ、血圧上昇、筋力低下などが気になる場合は、早めに医師へ相談することが大切です。利尿薬や他の甘草含有薬との併用では、低カリウム血症が生じやすくなる点にも注意が必要です。

高血圧、心疾患、腎疾患などをお持ちの方は、とくに経過観察が重要になります。自己判断で長期使用を続けることは避け、定期的に医師の診察を受けましょう。

※7 出典：添付文書「オースギ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキスG」

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016293

当帰四逆加呉茱萸生姜湯を入手するには？｜患者目線のクリニックでも処方可能

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、医療機関で処方される医療用医薬品のほか、一般用医薬品としてドラッグストアなどで購入できる製品もあります。ただし、医療用と一般用では用法・用量が異なり、安全性を高めるために服用量が調整されている点には注意が必要です。

冷え症やしもやけは一見「体質だから仕方ない」と考えられがちですが、裏側に貧血、内分泌異常、血管障害などが隠れている場合もあります。強い冷えや痛みが続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、自己判断で市販薬を継続するのではなく、一度医師の診察を受けることをおすすめします。

近年はオンライン診療に対応するクリニックも増えており、通院が難しい方でも自宅から診察・処方が可能です。オンライン診療では、医師が体質や既往歴を踏まえた上で処方を行うため、安心して利用できます。症状によっては、医師が対面診療を勧める場合もありますが、まず相談の入口として非常に有用です。

例えば『患者目線のクリニック』のオンライン漢方外来では、当帰四逆加呉茱萸生姜湯を含む漢方薬の処方が可能です。
年中無休で6時から24時まで診察しているため、お仕事の合間や夜間、土日でも、ご自身の症状について相談しやすい環境が整っています。診察は自宅で完結し、お薬は『自宅への配送』か『お近くの薬局での受け取り』かを選べます。薬局受け取りを選択すれば、診察終了後、最短30分でのお受け取りも可能です。全国どこからでも受診できます。

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よくある質問（Q&A）

Q：効果はどのくらいで出ますか？

個人差はありますが、経験則上は早い方だと服用後1週間から2週間ほどで効果が出る方もいらっしゃいます。

Q：妊娠中や授乳中でも使えますか？

妊婦または妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています（出典※8）。授乳中も、母体と児への有益性を考慮したうえで、授乳継続または中止を検討することになっています。自己判断での服用は避け、必ず医師と相談してください。

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Q：他の漢方薬や薬と併用できますか？

他の漢方製剤等を併用する場合には、含有生薬の重複に注意する必要があります。特に甘草を含む処方や総合感冒薬、鎮咳薬などを併用すると、偽アルドステロン症や低カリウム血症などの副作用リスクが高まります。すでに服用中の薬やサプリメントがある場合は、必ず医師か薬剤師に相談しましょう。

※8 出典：添付文書「オースギ当帰四逆加呉茱萸生姜湯エキスG」

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016293

まとめ

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、手足の冷えやしもやけ、冷えに伴う頭痛・下腹部痛・腰痛など、「冷え」と「血行不良」が組み合わさった症状に用いられる代表的な漢方薬です。

大棗、桂皮、芍薬、当帰、木通、甘草、呉茱萸、細辛、生姜といった生薬が協調的に作用し、体の内側から温めながら血の巡りを整え、冷えによる痛みや不調をやわらげていきます。

一方で、甘草を含むことから偽アルドステロン症などの副作用には注意が必要であり、既往症のある方や複数の薬を服用している方では、医師の管理のもとで慎重に用いることが大切です。

オンライン診療の普及により、強い冷えやしもやけ、冷えによる頭痛・腰痛がつらい場合でも、自宅から相談し、適切な漢方処方を受けやすい環境が整いつつあります。『患者目線のクリニック』のように年中無休で6時から24時まで診察しているクリニックを選べば、仕事を休む必要がなく、待ち時間もないため、ご自身の体質や生活背景に合った治療をスキマ時間で選ぶことができます。「昔から冷え性だから」と我慢して過ごすのではなく、オンライン診療を活用することで、冬場や季節の変わり目をより快適に過ごせる可能性があります。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯は、体の芯から冷えやすい方にとって、冷えと痛みの悪循環を断ち切る一つの選択肢となり得る漢方薬です。気になる症状が続く場合は、早めに医師へ相談し、ご自身の体質に合った使い方を一緒に考えていくことをおすすめします。

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