治打撲一方は市販で買える？効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説

治打撲一方（じだぼくいっぽう）とは

「転んだあと、腫れは引いたのに触るとまだ痛い」

「湿布はもう不要なはずなのに、響くような重だるさが続く」

「内出血は薄くなってきたのに、関節まわりの違和感が残る」

こうした外傷後の症状が長引くときに、選択肢に挙がる漢方薬が治打撲一方です。

治打撲一方は、古くから打撲・捻挫・挫傷などに伴う腫れや痛みに使われてきた処方で、炎症のピークを過ぎたあとに残る痛みや腫れ、外傷後の瘀血が背景となる状況に位置づけられています（参考※1）。受傷直後ではなく、「治りかけなのに症状が残る時期」に検討される点が特徴です。

この記事では、治打撲一方の作用、体質との相性、構成生薬、注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点から整理します。

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※1 参考： 医薬品インタビューフォーム「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-if.pdf

治打撲一方の効果

治打撲一方は、打撲による腫れや痛みに用いられる処方です（出典※2）。受傷直後の強い炎症期ではなく、腫れや皮下出血が落ち着き始めたあとに、重だるさや押すと響く痛みが残る場面で検討されます。

湿布や鎮痛薬で経過をみていても、青紫色の皮下出血が残り、関節まわりに鈍い痛みが続くような状況があります。こうした「治りかけなのに症状が抜けない」局面に、外傷後の瘀血を背景とした処方として治打撲一方が位置づけられています（参考※3）。

※2 出典：添付文書「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-tenbun.pdf

※3 参考：飯塚病院 漢方診療科「遷延する捻挫に治打撲一方」https://aih-net.com/kanpo/medical/thistime/nenza.html

治打撲一方の構成生薬

治打撲一方は、以下の七つの生薬で構成されています（出典※4）。

• 桂皮
• 川芎
• 川骨
• 木通
• 大黄
• 丁子
• 甘草

外傷後に残る腫れや皮下出血、押すと響くような痛みに対して使われてきた処方で、急性期の炎症そのものではなく、治りかけなのに症状が残る時期に位置づけられています。

特徴として、痛みや炎症を直接抑えるというより、外傷後に停滞した瘀血に働きかけ、治癒が進みにくい状態を整える方向性に組まれています。腫れや痛みが落ち着き始めたあとも違和感が続く場面で検討される処方です。

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※4 出典： 医薬品インタビューフォーム「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-if.pdf

治打撲一方が向いている人

治打撲一方が向くのは、受傷後の炎症が落ち着いたにもかかわらず、腫れや青紫色の皮下出血、押すと鈍く響く痛み、可動域の制限などが続いているケースです（参考※5）。
「治ってきているはずなのに、あと一歩抜けきらない」ような局面で処方を検討します。

反対に、熱感が強く、刺すような鋭い痛みが前面にある時期は、炎症主体の治療や別の処方を優先します。

※5 参考：医薬品インタビューフォーム「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-if.pdf

飲み方・服用のタイミング

治打撲一方は、通常1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用します（出典※6）。食前は食事の30分〜1時間前、食間は食後2〜3時間後を指し、漢方薬は空腹時の方が体内で吸収されやすい特徴があります。

服用を開始してすぐに変化を感じる場合もありますが、多くは受傷部位の回復と並走するように少しずつ変化していく印象です。特に、押すと鈍く響く痛みや、動かしたときの重だるさが徐々に薄れていく経過を辿ることが多いです。

薬剤添付文書では、症状や所見の改善が認められない場合には継続投与を避けることが示されています（出典※4）。これは漫然投与を避けるという意味であり、「効果がない＝処方が間違っているか、まだ急性炎症期であり治打撲一方の適応ではない可能性がある」という判断材料になります。

服用期間や量の調整は、経過と状態像を踏まえながら医師と相談しながら進めることをお勧めします。

※6 出典：添付文書「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-tenbun.pdf

副作用と注意点

治打撲一方には甘草が含まれており、偽アルドステロン症や低カリウム血症には注意が必要です（出典※7）。むくみ、血圧上昇、倦怠感、筋力低下といった変化が現れる場合には、服用を中断のうえ評価を行います。

また、本処方には大黄が含まれるため、もともと下痢しやすい方や胃腸が弱い方では腹部症状が出やすく、少量でも影響が出ることがあります（出典※7）。排便リズムが普段と変わる場合には、用量調整や処方変更の検討を行います。

妊娠中は投与を避けることが望ましいとされています。大黄による子宮収縮作用が背景にあり、自己判断での服用は推奨されません（出典※7）。
授乳中については、添付文書上「治療上の有益性と授乳継続の利益を考慮し判断する」とされており、母乳中に移行した成分によって乳児の下痢が起こる可能性が示されています（出典※7）。

上記から、外傷の経過だけではなく、併用薬、便通の傾向、基礎疾患、妊娠・授乳状況を確認しながら処方の調整が必要です。自己判断での服用は避け、まずは医師か薬剤師に相談しましょう。
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※7 出典： 医薬品インタビューフォーム「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-if.pdf

治打撲一方を入手するには？｜オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能

治打撲一方は医療機関で処方される医療用漢方薬で、オンライン診療でも対応が可能です。市販薬として入手できる漢方薬もありますが、治打撲一方は大黄や甘草を含むため、体質・併用薬・妊娠可能性などによって調整が必要になる場面があり、医師や薬剤師のフォローのもとで使うほうが安心です。

オンライン診療では、受傷した経過、腫れや皮下出血の変化、動かしたときの痛み、日常生活で困っている動作などを確認しながら、治打撲一方が合う状態かどうかを判断します。外傷は画像評価や触診が必要になることもあるため、状況に応じて対面診療や整形外科受診と併走する形で治療を進めます。

『患者目線のクリニック』では、打撲や捻挫に伴う違和感・鈍痛・回復の遅れといった治打撲一方が向く症状に加え、イライラ、肩こり、頭痛、疲れやすい、不眠・寝つきが悪い、肌荒れ、花粉症、便秘、むくみ、生理痛、PMSなどの慢性的な不調にもオンラインで対応しています。
年間診療件数10万件以上、年中無休・早朝6時〜深夜24時まで診療が可能で、隙間時間で受診できる体制が整っています。全国どこからでも受診可能で、予約、診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結でき、薬の自宅配送または当日にいつもの薬局で受取にも対応しています。

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治打撲一方の市販薬｜代表的な製品と特徴

治打撲一方を市販で試したい場合、ドラッグストアや漢方薬局で手に入る製品があります。
打撲・捻挫・挫傷のあとに「腫れは引いたのに痛みが残る」「内出血が薄くなっても重だるさが続く」ような場面で取り入れやすく、まずはセルフケアとして使われることが多い市販薬です。

小太郎漢方製薬「治打撲一方エキス細粒G『コタロー』」

細粒タイプの第2類医薬品で、成人は通常1回1包を1日3回、食前または食間に服用します。
桂皮・川芎・甘草・丁子・大黄などの生薬をバランスよく含み、打撲や捻挫後に残る「痛み」「熱感」「ズキズキした違和感」に向く処方です。飲みやすいエキス細粒で、外傷後の違和感が長引く方が試しやすい製品です。

出典：小太郎漢方製薬株式会社「治打撲一方エキス細粒G『コタロー』」https://www.kotaro.co.jp/iryou/product_list/detail/virtue/d026.pdf

赤尾漢方薬局「治打撲一方（ヂダボクイッポウ）煎じ薬」

伝統的な煎じ薬タイプで、より古典的な飲み方を希望する方向けの製品です。
生薬そのものを煎じて服用するため、香りや風味はしっかりありますが、体質や症状に合わせた調整がしやすい点が特徴。打撲後の痛み・腫れ・重だるさ、とくに「まだ響くような痛みが残る」場面で取り入れられることが多いタイプです。

出典：赤尾漢方薬局「治打撲一方　煎じ薬」
https://www.yakuzenyu-yu.co.jp/item/didabokuipousenzi/

市販の治打撲一方はいずれも、「腫れは引いたのに痛みが残る」「内出血が薄くなってきたのに違和感が続く」といった外傷後の不調に取り入れやすい一方、生薬量や構成は医療用とは異なる場合があります。痛みが強い場合、腫れが急に悪化する場合、また持病のある方は、市販薬だけで判断せず一度医療機関で相談することをおすすめします。

Q&A

Q：どれくらいで変化が出ますか。

受傷からの時間や炎症の残り方、体質によって差がありますが、早い方だと数日で腫れの引きを感じる方もいらっしゃいます。2週間ほど続けても症状の動きが乏しいときは、処方選択を見直すタイミングです。

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Q：妊娠中や授乳中でも使えますか。

自己判断での開始・中止、市販薬との併用は避け、必ず医師へ相談してください。
治打撲一方は大黄を含むため、妊娠中は投与を避けることが望ましいとされています（出典※8）。授乳中についても慎重投与とされており、母乳中への移行によって乳児が下痢を起こす可能性が示されています（出典※8）。

※8 出典：添付文書「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-tenbun.pdf

Q：他の薬と併用できますか。

併用は可能ですが、甘草や大黄を含む薬剤との組み合わせでは、偽アルドステロン症や腹部症状に注意が必要です（出典※9）。他の薬や漢方薬と併用する際は必ず医師または薬剤師に確認してください。

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※9 出典：医薬品インタビューフォーム「ツムラ治打撲一方エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/089/pdf/089-if.pdf

まとめ

治打撲一方は、受傷直後の激しい炎症に対する薬というより、腫れや痛みは落ち着いてきたのに、どこか治り切らない、そんな回復期の外傷に向く処方です。
湿布や鎮痛剤では改善が進みにくい場面で、皮下出血や鈍い響きが残る背景には、外傷後の瘀血という視点が治療のヒントになることがあります。

外傷の痛みや違和感が思ったより長く続くときは、「そのうち治るだろう」と市販薬だけで様子を見るより、状態を一度医療機関で確認しておくほうが安心です。似た症状でも、靭帯損傷や骨折、感染など、別の要因が隠れていることもあるためです。

オンライン診療を使えば、受傷して動きづらい時期でも、自宅や職場から相談でき、診察から処方・受け取りまでを無理なく進めることができます。忙しい方でも治療を先延ばしにせず続けられる点は大きなメリットです。

「腫れは引いたのに、違和感だけが残っている」

そんな時期にこそ、治打撲一方は回復の停滞をそっと動かす選択肢になります。

『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、対面診療と大きく変わらない料金で、早朝から深夜まで予約が可能です。初診は1,000円前後、再診は500円（3割負担の場合。お薬代は別途）で、オンラインのシステム利用料として1,000円をいただいています。
外傷後の不調が続いて気になる方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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