月に何度も片頭痛の発作が起こり、頓服薬だけではつらいと感じていませんか。片頭痛には、発作の回数や程度を減らすことを目的とした予防薬(発症抑制薬)があります。
従来から使われている飲み薬に加え、2025年以降は新しい飲み薬も承認され、注射薬を含めて処方の選択肢が増えました。
この記事では、医師の監修のもと、片頭痛の予防薬を一覧で紹介します。
種類ごとの特徴や、医師に相談するときのポイントも確認していきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療方針を示すものではありません。薬の開始・変更・中止は必ず医師にご相談ください。また、2026年10月時点での情報をもとに執筆しています。
片頭痛の予防薬とは?急性期治療薬との違い
片頭痛は、発作が起きたときに対処するだけでなく、薬で発作の回数や痛みの程度を減らす治療もできます。ここでは、片頭痛に使う治療薬の役割と、予防療法を検討する目安を解説します。
片頭痛の治療薬は「急性期治療薬」と「予防薬」の2種類
片頭痛の治療薬は、使う目的によって大きく2つに分かれます。
- 急性期治療薬:
発作が起きたときに使い、痛みなどの症状を和らげる薬です。トリプタン系薬剤などがあります。 - 予防薬:
発作の有無にかかわらず継続的に使い、発作の回数や痛みの程度を減らす薬です。飲み薬や注射薬があります。
予防薬を使う場合も、発作が起きたときには必要に応じて急性期治療薬を使います。両方を組み合わせながら、片頭痛による日常生活への支障を減らすことを目指します。
片頭痛の予防療法を検討する目安
「頭痛の診療ガイドライン2021」では、次のような場合に予防療法の検討が勧められています。
- 片頭痛発作が月に2回以上ある
- 生活に支障が出る頭痛が月に3日以上ある
- 急性期治療薬を使っても、日常生活への支障が残る
- 副作用や持病などの理由で、急性期治療薬を使えない
すべてに当てはまる必要はありません。発作の回数に加え、仕事や家事への影響、急性期治療薬の効き方なども踏まえて、医師と相談しながら治療を検討します。
出典:日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
片頭痛予防薬の一覧|従来からある飲み薬
従来から使われている片頭痛の予防薬には、ロメリジン塩酸塩・プロプラノロール塩酸塩・バルプロ酸ナトリウムなどの飲み薬があります。このほか、片頭痛には適応外となるアミトリプチリンや、症状・体質に合わせた漢方薬が選ばれることもあります。ここでは、主な薬の特徴と使用時の注意点を紹介します。
カルシウム拮抗薬(ロメリジン塩酸塩)
片頭痛の発症のしくみとしては、「三叉神経血管説」という考え方が有力とされています。三叉神経の活性化や神経原性炎症(神経から放出される物質による炎症)、血管の拡張などが関わるという説です。ロメリジン塩酸塩は、血管の過度な収縮・拡張に関わる働きに作用すると考えられています。
効能・効果は「片頭痛」で、添付文書では片頭痛発作(月に2回以上)により日常生活に支障をきたしている患者に投与することとされています。用法・用量は1回5mgを1日2回です。効果の出方には個人差があり、様子を見ながら調整していくのが一般的な流れとされています。
妊娠中または妊娠している可能性がある方、頭蓋内出血またはその疑いがある方、脳梗塞急性期の方には使用できません。また、服用中の授乳も避けることが望ましいとされています。妊娠を希望している方や授乳中の方は、処方前に医師へ伝えてください。
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ミグシスの効果が出るまでの期間は?目安と効果を感じないときの対処法
出典:日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ミグシス錠5mg 電子添文」
β遮断薬(プロプラノロール塩酸塩)
プロプラノロール塩酸塩(製品名:インデラルなど)は、もともと高血圧や狭心症、不整脈の治療に使われてきた薬です。交感神経のβ受容体を遮断する作用を持ち、片頭痛発作の発症抑制の効能・効果で承認されています。片頭痛に用いる場合は1日20〜30mgから開始し、効果が不十分な場合は60mgまで漸増して1日2〜3回に分けて服用します。
一方で、気管支喘息のある方、気管支痙攣のおそれのある方には使用できない(禁忌)とされています。また、トリプタン系薬剤のうちリザトリプタンとは併用禁忌とされているなど、併存疾患や併用薬によって使えない場合があります。持病や服用中の薬は、事前に医師・薬剤師へ伝えてください。
妊娠中または妊娠している可能性がある場合は、緊急やむを得ない場合を除いて使用を避けることが望ましいとされています。また、母乳への移行が報告されているため、授乳中は治療の必要性と母乳栄養の利点を踏まえ、授乳を続けるかどうかを医師と相談します。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「インデラル錠10mg 電子添文」
抗てんかん薬(バルプロ酸ナトリウムなど)
バルプロ酸ナトリウム(製品名:デパケンなど)は、神経の過剰な興奮を抑えるタイプの薬です。もともとてんかんの治療薬として使われてきましたが、片頭痛発作の発症抑制の効能・効果でも承認されています。添付文書では、急性期治療だけでは日常生活に支障をきたしている患者に投与することとされています。用法・用量は1日400〜800mgを2〜3回に分けて服用し、1日1,000mgを超えてはいけません。
バルプロ酸を片頭痛の予防に用いる場合、妊娠中または妊娠している可能性がある方には使用できません。胎児の先天異常や発達への影響が報告されており、妊娠する可能性がある方では、こうしたリスクについて説明を受けたうえで、使用の適否を慎重に判断します。妊娠を希望している場合は、必ず事前に医師へ相談してください。
また、母乳へ移行することがあるため、授乳中は治療の必要性と母乳栄養の利点を踏まえ、授乳を続けるかどうかを個別に検討します。
なお、同じ抗てんかん薬のトピラマートも、片頭痛には適応外ですが、ガイドラインでは予防薬のひとつに挙げられています。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「デパケン錠100mg/デパケン錠200mg 電子添文」「トピラマート錠25mg「アメル」/トピラマート錠50mg「アメル」/トピラマート錠100mg「アメル」電子添文」
抗うつ薬(アミトリプチリンなど)
アミトリプチリン(製品名:トリプタノールなど)は、抗うつ薬の一種です。片頭痛に対しては適応外ですが、『頭痛の診療ガイドライン2021』では、予防に有効な薬のひとつに挙げられています。うつ症状の有無にかかわらず、片頭痛の予防目的で処方されることがあります。
片頭痛に対する承認用法・用量はないため、用量や服用回数は医師が個別に判断します。妊娠中・授乳中の方や妊娠を希望している方は、その旨を伝えたうえで、使用の適否を相談してください。
漢方薬(呉茱萸湯・五苓散など)
片頭痛の治療では、症状や体質(証)に合わせて漢方薬を使うこともあります。代表的なものに、呉茱萸湯(ごしゅゆとう)や五苓散(ごれいさん)があります。
呉茱萸湯は、手足が冷えやすく、体力が中等度以下の方の繰り返す頭痛や嘔吐などに用いられます。五苓散は、口の渇きや尿量の減少などを伴う頭痛に使われ、ツムラ製剤では「頭痛」が効能・効果に含まれています。
ただし、漢方薬によって有効性を裏づける研究の量や質は異なります。五苓散は頭痛診療で用いられますが、片頭痛の予防効果については科学的根拠が限られるため、症状や治療への反応を確認しながら使用します。
漢方薬にも副作用があり、妊娠中・授乳中に無条件で使えるわけではありません。呉茱萸湯と五苓散は、妊娠中または妊娠している可能性がある場合、治療による利益が危険性を上回ると医師が判断した場合に限って使用します。授乳中も、治療の必要性と母乳栄養の利点を踏まえて対応を検討します。
出典:日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用) 電子添文」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA「ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)電子添文」
片頭痛予防薬の一覧|従来からある注射薬
片頭痛の予防に使う注射薬には、エレヌマブ・ガルカネズマブ・フレマネズマブの3種類があります。いずれも、片頭痛に関わるCGRPという物質の働きを抑える薬です。薬によって作用する場所や投与間隔が異なります。ここでは、使用を検討する条件と、各薬の特徴を紹介します。
3剤はいずれも、厚生労働省の「最適使用推進ガイドライン」に沿って使用することとされています。投与できる医療機関・医師に要件があるほか、投与対象となる患者についても、おおむね次のすべてを満たすことが求められます。
- 国際頭痛分類に基づき、前兆のある/ない片頭痛の発作が月に複数回発現している、または慢性片頭痛と確認されている
- 投与開始前3ヵ月以上において、1ヵ月あたりの片頭痛日数が平均4日以上である
- 生活習慣の指導などの非薬物療法および急性期治療をすでに実施しており、それでも日常生活に支障をきたしている
- 国内で承認されている既存の予防薬のいずれかについて、効果が不十分、副作用などで継続が難しい、または禁忌などの安全性上の理由で使用できない
使用の適否は、頭痛の頻度や生活への影響、これまでの治療内容などを踏まえて医師が判断します。
また、3剤とも妊娠中の安全性が十分に確立していません。妊娠中または妊娠している可能性がある場合は、治療による利益が危険性を上回ると医師が判断した場合に限って使用します。授乳中も、治療の必要性と母乳栄養の利点を踏まえ、授乳を続けるかどうかを個別に検討します。妊娠を希望している方も、治療開始前に医師へ伝えてください。
エレヌマブ(遺伝子組換え)
エレヌマブ(製品名:アイモビーグ)は、CGRPの受容体そのものに結合するタイプの抗体薬です。受容体の働きをふさぐことで、CGRPが信号を伝えるのを防ぐ仕組みとされています。用法・用量は、成人に70mgを4週間に1回皮下投与します。
出典:厚生労働省「最適使用推進ガイドライン エレヌマブ(遺伝子組換え)」
ガルカネズマブ(遺伝子組換え)
ガルカネズマブ(製品名:エムガルティ)は、CGRPそのものに結合するタイプの抗体薬です。CGRPが受容体に届く前にとらえることで、働きを抑えるとされています。用法・用量は、初回に240mgを皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下投与します。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/エムガルティ皮下注120mgシリンジ 電子添文」
フレマネズマブ(遺伝子組換え)
フレマネズマブ(製品名:アジョビ)も、CGRPそのものに結合するタイプの抗体薬です。用法・用量は、4週間に1回225mgを皮下投与する方法と、12週間に1回675mgを皮下投与する方法のいずれかを選べます。投与間隔の選択肢がある点が特徴です。
出典:厚生労働省「フレマネズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「最適使用推進ガイドライン(医薬品)一覧」
片頭痛予防薬の一覧|新しい飲み薬
片頭痛に関わるCGRPという物質の働きを抑える薬には、「ゲパント系」と呼ばれる飲み薬もあります。国内では、リメゲパントとアトゲパントが承認されています。どちらも片頭痛の予防に使いますが、発作時の治療にも使えるかどうかや、服用する間隔が異なります。ここでは、それぞれの特徴と注意点を紹介します。
なお、両剤とも妊娠中または妊娠している可能性がある場合は、治療による利益が危険性を上回ると医師が判断した場合に限って使用します。また、いずれもヒトの母乳への移行が確認されています。授乳中は、治療の必要性と母乳栄養の利点を踏まえ、授乳を続けるかどうかを個別に検討します。妊娠中・授乳中の方や妊娠を希望している方は、服用前に医師へ相談してください。
リメゲパント硫酸塩水和物
リメゲパント硫酸塩水和物(製品名:ナルティークOD錠75mg)は、2025年9月19日に国内で承認された経口のCGRP受容体拮抗薬です。CGRPが受容体に結合する働きを可逆的に阻害することで、片頭痛の症状を軽減すると考えられています。2025年12月に発売されました。
リメゲパントは、発作が起きたときの「急性期治療」と、発作を減らす「発症抑制」の両方に承認されています。通常、成人の服用方法は次のとおりです。
- 急性期治療:片頭痛発作時に1回75mgを服用
- 発症抑制:75mgを隔日、つまり1日おきに服用
どちらの目的でも、1日の総投与量は75mgを超えないようにします。予防目的で服用した日に発作が起きても、その日に追加で服用することはできません。
口の中で溶ける口腔内崩壊錠(OD錠)のため、水なしでも服用できます。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ナルティークOD錠75mg 電子添文」
アトゲパント水和物
アトゲパント水和物(製品名:アクイプタ錠)は、2026年2月19日に国内で承認された新しい経口のCGRP受容体拮抗薬です。リメゲパントとは異なり、効能・効果は「片頭痛発作の発症抑制」に限られます。
通常、成人には60mgを1日1回投与します。ただし、腎機能や併用薬によって、次のように減量します。
| 減量が必要な場合 | 服用量・回数 |
|---|---|
| 重度の腎機能障害・末期腎不全がある | 10mgを1日1回 |
| 強いCYP3A阻害薬を併用している | 10mgを1日1回 |
| OATP阻害薬を併用している | 30mgを1日1回 |
腎機能による減量の対象は、腎臓の働きを示すクレアチニンクリアランスが30mL/min未満の場合です。CYP3A阻害薬やOATP阻害薬は、アトゲパントの分解や取り込みに影響し、血液中の薬の濃度を高めることがあります。
用量は医師が判断するため、腎臓の病気がある方はその旨を伝え、服用中の薬もすべて確認してもらいましょう。
アトゲパント水和物(アクイプタ)については「アクイプタとは?片頭痛予防薬の効果・副作用・薬価・ナルティークとの違い」の記事で詳しく解説しています。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「アクイプタ錠60mg/アクイプタ錠30mg/アクイプタ錠10mg 電子添文」
片頭痛予防薬の分類比較表
ここまで紹介した片頭痛の予防薬を、分類ごとに整理しました。用法・用量は成人の代表例で、適応外使用の薬や漢方薬は扱いが異なります。実際の処方は、症状・持病・腎機能・併用薬などを踏まえて医師が判断します。
| 分類 | 代表的な成分名(製品名) | 作用・特徴 | 用法・用量(成人) | 主な注意点 |
|---|---|---|---|---|
| カルシウム拮抗薬 | ロメリジン塩酸塩(ミグシスなど) | 血管や神経の細胞へのカルシウム流入を抑える | 通常、1回5mgを1日2回 | 妊娠中・妊娠の可能性がある場合、頭蓋内出血またはその疑い、脳梗塞急性期は禁忌。服用中の授乳は避けることが望ましい |
| β遮断薬 | プロプラノロール塩酸塩(インデラルなど) | 交感神経のβ受容体を遮断する | 1日20〜30mgから開始。効果不十分なら60mgまで徐々に増量し、1日2〜3回に分けて服用 | 気管支喘息・気管支痙攣のおそれがある場合は禁忌。リザトリプタンとの併用も禁忌。妊娠中は原則として使用を避ける※1 |
| 抗てんかん薬 | バルプロ酸ナトリウム(デパケンなど) | 神経の過剰な興奮を抑える | 1日400〜800mgを2〜3回に分けて服用。1日1,000mgを超えない | 片頭痛予防の目的では、妊娠中・妊娠の可能性がある場合は禁忌。妊娠する可能性がある方では胎児への影響に注意 |
| 抗うつ薬(適応外) | アミトリプチリン(トリプタノールなど) | 痛みの調節に関わる神経伝達物質に作用する | 片頭痛に対する承認用法・用量はなく、医師が個別に判断 | 片頭痛には適応外。眠気などに注意 |
| 漢方薬 | 呉茱萸湯・五苓散など | 症状や体質(証)に合わせて選ぶ | 製剤ごとの電子添文に従う | 薬によって適する症状や有効性の根拠が異なる。五苓散の片頭痛予防に関する科学的根拠は限られる |
| CGRP関連抗体薬(注射) | エレヌマブ(アイモビーグ) | CGRP受容体に結合して働きを抑える | 70mgを4週間に1回皮下注射 | 最適使用推進ガイドラインの施設・医師・患者要件を確認。妊娠・授乳中は慎重に判断※2 |
| CGRP関連抗体薬(注射) | ガルカネズマブ(エムガルティ) | CGRPそのものに結合して働きを抑える | 初回240mg、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下注射 | 最適使用推進ガイドラインの施設・医師・患者要件を確認。妊娠・授乳中は慎重に判断※2 |
| CGRP関連抗体薬(注射) | フレマネズマブ(アジョビ) | CGRPそのものに結合して働きを抑える | 225mgを4週間に1回、または675mgを12週間に1回皮下注射 | 最適使用推進ガイドラインの施設・医師・患者要件を確認。妊娠・授乳中は慎重に判断※2 |
| CGRP受容体拮抗薬(飲み薬) | リメゲパント硫酸塩水和物(ナルティークOD錠75mg) | CGRP受容体を遮断する。急性期治療と予防の両方に使用 | 急性期治療:発作時に1回75mg。予防:75mgを1日おきに服用 | 1日の総投与量は75mgまで。予防目的で服用した日の追加服用は不可。妊娠・授乳中は慎重に判断※2 |
| CGRP受容体拮抗薬(飲み薬) | アトゲパント水和物(アクイプタ錠) | CGRP受容体を遮断する。予防に使用 | 通常、60mgを1日1回。重度の腎機能障害・末期腎不全では10mg、一部の併用薬では10mgまたは30mgに減量 | 発作時の頓服薬としては使用しない。腎機能・併用薬を確認。妊娠・授乳中は慎重に判断※2 |
※1:プロプラノロールの電子添文では、妊娠中または妊娠している可能性がある場合、緊急やむを得ない場合を除いて投与を避けることが望ましいとされています。
※2:CGRP関連抗体薬3剤とリメゲパント・アトゲパントは、妊娠中または妊娠している可能性がある場合、治療による利益が危険性を上回ると医師が判断した場合に限って使用します。授乳中は、治療の必要性と母乳栄養の利点を踏まえ、授乳を続けるかどうかを個別に検討します。
表に記載したもの以外にも、禁忌や副作用、飲み合わせに関する注意があります。漢方薬を含め、妊娠中・授乳中の方や妊娠を希望している方は、使用前に医師へ伝えてください。また、過去に薬でアレルギー症状が出たことがある方は、薬の名前と症状を医師・薬剤師に共有しましょう。
片頭痛予防薬の選び方|医師と相談する3つの軸
片頭痛の予防薬は、「発作の頻度・生活への支障度」「妊娠希望・持病・併用薬との相性」「続けやすさ」の3つの軸で医師と相談しながら絞り込んでいきます。気になる薬や不安な点は遠慮なく伝え、最終的には医師の医学的な判断のもとで決めていきます。服用中の薬を自己判断でやめることも避けてください。
発作の頻度と生活への支障度で考える
月の発作日数や、仕事・家事への影響の度合いは、薬を選ぶうえで重要な判断材料です。発作頻度がそれほど多くなければ、既存の内服薬で様子を見ることもあります。一方、発作が多く生活への支障が大きい場合は、CGRP関連薬の使用も検討します。既存の予防薬で効果が十分に得られない場合や、副作用で続けられない場合も同様です。
なお、日本頭痛学会は2025年10月のポジションステートメントで、CGRP関連抗体薬を他の予防薬と同等に第一選択薬に含めることを推奨しています。ただし注射薬の実際の使用にあたっては、前述の最適使用推進ガイドラインの要件を満たす必要があります。
出典:日本頭痛学会「成人の片頭痛予防療法におけるCGRP関連抗体薬の使用に関する日本頭痛学会のポジションステートメント」
妊娠希望・持病・併用薬との相性で考える
片頭痛の予防薬の中には、妊娠中や妊娠の可能性がある場合、気管支喘息がある場合などには使えない薬があります。妊娠を考え始めた段階で医師に伝えておくと、候補となる薬を絞り込みやすくなります。
また、ほかに服用している薬との飲み合わせによって、使える薬や用量が変わることもあります。市販薬やサプリメントも含めて、服用中のものはすべて医師・薬剤師に伝えてください。
投与間隔・投与方法・費用で続けやすさを考える
従来からの飲み薬や新しいゲパント系の飲み薬は、毎日または隔日の服用が基本です。一方、注射薬は4週間に1回から12週間に1回の投与間隔で用いられます。毎日飲み続けるのが負担に感じる人、反対に注射に抵抗がある人など、生活スタイルや受け入れやすさも相談材料のひとつになります。ただし前述のとおり、注射薬は希望だけで選べるものではありません。
片頭痛の効能・効果で承認されている予防薬は、保険診療で処方されます。ただし、適応外薬(アミトリプチン、トピラマート)については、保険適用外となります。自己負担額は薬の種類や負担割合によって異なるため、費用面の不安があれば受診時に確認しておきましょう。
出典:日本頭痛学会「成人の片頭痛予防療法におけるCGRP関連抗体薬の使用に関する日本頭痛学会のポジションステートメント」「頭痛ガイドライン(CGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(暫定版))」「頭痛の診療ガイドライン2021」
片頭痛予防薬の副作用と中止の考え方
片頭痛の予防薬は、種類によって報告されている副作用が異なります。効果の判定や中止のタイミングにも一定の考え方があるため、自己判断で始めたりやめたりしないことが大切です。
薬剤ごとに報告されている主な副作用
報告されている副作用は、作用の仕組みによって薬剤ごとに異なります。主に報告されているものは次の表のとおりです。
| 薬剤名 | 報告されている副作用の例 |
|---|---|
| ロメリジン塩酸塩 | 眠気、めまい、ふらつき |
| プロプラノロール塩酸塩 | めまい、だるさ、脈が遅くなる |
| バルプロ酸ナトリウム | 眠気、吐き気・嘔吐、手の震え |
| アミトリプチリン | 眠気、口の渇き、便秘 |
| 呉茱萸湯 | 発疹、じんましん、肝機能検査値の異常 |
| 五苓散 | 発疹、皮膚の赤み・かゆみ、肝機能検査値の異常 |
表に挙げたのは一部で、詳しい内容は各薬剤の添付文書で確認できます。処方時に、医師・薬剤師へ尋ねることも可能です。
副作用の出方には個人差があり、必ずしも全員に起こるわけではありません。気になる症状が出たときは自己判断で中止せず、早めに医師へ伝えましょう。
出典:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ミグシス錠5mg 電子添文」「インデラル錠10mg 電子添文」「デパケン錠100mg/デパケン錠200mg 電子添文」「アミトリプチリン塩酸塩錠10mg「サワイ」/アミトリプチリン塩酸塩錠25mg「サワイ」 電子添文」「ナルティークOD錠75mg 電子添文」「エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター/エムガルティ皮下注120mgシリンジ 電子添文」
効果判定の目安と続ける期間
「頭痛の診療ガイドライン2021」では、予防療法の効果判定には少なくとも2ヵ月を要するとされています。有効性を確認でき、副作用などがない場合の継続期間の目安は次のとおりです。
- 少なくとも3ヵ月
- 副作用などの問題なく続けられるなら6〜12ヵ月
片頭痛のコントロールが良好になれば、予防薬をゆっくり減量し、可能であれば中止することとされています。
CGRP関連抗体薬では、効果を評価する時期が投与間隔ごとに決められています。4週間に1回の投与では開始後3ヵ月、12週間に1回の投与では3ヵ月または6ヵ月が目安です。経口のアトゲパントも開始後3ヵ月が目安で、症状の改善が認められない場合は、投与中止を考慮することとされています。
飲み薬の予防薬は数ヵ月単位で続けることが多いため、定期的な通院の負担が気になる方は、オンライン診療で継続して相談する方法もあります。
出典:日本頭痛学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
片頭痛予防薬を医師に相談するときの準備
片頭痛の予防薬を相談するときは、発作の状況や体質、困りごとを整理して伝えることが大切です。医師が候補となる薬を判断しやすくなり、自分に合った予防薬を一緒に検討しやすくなります。
事前にメモしておくと、診察がスムーズになるポイントは次のとおりです。
- 1ヵ月あたりの頭痛日数と発作頻度
- 発作のきっかけ
- 喘息などの持病や既往歴
- 服用中の薬(市販薬・サプリ含む)
- 妊娠の希望や可能性
- 日常生活で困っていること
発作のきっかけには、ストレスや睡眠不足などが挙げられます。
仕事や家事で通院の時間がとりにくい場合は、オンライン診療という選択肢もあります。自宅や職場からスマートフォンで受診できるため、仕事を休まずに受診しやすくなります。処方の有無や薬の種類は、診察のうえで医師が判断します。注射薬など対面での対応が必要な場合は、対面診療を案内することもあります。
片頭痛予防薬に関するよくある質問
片頭痛の予防薬は市販で買える?
片頭痛の予防薬として承認されている医薬品は医療用医薬品であり、医師の処方が必要です。ドラッグストアなどで購入できる頭痛薬は、発作時に痛みを抑える頓服薬が中心で、予防薬とは役割が異なります。なお、記事で紹介した漢方薬のなかには、一般用医薬品の漢方製剤として販売されているものもあります。ただし体質(証)に合わない場合もあるため、自己判断で続けず、医師・薬剤師にご相談ください。
予防薬を使っている間も、発作時の薬は使える?
予防薬は発作を完全になくす薬ではないため、発作が起きたときは、医師の指示のもとで急性期治療薬(頓服薬)を使います。ただし、前述のプロプラノロール塩酸塩とリザトリプタンのように、一緒に使えない組み合わせもあります。発作時の薬を使う日が増えている場合も含め、医師に相談してください。
オンライン診療でも予防薬の相談はできる?
患者目線のクリニックのオンライン診療では、頭痛外来で片頭痛の相談を受け付けています。完全予約制なので、待合室で待たされることがありません。お薬も最短翌日にポスト投函する自宅配送を選択でき、外出せずに受診から薬の受け取りまで完結できる点が特徴です。
当院は、保険診療で診察しているため、受診料は対面で受診する場合と変わりません。システム利用料として1,000円が、受診料に追加でかかります。支払いは、アプリに登録したクレジットカードから、受診後自動で決済が完了しスムーズです。
処方の有無や薬の種類は、診察のうえで医師が判断します。現在服用しているお薬を継続されたい場合は、お薬手帳を問診時にアップロードして医師までご相談ください。処方の参考にします。ただし、注射のCGRP関連抗体薬は投与できる医療機関に要件があるため、必要に応じて対面での受診を案内する場合があります。
まとめ:片頭痛の予防薬にはさまざまな種類がある
片頭痛の予防薬には、従来からの飲み薬・新しい経口薬・注射薬という3つのカテゴリーがあります。
従来からの飲み薬には、ロメリジン塩酸塩やプロプラノロール塩酸塩、バルプロ酸ナトリウムなどがあります。ただし、妊娠の可能性や気管支喘息など、使えない条件が薬ごとに定められています。新しい経口薬には、CGRPの働きを抑えるリメゲパント硫酸塩水和物とアトゲパント水和物が加わりました。注射薬のCGRP関連抗体薬3剤は、最適使用推進ガイドラインの要件を満たす場合に用いられます。
どの薬が適しているかは、発作の頻度や体質、持病、併用薬によって変わります。ご自身の状況を整理したうえで、医師と相談しながら決めていきましょう。
次の受診で、気になる点を相談してみませんか。
オンライン診療について
オンライン診療と対面診療の違い
専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを使い、好きな場所で受診することが可能です。処方薬はご自宅へ配送します。
※厚生労働省『令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況』を参照し、中央値を用いた推定平均値。
オンライン診療の流れ
2. 診察前に問診を
Webで回答
予約登録時のメールアドレスへ送信される問診に回答してください。
3. 診察に必要な
アプリをインストール
予約完了メールの案内に沿ってアプリをダウンロードのうえ、クレジットカードやマイナンバーカードなどを登録してください。
※2回目以降はデジスマ診察券アプリからご予約ください。登録済みの情報を引き継ぐことができ、スムーズに予約できます。
予約時間になったら医師と診察
医師からスマホのビデオ通話がかかってきます
※予約時間前までにアプリホーム画面で「チェックイン」が必要です。
お薬の受け取り
どちらかを選択できます
薬剤師による服薬指導後、通常ポスト投函で配送。最短翌日受け取りも!
(※さらに23区内は16時までの服薬指導+890円で「当日到着便」をご利用可能です)
受け取りの薬局は全国どこでもご自身で指定できます。指定した薬局で、診察後30分程度でお薬の受け取りが可能です。
診察に必要なもの
- 診察時に必要なデジスマアプリをインストールしたスマホ
- クレジットカード(VISA / JCB / Mastercard ※Apple Pay・Google Payを利用した登録も可)
- マイナンバーカード(マイナ保険証)、または資格確認書
- (お持ちの方) 医療証、お薬手帳、検査結果など
オンライン診療の料金
大きく変わりません
(例)3割負担の場合の料金
診察料
初診 1,000円 前後
再診 500円 前後
お薬代
(対面診療時と同じ)
※オンライン診療のシステム利用料として、別途1,000円をいただきます。
※心療内科と婦人科はシステム利用料が異なります。
(心療内科 初診2,000円・再診3,000円、婦人科 初診1,000円・再診1,500円)
※医療証も利用可能です。(東京都以外は各自治体で後日精算が必要)
夜間・早朝等加算について
keyboard_arrow_down
診療報酬点数の算定基準に基づき、
下記の時間帯に診療を受けられる方に関して初診料及び再診料に加えて、
夜間早朝等加算をいただいております。
平日 6~8時・18~22時 / 土曜日 6~8時・12~22時
/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
上記時間帯を指定して予約を取られた方も加算の対象となりますので、あらかじめご承ください。
自己負担額
・1割負担の方 50円
・2割負担の方 100円
・3割負担の方 150円
一般オンライン診療
風邪|咳|のどの痛み|片頭痛(偏頭痛)|花粉症・アレルギー性鼻炎|高血圧|痛風(高尿酸血症)|糖尿病|脂質異常症|生活習慣病|胃痛|逆流性食道炎|便秘|下痢|貧血|新型コロナウイルス後遺症 など
インフルエンザ|新型コロナウイルス感染症 など
湿疹|かゆみ|乾燥肌|発疹|皮膚炎|蕁麻疹|酒さ|ニキビ・吹き出物|ヘルペス|アトピー|多汗症|あせも|汗疱|乾癬|帯状疱疹|口内炎|虫刺され|水虫・白癬(検査済みの方)|血管性浮腫|ひょう疽|円形脱毛症(AGA除く)など
アレルギー科
蕁麻疹|喘息|鼻炎|結膜炎|目の充血|花粉症 など
尿漏れ|頻尿|排尿困難|蛋白尿|尿糖|腎盂腎炎|膀胱炎|前立腺炎|尿路結石 など
片頭痛(偏頭痛)|緊張型頭痛|ストレスによる慢性頭痛 など
ストレスに伴う身体症状(食欲不振、下痢、倦怠感) など
不眠 など
つかれ、倦怠感、食欲低下、冷え、めまい、肩こり、腰痛、イライラ・不安などの慢性的な不調|かぜ症状、咳・たん、鼻炎、湿疹 などで漢方をご希望の方
風邪|鼻炎|便秘|下痢|発疹|アトピー など
その他
ドライアイ・麦粒腫(ものもらい)・結膜炎などの眼の症状|腰痛・関節痛・神経痛(※6ヶ月以内の処方歴が確認できるお薬手帳提出可能な方のみ)など
※治療・処方に対して検査が必要になる場合は対面診療をお願いすることがあります。
クリニック紹介
白月 遼(代表理事)
- 旭川医科大学 卒業
- 資格:医師、日本外科学会専門医、日本小児学会専門医、がん治療認定医、日医認定産業医
東京 虎ノ門・新橋で対面診療も受診可能
詳しくはこちら
よくある質問
Q オンライン診療に必要なものは何ですか? keyboard_arrow_down
ビデオ通話ができるスマホ、マイナンバーカード(マイナ保険証)・または資格確認書、クレジットカードがあれば、保険でのオンライン診療を受診できます。
Q 自分の症状でオンライン診療を受けられますか? keyboard_arrow_down
当院のオンライン診療では、内科・皮膚科・泌尿器科・アレルギー科・小児科などのさまざまな症状に対応しています。治療・処方にあたり、検査や処置が必要な場合は対面診療をお願いすることがあります。詳細はお問い合わせください。
Q 来院は不要ですか? keyboard_arrow_down
初診からオンライン診療を受け付けています。症状によっては、オンライン診療ではなく、外来での受診をお勧めするケースがあります。
Q 対面診療(外来)より高くなりますか? keyboard_arrow_down
外来時と比べて、診察料は大きな差はなく同水準です。交通費などがかからず、家やオフィスで他のことをしながら待てるので、負担は少ないです。
Q 薬の受け取りは、どうするのですか? keyboard_arrow_down
受診時に「配送」または「ご希望の薬局で対面での受け取り」のどちらかを選択いただきます。「配送」の場合、オンラインで薬局の服薬指導を受けていただき、薬をお届けします。「ご希望の薬局で対面での受け取り」の場合、当院から該当の調剤薬局へ処方箋を送りますので、直接薬局に行き服薬指導を受け、薬を受け取ります。
本記事は一般的情報の提供を目的とし、個別の診断・治療を指示するものではありません。診断・処方・診断書等の可否は医師が判断します。 内容は公開時点の情報で、法令・保険・料金・取扱いは変更されることがあります。緊急症状時は119等へ。 外部サイトの内容は保証いたしません。法令上の責任が認められる場合を除き、当院は本記事に基づく損害につき責任を負いません。
