真武湯(しんぶとう)とは
「体が冷えやすく、下痢や軟便を繰り返す」
「立ち上がるとふらつきやめまいを感じる」
「体力が落ち、天候や体調の変化で調子を崩しやすい」
こうした冷えと水分トラブルが重なった不調が続いているときに、選択肢に挙がる漢方薬が真武湯(しんぶとう)です。
真武湯は、体を温める力が低下し、水分代謝がうまく働かなくなった状態を整えるために用いられる漢方薬です。漢方では、こうした状態を「陽虚」を背景とした不調と考えます。
冷えを土台として、めまい、ふらつき、下痢、むくみなどが同時にみられるケースで用いられることが多く、特に高齢者や慢性的に体力が落ちている方に選択されることがあります(参考※1、※2)。
この記事では、真武湯の使われる場面や効果の考え方、体質との相性、構成生薬、副作用や注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点で整理します。
※1 参考:医薬品インタビューフォーム「ツムラ真武湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/030/pdf/030-if.pdf
※2 参考:飯塚病院 漢方診療科「真武湯の活用法」
https://aih-net.com/kanpo/medical/thistime/sinbutou.html
真武湯の効果
真武湯が向くのは、体を温める力が落ち、冷えを土台として複数の不調が重なっている状態です。
単なる冷え症というよりも、冷えに加えて、めまい、ふらつき、下痢、むくみなどが同時にみられるタイプと相性が良い処方です。
臨床現場では、朝起きたときに頭が重くふらつく、体が冷えて下痢や軟便を繰り返す、天候や体調の変化で症状が悪化しやすいといった訴えを伴う場合に処方されることがあります。
特に、体力低下を背景に、循環や体温調節がうまくいかなくなっている状態の是正を目的として用いられます(参考※3)。
ただし、似た症状でも心疾患や内分泌疾患などが背景にある場合もあるため、必要に応じて鑑別や検査を行った上で判断します。
※3 参考:飯塚病院 漢方診療科「真武湯の活用法」
https://aih-net.com/kanpo/medical/thistime/sinbutou.html
真武湯の構成生薬
真武湯は、5種類の生薬で構成される比較的シンプルな漢方薬です(出典※4)。
茯苓、芍薬、白朮、生姜、附子の組み合わせにより、「体を温め、水分の停滞を立て直す」方向性で設計されています。
この中で軸となるのは、茯苓・白朮・附子の組み合わせです。
- 茯苓と白朮は、体内に滞った余分な水分をさばき、水分代謝を整える方向に働きます。
- 附子は、体の深部を温め、冷えによって低下した全身機能を底上げする役割を担います。
- 芍薬と生姜が加わることで、筋緊張や腹部症状をやわらげつつ、消化管を温めながら巡りを助ける構成となっています。
これらが組み合わさることで、冷えを背景に水分がうまく動かなくなった状態を、内側から立て直していく処方となっているのが真武湯の特徴です。
飲んですぐに強い変化を感じるタイプの漢方ではありませんが、冷えと体力低下を土台とした不調に対して、徐々に体調の安定を支えていく漢方薬とされています。
※4 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ真武湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/030/pdf/030-if.pdf
真武湯が向いている人
真武湯が向くのは、体力が充実しているタイプよりも、冷えやすく疲れやすい体質の方です(参考※5)。
手足が冷たく、胃腸の調子が安定しにくい、下痢や軟便を繰り返しやすいといった傾向がみられる場合に処方を検討します。
また、症状が一定せず、天候や体調の変化によって、ふらつきや不調が出たり引いたりするタイプにも相性が良いとされています。
特に、体力低下を背景として冷えと水分代謝の乱れが重なり、めまい・ふらつき・下痢などが同時にみられる状態が一つの目安になります。
※5 参考:巣鴨千石皮ふ科「漢方薬30 真武湯(シンブトウ)」
https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/shimbuto.html
飲み方・服用のタイミング
医療用のツムラ真武湯エキス顆粒では、通常、成人で1日7.5gを1日2〜3回に分けて、食前または食間に服用します(出典※6)。
漢方薬は一般に空腹時の方が吸収が安定しやすく、真武湯も同様に、食前または食間での服用が基本とされています。
食前とは食事の30分〜1時間前、食間とは食後2〜3時間後を指します。
胃腸が弱い方や、冷えが強く服用後に胃部不快感が出やすい場合には、少量のぬるま湯に溶かして飲むことで負担が軽くなることがあります。
真武湯は、飲んですぐに強い変化を感じるタイプの漢方ではなく、冷えや体力低下、水分代謝の乱れといった土台の部分を徐々に整えていく処方です。
数日から数週間かけて、下痢やふらつきが落ち着いたり、体調の波が小さくなったりする形で変化を感じることが多いとされています。
症状が強い場合でも、自己判断で量を増減することは避け、医師と相談しながら継続することが重要です。
※6 出典:添付文書「ツムラ真武湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/030/pdf/030-tenbun.pdf
副作用と注意点
真武湯には附子が含まれているため、体質や体調によっては注意が必要です。
動悸、のぼせ、しびれ感、ほてりなどが現れることがあり、特に冷えが強いからといって自己判断で増量することは避ける必要があります(出典※7)。
また、まれに胃部不快感や悪心、発疹などの消化器症状・皮膚症状がみられることがあります。
真武湯は「体力低下を背景とした冷えと水分代謝の乱れ」に用いられる処方ですが、体質に合わない場合には、かえって違和感が出ることがあります。
心疾患を指摘されている方や、妊娠中・授乳中の方、高齢者では、附子の作用を踏まえた慎重な判断が必要です。自己判断で服用せず、必ず医師に相談しましょう。
※7 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ真武湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/030/pdf/030-if.pdf
真武湯を入手するには?|オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能
真武湯は医療機関で医療用漢方薬として処方できるほか、一般のドラッグストアでも市販薬を購入することは可能です。
ただし、市販薬と医療用では成分量が異なることもあり効果を安定して得るためには医療機関での処方が望ましいケースがあります。
また、冷えやめまい、下痢といった症状は、体質や加齢によるものだけでなく、感染症、貧血、甲状腺疾患、脱水、心疾患、薬剤の影響などが背景にあることもあります。
症状が長く続く場合や、生活に支障が出ている場合は、自己判断で様子を見るよりも早めに医師へ相談することをおすすめします。
『患者目線のクリニック』では、冷えやめまい、下痢といった真武湯が検討される症状だけでなく、イライラ、不眠、肩こり、頭痛、胃腸の不調など、漢方外来で対応している幅広い慢性的な不調について相談が可能です。
年中無休で早朝6時から深夜24時まで診察を受け付けており、仕事の前後や夜間、休日など、自分の隙間時間に相談しやすい体制が整えられています。
全国どこからでも受診可能で、予約、診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結でき、薬の自宅配送または当日にいつもの薬局での受け取りにも対応しています。
真武湯の市販薬|代表的な製品と特徴
真武湯を市販で試したい場合、漢方薬局や一部の販売店を中心に取り扱われている一般用医薬品があります。
冷えを土台として、めまい、ふらつき、下痢、むくみなどが気になるときに、セルフケアの選択肢として検討されることの多い市販薬です。
湧永製薬「サンワロンS顆粒 真武湯」
湧永製薬が製造する真武湯の一般用医薬品(第2類医薬品)です。
顆粒タイプで、水またはぬるま湯で服用する設計となっており、体を温めながら水分代謝の乱れを整える目的で用いられます。
漢方薬特有の風味はありますが、顆粒タイプのため比較的調整しやすく、初めて真武湯を試す場合にも選ばれることがあります。
用法・用量として、15歳以上の成人では通常1回1~2包を1日3回服用します。
冷えや胃腸の弱りが気になる場合でも、自己判断で量を増やさず、用法・用量を守って使用することが重要です。
出典:湧永製薬株式会社「サンワロンS顆粒 真武湯」
千葉漢方薬局「サンワロンS『真武湯』(270錠)」
千葉漢方薬局で取り扱われているサンワロンS「真武湯」は、錠剤タイプの一般用医薬品(第2類医薬品)です。
顆粒が苦手な方でも服用しやすく、継続しやすい形状が特徴です。
錠剤タイプのため携帯性が高く、外出先でも服用しやすい点も特徴の一つです。
一方で、錠数は成人の場合、1回5錠を1日3回とやや多めに設定されているため、服用量については事前に確認が必要です。
出典:千葉漢方薬局
https://chibakanpo.com/item-detail/939468
市販の真武湯はいずれも、冷えを土台とした体調不良に対して取り入れやすい一方、生薬量や構成は医療用漢方薬とは異なります。
症状が長く続く場合や、めまい・下痢・動悸などが強い場合には、市販薬で様子を見るだけでなく、一度医療機関で相談することをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q:どのくらいで効果を感じますか?
個人差はありますが、数日〜1週間ほどで下痢やふらつきが落ち着いてきたと感じる方もいます。
ただし、真武湯は即効性を期待する薬というよりも、冷えや水分代謝の乱れといった体の土台を整えていく処方です。体調の波が小さくなったり、冷えによる不調が出にくくなったりといった変化を、数週間かけて感じるケースも少なくありません。
Q:他の薬や漢方と併用できますか?
他の漢方薬や西洋薬と併用できる場合もありますが、重複する成分が含まれていたり、作用の方向性が異なる薬を服用している場合もあるため注意が必要です。
市販薬や他の漢方をすでに服用している場合は、自己判断で併用せず、医師または薬剤師に相談しましょう。
Q:妊娠中や授乳中でも使えますか?
真武湯は、妊娠中・授乳中の使用について安全性が十分に確立されているわけではなく、特に附子を含む点から慎重な判断が必要とされています。使用を検討する場合は、妊娠週数や体調、症状の程度を踏まえ、医師が有益性とリスクを総合的に判断します(出典※8)。
自己判断での開始や市販薬の使用は避け、必ず医師へ相談してください。
※8 出典:添付文書「ツムラ真武湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/030/pdf/030-tenbun.pdf
まとめ
真武湯は、冷えと体力低下を背景に、水分代謝の乱れが生じている状態に用いられる漢方薬です。
単なる冷え症というよりも、冷えを土台として、めまい、ふらつき、下痢、むくみなどが重なっている場合に、体を内側から立て直す目的で選択されます。
効果は即効性を期待するものではなく、体温調節や水分の巡りといった土台の部分を整えながら、体調の波を徐々に小さくしていくイメージの処方です。
継続することで、「天候や体調の変化に振り回されにくくなった」「冷えに伴う不調が出にくくなった」と感じる方もいます。
もし、
- 冷えやすく体調を崩しやすい
- めまいやふらつきが繰り返し起こる
- 下痢や軟便が続いている
- 体調の波が大きく日常生活に支障が出ている
こうした状態が長引く場合は、市販薬だけで様子を見るのではなく、一度医療機関へ相談することをおすすめします。
冷えや下痢、めまいといった症状の背景に、貧血、感染症、甲状腺疾患、心疾患などが隠れていることもあるためです。
オンライン診療を活用すれば、外来に足を運ぶ余裕がない時でも、自宅や職場から無理なく相談でき、診察から処方、薬の受け取りまでをスムーズに進めることが可能です。
体調が不安定な時こそ、治療を先延ばしにせず取り組める選択肢として検討できます。
「冷えや体調不良を抱えたまま、だましだまし日常を過ごしている」
そんな時、真武湯は体調を立て直す一つのきっかけとして検討する価値のある漢方薬です。
『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わらず(別途システム利用料1,000円)、本日予約の空き枠も確認可能です。
忙しい方や体調が優れない方は、スキマ時間を使って一度相談してみてはいかがでしょうか。
オンライン診療について
オンライン診療と対面診療の違い
専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを使い、好きな場所で受診することが可能です。処方薬はご自宅へ配送します。
オンライン診療の流れ
webから受信日時を予約
予約フォームからご希望の日時を選択してご予約ください。
診察前に問診をWebで回答
予約登録時のメールアドレスへ送信される問診に回答してください。
診察に必要なアプリをインストール
予約完了メールの案内に沿ってアプリをダウンロードのうえ、クレジットカードやマイナンバーカードなどを登録してください。
予約時間に医師と診察
予約時間になったら、スマホのビデオ通話で診察します。
※予約時間前までにアプリホーム画面で「チェックイン」が必要です。
お薬の処方
「配送」または「ご希望の薬局で対面での受け取り」のどちらかを選択できます。
お会計
登録したクレジットカードより診察後にお引き落としさせていただきます。
診察に必要なもの
- 診察時に必要なM3デジカルスマート診察券をインストールしたスマホ
- クレジットカード
- マイナンバーカード(マイナ保険証)、または資格確認書
- (お持ちの方) 医療証、お薬手帳、検査結果など
料金
通常の対面診療時と大きく変わりません。
(例)3割負担の場合の料金
(診察内容によって料金は異なります)
初診
1,000円前後
再診
500円前後
※オンライン診療のシステム利用料として、別途1,000円をいただきます。
※医療証も利用可能です。(東京都以外は各自治体で後日精算が必要)
夜間・早朝等加算について keyboard_arrow_down
診療報酬点数の算定基準に基づき、
下記の時間帯に診療を受けられる方に関して初診料及び再診料に加えて、
夜間早朝等加算をいただいております。
平日 6~8時・18~22時 / 土曜日 6~8時・12~22時
/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
上記時間帯を指定して予約を取られた方も加算の対象となりますので、あらかじめご承ください。
自己負担額
・1割負担の方 50円
・2割負担の方 100円
・3割負担の方 150円
ご利用者様の声
30代 女性
通院だと予約しても待ち時間が非常に長く億劫でしたが、今回のオンライン診療は待ち時間が全くありませんでした。また、薬(処方箋取得)目的のためだけに時間を割いて病院に行くのは面倒でしたが、その負担も軽減されました。
50代 男性
仕事を休んで病院へ行く事がなかなかできないので、好きな場所でスキマ時間に受診できるオンライン診療は本当に助かります。
40代 女性
とても丁寧でオンラインなのに本当に良く診ていただき、話もゆっくり聞いていただきました。普通のクリニックにはいけないです!
10代 男性
土日に診察してもらえるので、とても助かりました。体調が悪い時に病院で長い待ち時間がなく、家で過ごせるのでとても良いと思います。
一般オンライン診療
内科
風邪|咳|のどの痛み|片頭痛(偏頭痛)|花粉症・アレルギー性鼻炎|高血圧|痛風(高尿酸血症)|糖尿病|脂質異常症|生活習慣病|胃痛|逆流性食道炎|便秘|新型コロナウイルス感染症・後遺症 など
呼吸器内科
長引く咳|喘息|COPD など
皮膚科
湿疹|かゆみ|乾燥肌|発疹|皮膚炎|蕁麻疹|ニキビ・吹き出物|ヘルペス|アトピー|多汗症|あせも|汗疱|乾癬|帯状疱疹|口内炎|虫刺され|水虫(検査済みの方)|円形脱毛症(AGA除く)など
アレルギー科
蕁麻疹|喘息|鼻炎|結膜炎|目の充血|花粉症 など
泌尿器科
尿漏れ|頻尿|排尿困難|蛋白尿|尿糖|腎盂腎炎|膀胱炎|前立腺炎|尿路結石 など
頭痛外来
片頭痛(偏頭痛)|緊張型頭痛|ストレスによる慢性頭痛 など
心療内科
ストレスに伴う身体症状(食欲不振、下痢、倦怠感) など
睡眠外来
不眠 など
小児科
風邪|鼻炎|便秘|下痢|発疹|アトピー など
※治療・処方に対して検査が必要になる場合は対面診療をお願いすることがあります。
※以下のような診断書類は心療内科・睡眠外来では発行していません。
傷病手当金支給申請書|休職・復職・病状説明のための診断書|自立支援医療に係る医師の診断書(重度かつ継続に関する意見書含む)|精神障害者福祉手帳に係る医師の診断書|猟銃・美容師などの資格取得書類 など
クリニック紹介
溝尾 朗(院長)
- 千葉大学医学部 卒業
- 資格:医師、日本内科学会認定総合内科専門医、日医認定産業医
白月 遼(代表理事)
- 旭川医科大学 卒業
- 資格:医師、日本外科学会専門医、日本小児学会専門医、がん治療認定医、日医認定産業医
東京 虎ノ門・新橋で対面診療も受診可能
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よくある質問
Q オンライン診療に必要なものは何ですか? keyboard_arrow_down
ビデオ通話ができるスマホ、マイナンバーカード(マイナ保険証)・または資格確認書、クレジットカードがあれば、保険でのオンライン診療を受診できます。
Q 自分の症状でオンライン診療を受けられますか? keyboard_arrow_down
診療内容のセクションに記載されている症状であれば、オンライン診療で対応可能です。ご不明な場合はお気軽にお問い合わせください。
Q 来院は不要ですか? keyboard_arrow_down
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Q 対面診療(外来)より高くなりますか? keyboard_arrow_down
通常の対面診療時と大きく変わりません。システム利用料として別途1,000円をいただきます。
Q 薬の受け取りは、どうするのですか? keyboard_arrow_down
処方薬はご自宅に配送されます。最短で翌日にお届けします。配送料は別途かかります。
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