婦人科の診療内容について
月経困難症
- 症状
- 月経困難症は、生理中におこる強い下腹部痛や腰痛などのつらい症状のことです。子宮の収縮により腹痛が起き、頭痛や吐き気、下痢などの症状が引き起こされます。
- 原因
- 痛みは、体内で作られるプロスタグランジンが原因とされています。 子宮筋腫や子宮内膜症などの病気が原因の場合もありますので、強い痛みを感じる場合には早めに診察を受けてください
- 月経困難症の検査治療法
- 内診や経腟超音波検査(経腟エコー)、採血などで調べることができます。 日常生活に支障を来す場合には、治療の対象となりますのでご相談ください。 妊娠を希望されている方や、今後妊娠をする可能性のある女性は、特に早めに対処することをおすすめします。痛みに対してはまず鎮痛剤を用います。生活指導を含め、その他低用量ピルや漢方などを治療として用いることがあります。
生理不順(月経不順)
- 症状
- 生理の周期は、28日〜38日の間であれば正常な周期といえますが、それ以外の場合を生理不順(月経不順)といい、周期24日以内を頻発月経、39日以上を希発月経と呼びます。
- 原因
- 生理不順の原因は、ストレスや睡眠不足、免疫力の低下も大きく関わっています。放置しておくと倦怠感やうつ症状などが出てくる場合もあり、不妊の原因が隠れている可能性もあります。
- 生理不順の治療法
- 食事と睡眠をしっかりととり、規則正しい生活をすることで改善が期待できることがあります。それでも月経周期の乱れが続くようであれば一度婦人科受診をお勧めします。
PMS/PMDD
- 症状
- 高温期(生理前約2週間)におこる不快な症状をPMS(月経前症候群)と言います。生理が開始すると症状が軽減します。 その中でも特に精神症状が重いものをPMDD(月経前不快気分障害)と言います。
身体的症状としては、倦怠感、乳房痛、下半身のむくみ、ニキビ、眠気、下腹部鈍痛、頭痛などがあげられます。また、精神的症状としては、イライラする、人に当たる、怒りっぽくなる、抑うつ状態になる、悲しくなる、ネガティブになるなどがあげられます。
- 改善方法
- カウンセリングや診察を受けて、必要であれば、安定剤やピルを試してみるのも良いとされています。
膀胱炎
- 膀胱炎とは
- 一般的に言われる膀胱炎は、「急性(単純性)膀胱炎」のことを指し、主に大腸菌などの細菌が尿道を通って膀胱に侵入することで発症します。健康な方でも発症する可能性がある病気で、特に女性の場合、男性と比較して尿道が短いことや、尿道口が膣と肛門に近いなどの理由から、膀胱炎になりやすく、繰り返す方も多いとされています。このような身体構造上の理由のほか、ストレスや過度なダイエットによるホルモンバランス乱れ、ビデの多用による膣の自浄作用の低下なども、膀胱炎を引き起こす要因となります。また、膀胱炎は適切な治療をせずに放っておくと、発熱、嘔吐、背中や腰に強い痛みなどを伴う、「腎盂腎炎」を引き起こしてしまう可能性があります。早めに適切な治療を受けましょう。
- 症状
- 以下のような症状が見られます。
排尿時に痛みがある
トイレに何度も行きたくなる
尿が白く濁る、茶色くなる、血が混じる
残尿感がある
- また、性器クラミジア感染症と症状が類似しており、自己診断で誤って膀胱炎と思い込んでしまう患者さんがいらっしゃいます。自己診断をせず、医師の診察を受けましょう。
- 検査治療法
- 膀胱炎様症状が認められた場合、一般的には尿検査を行います。腎盂腎炎の可能性がある場合は、追加で採血やエコー(超音波)検査を行うことがあります。主な治療方法としては、抗生物質などの抗菌薬の投与です。性器クラミジア感染症の疑いがある、ご心配な方は、同日で性器クラミジア感染症の検査を行うことも可能です。
- 性器クラミジア感染症の詳細はこちら
更年期障害
- 更年期とは
- 閉経前5年間と閉経後5年間を合わせた10年間を「更年期」と言います。
- 更年期障害とは
- 更年期に現れるさまざまな症状の中でほかの病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。
更年期障害の主な原因は卵巣機能の低下ですが、これに加齢に伴うからだの変化、心理精神的な要因、環境因子などが複合的に影響することにより症状が出現すると考えられています。 - 症状
- ホットフラッシュ(のぼせ/ほてり)、発汗、冷え、肩こり・腰痛・背中の痛み、めまい、気持ちが落ち込む、イライラ、不眠、疲れやすさなどが代表的です。
- 改善方法
- 生活習慣の改善やカウンセリングなども含め、一般的にホルモン補充療法や漢方治療、大豆イソフラボンを原料としたサプリメントなどが用いられます。
様々な症状を示すのが更年期障害の特徴ですが、器質的な病気が原因として症状が起きていることもあるため症状が強い場合や治療が奏功しない場合は他疾患の検索も必要なことがあります。当院では問診の上、患者様に適した治療方法を提案させていただきます。
子宮内膜症
- 子宮内膜症とは
- 子宮内膜またはそれに類似した組織が何らかの原因で本来あるべき子宮の内側以外の場所で発生生育する疾患です。
- 子宮内膜症の原因
- 子宮内膜症は女性ホルモンの影響で月経周期に併せて悪化し、周囲の組織と癒着を起こしてさまざまな痛みを生じます。
最近は初経年齢が低下する傾向にあり、一方で婚姻や妊娠の年齢が高齢化する傾向にあるため、女性が月経を経験する期間が以前より長くなっていることから、発症の確率が高まっていると言われています。 - 子宮内膜症の症状
- 強い月経痛や、下腹部や腰部の痛み、排便時、性交時などに痛みを感じることがあります。骨盤内の臓器に癒着することで慢性的な痛みを生じやすくなります。また、子宮内膜症は不妊の原因の一つと考えられています。子宮外の子宮内膜は月経時にも排出されないため、閉経まで少しずつ進行し、子宮や卵管に癒着を起こすことで妊娠しにくくなります。さらに癒着やチョコレートのう胞などががん化するリスクも指摘されています。
- 治療方法
- 大きく分けて薬による治療と手術による治療があり、症状や重症度、年齢、妊娠希望など総合的に判断して治療法を選択します。痛みに対してはまず鎮痛剤を使用します。
投薬治療では、ホルモン量の少ないピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(低用量EP配合薬))や黄体ホルモン剤などを用います。視床下部ホルモンGnRH関連のホルモン剤が用いられることもあり、病変に作用させたり症状を緩和させます。
癒着やチョコレートのう胞が明らかな場合には、手術を考慮します。手術が必要な場合は、提携病院にご紹介いたします。
子宮筋腫
- 子宮筋腫とは
- 子宮筋腫とは、子宮をつくる筋細胞からできる良性の腫瘍です。30歳以降の女性の2~3割が発症していると言われております。
子宮筋腫は女性ホルモンであるエストロゲンによって大きくなります。したがって、ホルモン分泌が減る閉経後は施術を必要としないほど縮小改善することがあります。
- 主な症状
- 主な症状としては月経量が多くなる、月経痛、不正出血などのほか、出血による貧血がみられるようになります。また、トイレが近くなる(頻尿)、尿がでにくくなる、便秘、腰痛などの症状が出てくることもあります。
発生部位によるおもな症状は以下のとおりです。
- 子宮の内側にできるもの(粘膜下筋腫)
- 月経痛がひどい、出血量が増えるなどのほか、不正出血がみられる場合もあります。不妊症や流産の原因になることもあります。
- 子宮の筋肉の内側にできるもの(筋層内筋腫)
- もっともポピュラーなもので、全体の7割がこれにあたるとされます。肥大化すると月経量が多くなったり、重度の月経痛がなど月経困難症の症状があらわれます。
- 子宮の外側にできるもの(漿膜下筋腫)
- 大きくなっても症状を感じることが少ない筋腫ですが、茎部がねじれてしまうと激痛を起こすこともあり、手術が必要になることもあります。
- 子宮の内側にできるもの(粘膜下筋腫)
- 子宮の筋肉の内側にできるもの(筋層内筋腫)
- 子宮の外側にできるもの(漿膜下筋腫)
- 療法
- 筋腫サイズが小さい、症状が軽微、または無症状の場合には治療は不要です。症状が重いケースでは、手術や投薬で治療します。そのほか子宮動脈塞栓術や集束超音波治療などの選択肢があります。外科的治療が必要な場合は提携病院にご紹介いたします。
症状が軽微、または無症状の場合にも治療は不要ではありますが、経過観察は必要となりますので、定期的に婦人科の診察を受けることが大切です。
子宮筋腫に根本的な治療薬はありませんが、筋腫を小さくしたり、出血や月経痛を抑えることはできます。薬の治療約には月経を止める治療(偽閉経療法)や低用量ピル、黄体ホルモン製剤を用いることがあります。
おりもの異常
- おりもの異常とは
- おりものは、生理期間や妊娠中以外の時期に女性の性器から分泌される粘液のことで、膣を通して体内に細菌が入らないようにする、性行為をスムーズにしたり妊娠しやすい状態をつくったりするなど大切な働きをしています。
おりものは、人それぞれで千差万別なのですが、その色や量、匂いなどにいつもと違った様子がみられるときは、何らかの病気を疑う大切なサインとなります。たとえばチーズや酒かす状であったり、色が茶褐色や黄緑色であったり、また悪臭がするなどの場合には病気の可能性があります。
- おりもの異常の原因
- おりものの状態が変化する原因としては、女性ホルモンの分泌の変化からくるものと、性感染症(STD)や良性・悪性の腫瘍など疾患によるものに分けられます。
おりものに変調をきたす原因は女性ホルモン変化と子宮周辺の疾患です。 おりものに、量・色・周期などの変化がみられるときは、放置せずに婦人科の専門医を受診することが大切です。放置すると慢性化することや、深刻な疾病の兆候を見逃すこともありますので、早めに受診するようにしましょう。
子宮頚がんは若い女性に多く見られますが、早期に発見すればほぼ100%の確率で治癒します。初期症状があまりないために気が付いた時には進行してしまっているということも多々あります。年に1度の定期検診で早期発見に努めましょう。
- 疾患が原因のもの
- 代表的なものが性感染症と子宮頚がんやポリープなどの疾患です。 性感染症のおもなものには、膣トリコモナス症、クラミジア感染症、淋菌感染症などがあげられます。
女性の場合、これらの性感染症で症状が強くあらわれることは少ないのですが、おりものの量や臭いなどに変化があらわれることもあります。性行為等思いあたることがある場合には、診断をうけてください。この際、パートナーがある場合はパートナーも受診し治療をうけることも大切です。
良性や悪性の腫瘍、炎症などによる疾患としては子宮頸管ポリープ、子宮頸管炎、子宮がんなどがあげられます。
- 性器クラミジア感染症
- 女性の性感染症としては最も多い疾患です。女性の場合強い症状がでないことが多く、黄色いおりものが多少増える程度です。症状が進行すると、下腹部に痛みを感じたり性交痛を感じたりします。
子宮の入り口を綿棒で拭って検査します。抗菌剤による治療が有効ですので、お薬を処方します。近年クラミジア感染症は耐性が問題になっており、治療後完治したかの再検査を必ずお受けになってください。また、尿、咽頭の検査も別に必要になることがあります。
- 外陰膣カンジダ症、カンジダ性膣炎
- もともと膣にいるカンジダ菌が増殖し、性器が腫れて赤くなる、ただれるなどの症状とともに、強いかゆみを引き起こします。チーズや酒かす状の白いおりものが出ます。
- 淋菌感染症
- 感染後数日で外陰部にかゆみを感じおりものが多少増えます。はっきりした症状が出ず慢性化することもあり、放置すると炎症が尿道や膀胱に拡がります。妊婦が感染した場合、新生児に結膜炎を起こし、失明に至るリスクがあります。
子宮の入り口を綿棒で軽く拭って検査します。抗菌剤による治療が有効です。
- 膣トリコモナス症
- 性交などによって寄生虫に感染し炎症を起こす疾患ですおりものの量が増え、性器に強いかゆみを感じるようになりますが1-2割は無症候性と言われています。進行すると泡のある黄色で強い臭みのあるおりものが出ることが特徴です。
膣分泌液を採取して検査します。尿路系の感染も考慮して内服薬が選択されます。
- 子宮頸管ポリープ
- 子宮頸管とよばれる子宮の入り口にポリープができる疾患です。ポリープは良性の腫瘍です。性交後や、排便時にいきんだ時、スポーツなどのあとなどに少量の出血が少量みられることがあります。
- 子宮頸管炎
- 子宮頸管が細菌感染によって炎症をおこします。黄色や黄緑色で強い臭気のあるおりものが出ることがあります。大腸菌やブドウ球菌のほか、クラミジアなどが原因菌となります。症状が強い場合には下腹部の痛みや腰痛があります。炎症が子宮や骨盤に広がると、発熱や嘔吐などを引き起こします(子宮内膜炎、骨盤腹膜炎)。
- 子宮頸がん
- 子宮頸部のがんで、性行為によってヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することが原因で発症します。初期症状はほとんどありませんが、また生理期間が長くなったり、性交時の出血や不正出血をしたりするなど症状がみられることもあります。
- 疾患が原因のもの
- 性器クラミジア感染症
- 外陰膣カンジダ症、カンジダ性膣炎
- 淋菌感染症
- 膣トリコモナス症
- 子宮頸管ポリープ
- 子宮頸管炎
- 子宮頸がん
子宮頚がんは若い女性に多く見られますが、早期に発見すればほぼ100%の確率で治癒します。初期症状があまりないために気が付いた時には進行してしまっているということも多々あります。年に1度の定期検診で早期発見に努めましょう。
プラセンタ注射
- プラセンタとは
- 「プラセンタ」とは「胎盤」のことです。胎盤は胎児を育てる臓器です。 そんな胎盤には、たくさんの栄養が含まれています。 胎盤を原料にして作られたプラセンタ・エキスは、もともとは肝臓疾患や更年期障害の治療などに使われてきました。
現在では肌荒れ、吹き出物、アトピーなどのお肌の悩み、口内炎、栄養の偏り、肩こり、腰痛、だるさ、身体疲労、自律神経失調症、不眠、ストレスなど、幅広い症状の改善効果があるのではないかと考えられています。
- プラセンタ・エキスの種類
- 注射剤は、人由来の製品であることもさることながら、注射による患部への直接作用と、代謝を受けずに血中に移行して全身へと作用するメリットがあります。
一方、市販品のプラセンタ錠剤や、プラセンタを配合した美容液や化粧品などは、主に豚や馬など動物の胎盤から作られます。 服用したプラセンタの錠剤は、胃腸から全てが吸収されるわけではないことと、消化液により一度分解・変性したのちに吸収され、肝臓で再構築されてから全身に移行します。これは、効率の良い投与方法とは言えません。
従って、プラセンタの効果を十分に得たいと考えるならば、注射による投与のほうが効率的と考えられます。
- メルスモン
- 1965年に厚生省の認可を受けた製剤です。更年期障害、乳汁分泌不全の治療薬として、 使用されてきました。更年期症状があるかたは、こちらをお勧めします。
- ラエンネック
- 1974年に認可を受けた製剤です。これまで肝臓疾患の治療薬として使用されてきました。肝臓病にかかると、 倦怠感や疲労感に悩まされます。 また、 肝臓は新陳代謝をコントロールする 臓器であることから、 本剤を投与することで、 肝臓の働きが良くなり、 種々の作用が発揮される のだと考えられます。
- メルスモン
- ラエンネック
- プラセンタ注射による副作用
- プラセンタ注射を受けた人は、献血ができません。これは、クロイツフェルト・ヤコブ病の原因として知られる「プリオン(悪性タンパク質)」が原料に含まれていた場合に、防ぎきれないことを想定しております。
世界でも胎盤からプリオンが見つかったという事例もないとされていますが、プラセンタ注射を受けると、「100%大丈夫と言いきれない」という考えのもと、このような措置がとられているのです。
本邦では、過去に輸血後肝炎や薬害エイズの問題などが起こってきたこともあり、社会的に慎重にならざるを得ないことが、この措置の背景にあると思われます。
- プラセンタ注射の費用
- 更年期治療で保険適用されるケースもありますが、保険適用外の患者様は1アンプル1800円となります。
※ なお、プラセンタ注射の効果には個人差がありますのでご了承ください。
お電話でのご相談
03-6264-6303