防已黄耆湯の処方について｜効果・副作用・飲み方を医師が解説

防已黄耆湯とは — 水のめぐりを整える漢方薬

防已黄耆湯の特徴と作用

防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）は、むくみや水太り（いわゆる水ぶとり）が気になる方に用いられる漢方薬です。とくに、下半身がむくみやすい方、汗をかきやすい体質の方に適しています。

漢方医学では、体の中を巡る「水（すい）」という概念があります。この「水」の流れが滞ると、余分な水分が体にたまり、むくみや水太りを引き起こすと考えられています。

体が重くなることで、ひざなどの関節に負担がかかり、はれや痛みが出やすくなることもあります。防已黄耆湯は、体内にたまった余分な水分を外に出し、体のめぐりを整えることで、むくみや水太りを改善し、ひざのはれや痛みにも効果を発揮します。

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出典：クラシエ「漢方の基礎知識３　気血水とは」

https://www.kracie.co.jp/kampo/kampofullife/

ツムラ「防已黄耆湯エキス顆粒

https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/020.html

成分と製剤の特徴

防已黄耆湯には、複数の生薬がバランスよく配合されています。1日量（7.5g）あたりに、以下のような成分が含まれています。

• オウギ（黄耆） 5.0g
• ボウイ（防已） 5.0g
• ソウジュツ（蒼朮） 3.0g
• タイソウ（大棗） 3.0g
• カンゾウ（甘草） 1.5g
• ショウキョウ（生姜） 1.0g

これらの生薬を抽出して乾燥させたエキス（3.75g）が含まれています。

製剤は淡い茶色の顆粒状で、特有の香りがあり、口に含むとほんのり甘みを感じます。添加物として軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、乳糖水和物が使用されています。

出典：ツムラ「防已黄耆湯エキス顆粒添付文書」https://medical.tsumura.co.jp/products/020/pdf/020-tenbun.pdf

防已黄耆湯の適応症

防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）は、体に余分な水分がたまりやすい「水太り体質」の方に用いられる漢方薬です。次のような症状が気になる方に適しています。

• むくみやすく、夕方になると靴がきつくなる
• 下半身や脚が重だるい
• 体が疲れやすく、汗をかきやすい
• ひざなどの関節が腫れて痛い

このような体質の方に見られる、以下のような疾患や症状に応用されます。

腎炎、ネフローゼ、妊娠腎、陰嚢水腫、肥満症、関節炎、筋炎、浮腫（むくみ）、皮膚病、多汗症、月経不順など

体の水分代謝を整え、むくみやだるさ、関節の腫れを改善することで、全身のバランスをととのえる効果が期待されます。

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出典：ツムラ「防已黄耆湯エキス顆粒添付文書」https://medical.tsumura.co.jp/products/020/pdf/020-tenbun.pdf

用法・用量・服用方法・薬価 — 市販薬での購入前に知るべきこと

用法・用量

防已黄耆湯エキス顆粒（医療用）は、通常、成人に1日7.5g（3包）を2〜3回に分けて食前または食間に服用します。

服用回数は体質や症状の程度によって調整されることもあり、体力の状態やむくみの程度を医師が確認したうえで処方されます。

高齢者では、体格や代謝の違いを考慮して量を減らす場合があります。独自の判断で増減することは避け、医師や薬剤師の指示に従って服用してください。

出典：ツムラ「防已黄耆湯エキス顆粒添付文書」https://medical.tsumura.co.jp/products/020/pdf/020-tenbun.pdf

服用時の注意

漢方薬は、食事の影響を受けにくいものもありますが、胃腸への吸収を考慮すると「食前または食間」に飲むのが基本です。

飲み忘れた場合は、次の服用時間に近ければ無理に2回分をまとめて飲まず、1回分だけ服用します。

また、体調や気候によって汗の量やむくみの程度が変わるため、自己判断で中断・再開を繰り返すと効果が安定しにくくなります。継続的に服用する場合は、2〜3週間を目安に経過を見て、効果や変化を医師に伝えることが大切です。

出典：ツムラ「漢方薬の飲み方と効能を知る」https://www.tsumura.co.jp/brand/kampo-communication/kampo-blog/014.html

薬価と保険適用

防已黄耆湯は、健康保険が適用される医療用漢方薬です。医師の診察を受けて処方された場合、薬の費用の一部が保険でカバーされるため、自己負担額は市販薬よりも抑えられます。

各メーカーによる薬価（薬の公定価格）は6.1〜10.1円／gであり、平均薬価は 約8.4円／g です。防已黄耆湯は1日あたり7.5gを服用するため、薬価としては 約63円／日 となります。

健康保険の自己負担割合が3割の場合、1日あたりの自己負担額は 約18.9円前後、

1か月（30日）服用した場合でも 約570円程度 が目安です。

同じ防已黄耆湯でもメーカーによって成分抽出の方法や味、溶けやすさに違いがありますが、医療機関で処方される場合は基本的に薬効成分量が一定に保たれています。

また市販薬よりも医療用の方が成分量が明確で、体質に合わせた調整がしやすいという利点があります。

このように、防已黄耆湯は保険が適用されることで、続けやすく、品質も安定した治療が行える漢方薬です。

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出典：Keggデータベース「医療用医薬品：防已黄耆湯エキス」https://www.kegg.jp/medicus-bin/similar\_product?kegg\_drug=D07040

保管方法

防已黄耆湯は湿気を吸いやすいため、直射日光を避け、湿気の少ない場所で保管します。開封後はしっかり封をして、なるべく早めに使い切るようにしましょう。

特に顆粒タイプは湿気で固まりやすく、品質が変化する恐れがあります。小さな子どもの手の届かない場所で保管するようにしてください。

出典：ツムラ「防已黄耆湯エキス顆粒添付文書」https://medical.tsumura.co.jp/products/020/pdf/020-tenbun.pdf

副作用・注意事項・服用できない方

主な副作用

以下のような症状があらわれることがあり、異常を感じたら速やかに服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。

• 間質性肺炎：咳や息苦しさ、発熱など。
• 偽アルドステロン症：低カリウム血症、血圧上昇、むくみの増加、体重増加など。
• ミオパチー：体がだるくなる、手足が弱くなる・けいれん・麻痺など。
• 肝機能障害・黄疸：肝臓の数値（AST, ALT, γ-GTP等）が上がる、肌や白目が黄色くなるなどの症状。
• その他：発疹、発赤、かゆみなど過敏症の反応が起こることがあります。

注意すべきポイント：他のお薬との併用するときは

本剤には「カンゾウ（甘草）」が含まれています。したがって、他のカンゾウを含む漢方製剤（芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など）を併用する場合、生薬の効果が強く出てしまい筋力低下が見られることがあります。（偽アルドステロン症）

ほかの漢方薬やお薬を併用している場合は、必ず医師または薬剤師に伝えて確認してもらいましょう。

服用できない方・慎重投与の方

妊婦、または妊娠している可能性のある女性：治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用されます。

授乳中の方：母乳および乳児への影響を考慮し、服用継続の可否を医師と検討する必要があります。

小児：十分な臨床試験が実施されていないため、使用にあたっては慎重な判断が必要です。

高齢者：生理機能が低下していることが多いため、減量するなど慎重な投与が求められています。

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出典：ツムラ「防已黄耆湯エキス顆粒添付文書」https://medical.tsumura.co.jp/products/020/pdf/020-tenbun.pdf

市販薬としておすすめの防已黄耆湯製品

錠剤タイプと顆粒タイプの違い

防已黄耆湯には、飲みやすさや生活スタイルに合わせて「錠剤タイプ」と「顆粒タイプ」があります。どちらを選ぶかは好みや使いやすさで決めて構いませんが、それぞれに特徴があります。

錠剤タイプは、漢方特有の味や香りが苦手な方に向いています。

苦味を感じにくく、薬の匂いもほとんど気にならないため、漢方を初めて試す方にも取り入れやすい形です。

また、個包装のパウチになっている製品が多く、持ち歩きや外出時の服用にも便利です。

一方、顆粒タイプは粉末状で、水やお湯に溶かして服用する形式です。

口に入れたときにすぐ溶けるため、錠剤よりも飲み込みやすいと感じる方もいます。

1回分ずつ個包装されていることが多く、飲み忘れを防ぎたい方や、旅行・出張などで携帯したい方にも適しています。

出典：生漢煎「防已黄耆湯」https://wellness.sokuyaku.jp/pages/shokansen-boi?srsltid=AfmBOoqZWiKMlOSq9ihsUadMSMG3FqWz7bosn1TKFFJiJkX-jUnIYava

代表的な市販の防已黄耆湯製品

現在、市販されている防已黄耆湯には複数の製品があります。それぞれの特徴を簡単に紹介します。

• 防已黄耆湯エキス錠Fクラシエ（180錠：12日分）

服用しやすい錠剤タイプ。疲れやすく、むくみやすい人に。多汗や水太り体質に用いられます。

• ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒（20包：10日分/48包：24日分）

市販の防已黄耆湯は、医療用に比べて生薬の量が控えめに調整されているため（1/2）、体への負担が少なく設計されています。また、粉末状の顆粒タイプなので、錠剤を飲み込みにくい方にも使いやすい形です。

• コッコアポL錠（60錠/312錠）（クラシエ）：防已黄耆湯をベースとした第2類医薬品で、下半身が太く見える、むくみや脂肪に適しています。

いずれの製品も第2類医薬品に分類され、薬局やドラッグストア、または通販サイトで購入が可能な商品です。

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出典：

クラシエ「防已黄耆湯エキス錠Fクラシエ」https://www.kracie.co.jp/products/ph/1202024\_2220.html

ツムラ「ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒」https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/020.html#productInfo

クラシエ「コッコアポL錠」https://www.kracie.co.jp/products/ph/1201772\_2220.html

市販薬を選ぶ際のポイント

体質に合った製品を選ぶ

防已黄耆湯は「水太り体質」で非活動的で疲れやすい方に合う漢方です。逆にエネルギッシュで熱感がある方には合わない場合があります。

成分量・服用回数を確認する

製品ごとに1日量や有効成分量が異なるため、表示をよく確認しましょう。

効果の実感まで時間がかかる

漢方薬は即効性よりも体質の改善を目的とするため、2〜4週間ほど続けてみてから効果を判断するのが一般的です。市販の防已黄耆湯は食品やサプリメントとは異なり、医薬品としての効果が期待できる製品です。

市販薬を使用する際の注意点

防已黄耆湯は市販薬として手軽に入手できますが、体質に合わないまま続けると、十分な効果が得られないだけでなく、むくみやだるさが悪化することもあります。

また、この漢方には「カンゾウ（甘草）」が含まれており、長期間の服用では血圧の上昇や肝機能の異常などの副作用がみられる場合があります。

とくに、疲れやすい・脚のむくみが取れにくいといった症状が続くときは、からだの状態を確認しながら服用を続けることが大切です。

医師と相談しながら体調の変化を見守ることで、安心して継続することができます。

最近では、自宅から受診できるオンライン診療でも防已黄耆湯の処方が可能です。

オンライン診療では、医師が体質や症状を丁寧に聞き取り、あなたのからだに合った漢方を提案してくれるため、忙しい方でも無理なく相談できます。

防已黄耆湯を続けるなら、医師と相談しながら安心に

なぜ市販薬だけで済ませないほうがよいか

防已黄耆湯は市販でも購入できますが、本来は「体質」によって効果が大きく変わる漢方薬です。

むくみや水太りといっても、原因は人それぞれで、冷えが強い方、疲労がたまりやすい方、あるいはホルモンバランスの影響がある方など、背景はさまざまです。

自己判断で服用を続けてしまうと、体に合わないまま使い続けて効果が出ないばかりか、肝機能の異常やむくみの悪化など副作用につながることもあります。

そのため、症状が続く場合は、医師に体調や生活習慣を含めて相談しながら、自分に合った漢方を選ぶことが大切です。

忙しい方におすすめのオンライン診療

最近では、スマートフォンやパソコンから医師に相談できるオンライン診療が広く利用されています。

通院の時間が取りにくい方でも、自宅から体質や症状を詳しく伝えられるため、生活リズムを崩さずに受診できます。

オンライン診療では、医師が問診を通して、体の特徴やこれまでの経過を確認し、必要に応じて防已黄耆湯を含む漢方薬を処方します。

診療後は薬局から薬が自宅に配送されるため、来院の手間がありません。

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忙しいあなたでも、いつでも受診できる「患者目線のクリニック」

漢方治療は、体のバランスを整えながら少しずつ体質を改善していくため、継続的な診察とフォローが大切です。とはいえ、仕事や家事、育児などで通院の時間をとるのが難しいという方も多いでしょう。

「患者目線のクリニック」では、そんな忙しい方でもご自宅から安心して相談できるオンライン診療を行っています。

スマートフォンやパソコンがあれば、場所を選ばずに医師に相談でき、体質や症状に合わせて防已黄耆湯などの漢方薬を処方してもらうことが可能です。

以下に、その手順と予約方法をご紹介します。

1.Webから受診日時を予約

まず、予約フォームからご希望の日時を選択し、オンライン診療の予約を行います。予約は24時間対応しており、当日予約も可能です。

2.診察前に問診をWebで回答

予約完了後、登録したメールアドレスに問診票が送信されます。診察前にWeb上で問診に回答してください。

3.診察に必要なアプリをインストール

予約完了メールの案内に従い、オンライン診療に必要なアプリ「M3デジカルスマート診察券」をスマートフォンにダウンロードし、クレジットカードや保険証の情報を登録します。

4.予約時間に医師と診察

予約時間になったら、スマートフォンのビデオ通話を通じて医師の診察を受けます。診察前にアプリのホーム画面で「チェックイン」を行ってください。

5.お薬の処方

診察後、医師が必要と判断した場合、処方箋が発行されます。

薬は薬局での受け取り以外に、自宅への発送を選ぶこともできます。

• 配送：薬を自宅へ配送してもらう方法です。
• 薬局での受け取り：ご希望の薬局で対面で受け取る方法です。

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6.お会計

診察後、登録したクレジットカードから診察料や薬代が自動的に引き落とされます。オンライン診療のシステム利用料として、別途1000円がかかります。

診察に必要なもの

スマートフォン、クレジットカード、健康保険証、（お持ちの方）医療証、お薬手帳、検査結果など。詳しくは、患者目線のクリニックのオンライン診療をご覧いただき、ご不明点などはお問い合わせしてください。

よくある質問（FAQ）

Q. 防已黄耆湯は痩せ薬ですか？

防已黄耆湯は「脂肪を直接減らす薬」ではなく、体にたまった余分な水分を排出してむくみや水太り体質を改善する漢方薬です。

そのため、体質が合えば見た目がすっきりしたり、体重が軽く感じられることがありますが、急激に体重が減るような作用はありません。

Q. どれくらい飲み続けると効果が出ますか？

個人差がありますが、体のめぐりを整える漢方薬のため、4週間ほど継続して少しずつ変化を感じる方が多いです。

むくみや疲れやすさなど、日常の体調変化を観察しながら続けることが大切です。

長期間の服用を考えている場合は、医師と相談しながら経過を確認しましょう。

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Q.他の薬やサプリと一緒に飲んでも大丈夫ですか？

サプリや漢方薬の中には、防已黄耆湯と似た成分を含むものもあります。

複数の製剤を同時に使うと、作用が重なって筋力低下やむくみの悪化などを起こすおそれがあります。

自己判断せず、服用中の薬をすべて医師に伝えて確認するようにしましょう。

Q. 市販薬と医療用の防已黄耆湯はどう違うのですか？

どちらも主成分は同じですが、医療用は成分量や配合バランスが安定しており、体質に合わせて処方量を調整できる点が異なります。

また一般的に、市販薬は多くの人が安全に使用できるように配慮されており、医師の処方薬と比べて成分の量が控えめに設定されていることが多いとされています。

まとめ ― 自分に合った漢方で、体のめぐりをととのえる第一歩に

防已黄耆湯（ぼういおうぎとう）は、むくみやすい体質、水太り、汗をかきやすい方などに用いられる代表的な漢方薬です。体の「水のめぐり」を整えることで、むくみやだるさ、関節の腫れなどを改善し、全身のバランスをととのえます。

市販薬でも購入できますが、体質に合わないまま飲み続けると、効果が出にくいだけでなく、体調を崩すおそれもあります。

詳しくは医師または薬剤師に相談し、関連する他の疾患や体質の違いに応じて調整を受けることが大切です。

本記事の内容は、現時点の医療情報に基づいたものです（2025年10月現在）。以上を参考に、無理なく安全に防已黄耆湯を取り入れてみてください。

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