補中益気湯とは
「風邪を引いたあと、微熱やだるさだけが抜けない」
「少し動くだけで息が上がる」
「疲れやすく、午後になると集中力が落ちる」
こうした回復しきらないだるさが続いているときに、選択肢に挙がる漢方薬が補中益気湯です。
補中益気湯は、古くから体力の消耗や疲労感、倦怠感、長引く微熱、食欲低下、息切れなどを伴う状態に使われてきた処方で、身体の中心(中焦)を補い、気の巡りを整える方向性で設計されています(※1)。
特に、風邪の後に「熱は下がったのに体力が戻らない」「動くとしんどい」「午後になると症状が悪化する」、いわゆる病後虚弱や疲弊した身体の底上げに向く漢方薬として知られています。
この記事では、補中益気湯の効果、体質との相性、構成生薬、注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点で整理します。
※1 参考:医薬品インタビューフォーム「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-if.pdf
補中益気湯の効果
補中益気湯が向くのは、疲労が続き体力が回復しにくい状態です。階段や立ち仕事、会話といった日常動作で息切れしやすく、午後に入るとガス欠のように疲れが強まるタイプと相性が良い処方です。
また、風邪や体調不良の回復期に、微熱・倦怠感・食欲低下が続く場合にも検討されることがあります(※2)。
臨床現場では、
- 風邪は治ったのに疲れだけ残る
- 微熱が続く
- 食欲が落ち、体調が戻らない
- 気力や集中力が続かない
といった状態で処方されることが多く、特に慢性的な疲労に自律神経の乱れや胃腸の弱りが重なる場合に向きます。
ただし、似た症状でも他の疾患が背景にあることもあるため、必要に応じて鑑別や検査を行った上で判断します。
※2 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-if.pdf
補中益気湯の構成生薬
補中益気湯は、比較的多めの生薬で構成されています(出典※3)。
その中でも中心となるのが、人参、黄耆(おうぎ)、当帰、柴胡、白朮、甘草、生姜、大棗、陳皮、升麻といった組み合わせで、「気を補い、消耗した身体を立て直す」方向性で組まれています。
特に重要なのは、
- 人参・黄耆・白朮:消耗した身体の基礎体力を支える
- 柴胡・升麻:気の巡りを高め、体の“持ち上がらなさ”を改善へ向ける
- 当帰:血の巡りを整え、倦怠感や疲労感に伴う停滞感へ寄与
という役割の分担です。
飲んですぐに劇的に効く漢方ではないものの、回復しきらない疲労や慢性的なだるさに対して、徐々に体調の底上げをしていく処方です。
※3 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ補中益気湯(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-if.pdf
補中益気湯が向いている人
補中益気湯が向く体質は、次のような特徴があります(出典※4、参考※5)。
- 疲れやすく、午後になると症状が悪化しやすい
- 少しの運動や会話で息切れする
- 食欲が弱く、胃腸が疲れやすい
- 微熱や立ちくらみ、頭がぼーっとする感覚が残る
- 風邪後・病後に体力が戻らない
特に、「疲れが回復せず長引く身体」という点が大きなポイントです。
仕事や育児、看病、過労などにより体力が消耗し、そこにストレスや生活リズムの乱れが重なった時期にも相性が良い印象があります。
※4 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ補中益気湯(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-if.pdf
※5 名城大学特設サイト「第22回漢方処方解説(7)補中益気湯」https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2015/022.html
飲み方・服用のタイミング
通常、成人では1回1包を1日2〜3回に分けて、食前または食間に服用します(出典※6)。
漢方薬は基本的に空腹時の方が吸収が安定しやすく、補中益気湯でもその傾向は同じです。
食前とは食事の30分〜1時間前、食間とは食後2〜3時間後を指します。
胃腸が弱い方では、少量のぬるま湯に溶かして飲むと負担が軽くなる場合があります。
補中益気湯は即効性ではなく体調の土台を整えていく処方のため、「飲んですぐ効果を感じる」よりも、数日〜数週間で少しずつ体力が戻る感覚が出てくることが多いです。
途中でやめたり量を変えると効果が安定しにくいため、自己判断ではなく医師と相談しながら続けることをおすすめします。
※6 出典:添付文書「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-tenbun.pdf
副作用と注意点
補中益気湯は比較的使いやすい漢方ですが、甘草を含むため偽アルドステロン症には注意が必要です。
むくみ、倦怠感、手足の脱力、血圧上昇、低カリウム血症などが現れることがあります(出典※7)。
また、胃腸が極端に弱い方では、まれに胃部不快感・軟便・腹部膨満感が出ることがあります。
補中益気湯は「気虚(エネルギー不足)+脾胃の弱り」がある人に用いますが、体質に合わない場合は逆に胃腸に負担がかかることがあります。
高血圧、心疾患、腎機能障害を持つ方や、他の甘草含有薬を併用している場合は、医師によるフォローが重要です。
※7 出典:添付文書「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-tenbun.pdf
補中益気湯を入手するには?|オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能
補中益気湯は医療機関で医療用漢方薬として処方できるほか、一般のドラッグストアでも市販薬を購入することは可能です。
ただし、市販薬と医療用では成分量が異なることもあり効果を安定して得るためには医療機関での処方が望ましいケースがあります。
疲労感や倦怠感、微熱、回復しきらない不調は、生活リズム・ストレス・病後だけでなく、甲状腺疾患や貧血、感染症、自律神経失調などが背景にあることも珍しくありません。
症状が長く続く場合や、生活に支障が出ている場合は、市販薬で様子を見るより早めに医師へ相談することをおすすめします。
『患者目線のクリニック』では、疲れや倦怠感といった補中益気湯が向く症状だけでなく、イライラ、不眠、肩こり、冷え、めまい、生理痛など、漢方外来で対応している幅広い慢性的な不調について相談が可能です 。
年間診療件数10万件以上の実績があり、年中無休で早朝6時から深夜24時まで診察を受け付けています。仕事の前後や夜間、休日など、自分の隙間時間に相談しやすい体制が整えられています。
全国どこからでも受診可能で、予約、診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結でき、薬の自宅配送または当日にいつもの薬局で受取にも対応しています。
補中益気湯の市販薬|代表的な製品と特徴
補中益気湯を市販で試したい場合、ドラッグストアで購入できる製品をいくつかご紹介します。体力の落ち込みや回復期の倦怠感が気になるときに取り入れやすく、まずはセルフケアとして検討されることの多い市販薬です。
ツムラ「ツムラ漢方補中益気湯エキス顆粒」
顆粒タイプの第2類医薬品で、成人は通常1回1包を1日2回、食前または食間に服用します。15歳未満は用量が細かく設定されており、年齢に応じて量が減る仕組みです。体力の低下や倦怠感など、日常の疲れに向く製品です。
出典:ツムラ「ツムラ漢方補中益気湯エキス顆粒(ほちゅうえっきとう)」https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/041.html
クラシエ「補中益気湯エキス錠クラシエ」
錠剤タイプの第2類医薬品で、成人では1回4錠を1日3回、食前または食間に服用するのが基本です。小児でも条件付きで服用量が設定されており、顆粒が苦手な方でも続けやすい製品です。疲れやすさや食欲低下などの「虚弱状態」に使われます。
出典:クラシエ 漢方セラピー「補中益気湯エキス錠クラシエ[48錠]」
https://www.kracie.co.jp/products/ph/1202029_2220.html
小太郎漢方製薬「補中益気湯エキス錠N『コタロー』」
こちらも錠剤タイプの第2類医薬品で、成人の通常量は1回5錠を1日3回、食前または食間に服用します。15歳未満は年齢に応じて用量が調整されており、無理なく始めやすい設計です。疲労感や体力の落ち込みに対して選ばれることが多い製品です。
出典:小太郎漢方製薬株式会社「一般用医薬品補中益気湯エキス錠N「コタロー」」
https://www.kotaro.co.jp/product/product_list/detail/%E8%A3%9C%E4%B8%AD%E7%9B%8A%E6%B0%97%E6%B9%AF%EF%BC%88%E3%81%BB%E3%81%A1%E3%82%85%E3%81%86%E3%81%88%E3%81%A3%E3%81%8D%E3%81%A8%E3%81%86%EF%BC%89%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9%E9%8C%A0n%E3%80%8C%E3%82%B3/
市販の補中益気湯はいずれも、日常生活での「疲れやすさ」や「回復しにくさ」に対して取り入れやすい一方、生薬量や細かな構成は医療用と異なることがあります。症状が長引く場合や、持病がある方は、市販薬だけで判断せず一度医療機関に相談することをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q:どのくらいで効果を感じますか?
個人差はありますが、1〜2週間ほどで徐々に「疲れにくい感覚」を実感される方が多い印象です。
慢性疲労・病後の回復目的の場合、数週間〜数ヶ月継続することもあります。
Q:他の薬や漢方と併用できますか?
他の漢方薬や甘草を含む薬剤との併用は、偽アルドステロン症リスクが高まるため注意が必要です。
市販の総合感冒薬にも甘草が含まれていることがあるため、併用の際は必ず医師または薬剤師に確認してください。
Q:妊娠中や授乳中でも使えますか?
妊娠中・授乳中は母体・胎児・乳児への安全性に配慮し、有益性がリスクを上回る場合のみ慎重に使用します(出典※8)。自己判断での開始・中止、市販薬との併用は避け、必ず医師へ相談してください。
※8 出典:添付文書「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/041/pdf/041-tenbun.pdf
まとめ
補中益気湯は、疲労感・倦怠感・微熱・息切れ・食欲低下などを伴い、体力が回復しにくい状態に用いられる漢方薬です。
特に、風邪や感染後、忙しさやストレスをきっかけに「調子が戻らない」「午後から急にしんどくなる」といった回復期の不調と相性が良い処方です。
効果は即効性ではなく、体力の底を支えながら少しずつ回復させていくイメージで継続していくことで、日常生活での「疲れやすさ」が滑らかに改善していくことがあります。
もし、
- 疲れが抜けない
- 微熱やだるさが続く
- 気力や集中力が続かない
- 仕事や生活のパフォーマンスが落ちた
こうした状態が長引く場合は、市販薬だけで様子を見るのではなく、一度医療機関へ相談することをおすすめします。似た症状でも、貧血・甲状腺疾患・自律神経失調・感染症など、別の原因が隠れていることもあるためです。
オンライン診療を活用すれば、外来に行く余裕がない時でも、自宅や職場から相談でき、処方から受け取りまでを無理なく進めることが可能です。忙しい方や体調が優れない時でも、治療を先延ばしにせず取り組める選択肢です。
「体力が戻らないまま毎日をなんとか乗り切っている」
そんな時、補中益気湯は回復のきっかけとして検討する価値のある処方です。
『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わりません(別途システム利用料1,000円が必要です)。本日予約の空き枠も確認可能ですので、お忙しい方はぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
オンライン診療について
オンライン診療と対面診療の違い
専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを使い、好きな場所で受診することが可能です。処方薬はご自宅へ配送します。
オンライン診療の流れ
webから受信日時を予約
予約フォームからご希望の日時を選択してご予約ください。
診察前に問診をWebで回答
予約登録時のメールアドレスへ送信される問診に回答してください。
診察に必要なアプリをインストール
予約完了メールの案内に沿ってアプリをダウンロードのうえ、クレジットカードやマイナンバーカードなどを登録してください。
予約時間に医師と診察
予約時間になったら、スマホのビデオ通話で診察します。
※予約時間前までにアプリホーム画面で「チェックイン」が必要です。
お薬の処方
「配送」または「ご希望の薬局で対面での受け取り」のどちらかを選択できます。
お会計
登録したクレジットカードより診察後にお引き落としさせていただきます。
診察に必要なもの
- 診察時に必要なM3デジカルスマート診察券をインストールしたスマホ
- クレジットカード
- マイナンバーカード(マイナ保険証)、または資格確認書
- (お持ちの方) 医療証、お薬手帳、検査結果など
料金
通常の対面診療時と大きく変わりません。
(例)3割負担の場合の料金
(診察内容によって料金は異なります)
初診
1,000円前後
再診
500円前後
※オンライン診療のシステム利用料として、別途1,000円をいただきます。
※医療証も利用可能です。(東京都以外は各自治体で後日精算が必要)
夜間・早朝等加算について keyboard_arrow_down
診療報酬点数の算定基準に基づき、
下記の時間帯に診療を受けられる方に関して初診料及び再診料に加えて、
夜間早朝等加算をいただいております。
平日 6~8時・18~22時 / 土曜日 6~8時・12~22時
/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
上記時間帯を指定して予約を取られた方も加算の対象となりますので、あらかじめご承ください。
自己負担額
・1割負担の方 50円
・2割負担の方 100円
・3割負担の方 150円
ご利用者様の声
30代 女性
通院だと予約しても待ち時間が非常に長く億劫でしたが、今回のオンライン診療は待ち時間が全くありませんでした。また、薬(処方箋取得)目的のためだけに時間を割いて病院に行くのは面倒でしたが、その負担も軽減されました。
50代 男性
仕事を休んで病院へ行く事がなかなかできないので、好きな場所でスキマ時間に受診できるオンライン診療は本当に助かります。
40代 女性
とても丁寧でオンラインなのに本当に良く診ていただき、話もゆっくり聞いていただきました。普通のクリニックにはいけないです!
10代 男性
土日に診察してもらえるので、とても助かりました。体調が悪い時に病院で長い待ち時間がなく、家で過ごせるのでとても良いと思います。
一般オンライン診療
内科
風邪|咳|のどの痛み|片頭痛(偏頭痛)|花粉症・アレルギー性鼻炎|高血圧|痛風(高尿酸血症)|糖尿病|脂質異常症|生活習慣病|胃痛|逆流性食道炎|便秘|新型コロナウイルス感染症・後遺症 など
呼吸器内科
長引く咳|喘息|COPD など
皮膚科
湿疹|かゆみ|乾燥肌|発疹|皮膚炎|蕁麻疹|ニキビ・吹き出物|ヘルペス|アトピー|多汗症|あせも|汗疱|乾癬|帯状疱疹|口内炎|虫刺され|水虫(検査済みの方)|円形脱毛症(AGA除く)など
アレルギー科
蕁麻疹|喘息|鼻炎|結膜炎|目の充血|花粉症 など
泌尿器科
尿漏れ|頻尿|排尿困難|蛋白尿|尿糖|腎盂腎炎|膀胱炎|前立腺炎|尿路結石 など
頭痛外来
片頭痛(偏頭痛)|緊張型頭痛|ストレスによる慢性頭痛 など
心療内科
ストレスに伴う身体症状(食欲不振、下痢、倦怠感) など
睡眠外来
不眠 など
小児科
風邪|鼻炎|便秘|下痢|発疹|アトピー など
※治療・処方に対して検査が必要になる場合は対面診療をお願いすることがあります。
※以下のような診断書類は心療内科・睡眠外来では発行していません。
傷病手当金支給申請書|休職・復職・病状説明のための診断書|自立支援医療に係る医師の診断書(重度かつ継続に関する意見書含む)|精神障害者福祉手帳に係る医師の診断書|猟銃・美容師などの資格取得書類 など
クリニック紹介
溝尾 朗(院長)
- 千葉大学医学部 卒業
- 資格:医師、日本内科学会認定総合内科専門医、日医認定産業医
白月 遼(代表理事)
- 旭川医科大学 卒業
- 資格:医師、日本外科学会専門医、日本小児学会専門医、がん治療認定医、日医認定産業医
東京 虎ノ門・新橋で対面診療も受診可能
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よくある質問
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Q 自分の症状でオンライン診療を受けられますか? keyboard_arrow_down
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通常の対面診療時と大きく変わりません。システム利用料として別途1,000円をいただきます。
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