苓桂朮甘湯の処方について｜めまい・動悸・ふらつきへの効果と副作用を解説

苓桂朮甘湯とは

「立ち上がるとふらつく」「動悸がして胸が落ち着かない」「天井が回るようなめまいがある」
そんなときに医師が思い浮かべる代表的な漢方が、苓桂朮甘湯（りょうけいじゅつかんとう）です。

苓桂朮甘湯は、体内にたまった“余分な水分”を整え、めまいやふらつき、動悸、息切れなどを改善する処方です。
特に、頭に水がのぼってふわふわするようなめまい、耳鳴り、立ちくらみなどの症状に適しています（参考※1）。

このような症状は、東洋医学では「水毒（すいどく）」や「痰飲（たんいん）」と呼ばれ、体内の水分代謝の乱れが関係しています。苓桂朮甘湯はこの水の偏りを整え、体の内側からバランスを取り戻します。

【自宅からスマホ1台】オンライン診療の詳細を見る

※1 参考：クラシエ 漢方セラピー「苓桂朮甘湯（りょうけいじゅつかんとう）」
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/ryokeijutukanto.html

苓桂朮甘湯の効果・効能

苓桂朮甘湯は、体内に滞った水分が頭部や胸部に偏ることで起こる「めまい」「動悸」「息切れ」を改善します。
東洋医学的には、「痰飲（たんいん）」や「気逆（きぎゃく）」の状態に対して用いられる処方です。

臨床的には、めまい、立ちくらみ、神経性心悸亢進症、メニエール症候群、起立性調節障害、乗り物酔い、息切れ、不安感などに用います（出典※2）。

特に、体力が中等度以下で、疲れやすく、冷えやすい人に適しており、頭重感やふらつきを伴うようなめまい・立ちくらみに効果を発揮します。
また、精神的な緊張からくる胸のつかえや不安感を和らげる働きもあるとされています。

※2 出典：添付文書・薬剤情報「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/039/pdf/039-tenbun.pdf

構成生薬と作用

苓桂朮甘湯は、次の4つの生薬で構成されています（出典※3、参考※4）。

• 茯苓（ブクリョウ）
• 桂皮（ケイヒ）
• 蒼朮（ソウジュツ）
• 甘草（カンゾウ）

茯苓と蒼朮は、体内の水分を外に排出する「利水（りすい）」の働きを持ち、むくみやめまいを改善します。
桂皮は、気の巡りを整えて体を温め、冷えによる循環不良を改善します。
甘草は、他の生薬の作用を調和させ、筋肉や神経の緊張を和らげる作用があります。

これらが組み合わさることで、「水分の滞り」「気の乱れ」「冷え」の3つを同時に整え、めまいやふらつきを根本から改善します。

【待ち時間が少ない】オンライン診療の詳細を見る

※3 出典：ツムラ医薬品インタビューフォーム「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/039/pdf/039-if.pdf
※4 参考：クラシエ 漢方セラピー「苓桂朮甘湯」
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/ryokeijutukanto.html

苓桂朮甘湯が向いている人・使い分けのポイント

苓桂朮甘湯は、「立ちくらみや動悸を感じやすく、体が冷えやすいタイプ」に適しています。
典型的な目安として、以下のような方に処方されます（参考※5、参考※6）。

• 朝起きたときや立ち上がるときにめまいがする
• 頭が重く、ふらつく感じが続く
• むくみやすく、冷えを感じやすい
• 疲れやすく、軽い息切れがある
• 不安感や胸の圧迫感を感じる

これらの症状は、血液や水分の循環が滞り、気の流れが乱れた状態で起こります。
苓桂朮甘湯はそのバランスを整えることで、体の内側から症状を緩やかに改善します。

一方で、体力が充実している方や、顔のほてり・口の渇きなど「熱のこもり」が目立つ場合には、体質が異なるため他の処方が検討されることがあります。

※5 参考：クラシエ 漢方セラピー「苓桂朮甘湯」
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/ryokeijutukanto.html

※6 参考：漢方ナビ「苓桂朮甘湯」
https://www.kamponavi.com/med/994

用法・用量と飲み方

ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）は、成人では1日7.5g（1回2.5gを1日3回）を、食前または食間に水または白湯で服用します（出典※7）。

空腹時に服用することで吸収がよく、体内の水分調整作用が高まりやすくなります。
体を冷やさないように注意し、服用後は安静を保つとより効果的です。

※7 出典：添付文書・薬剤情報「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/039/pdf/039-tenbun.pdf

副作用と注意点

苓桂朮甘湯は比較的安全な薬ですが、構成生薬の甘草（カンゾウ）により、長期服用や併用で偽アルドステロン症を起こすことがあります。甘草は他の漢方にもよく含まれるため、飲み合わせによる過剰摂取にも気をつけましょう。

症状としては、むくみ、倦怠感、血圧上昇、低カリウム血症などが報告されています（出典※8）。

また、発疹・発赤・かゆみなどの過敏症がまれに起こる場合があります。
他の漢方薬や総合感冒薬にも甘草が含まれていることが多いため、重複に注意が必要です。

妊娠中・授乳中の使用は安全性が確立していないため、自己判断ではなく医師に相談しましょう。

【スキマ時間で受診】オンライン診療の詳細を見る

※8 出典：ツムラ医薬品インタビューフォーム「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/039/pdf/039-if.pdf

苓桂朮甘湯の薬価

病院やクリニックで処方される医療用の苓桂朮甘湯は、保険適用で3割負担の場合、5〜7日分で数百円程度です。
（薬価や実費はメーカー・年度により異なります）

苓桂朮甘湯を入手するには？｜オンライン診療でも処方可能

苓桂朮甘湯は、医療機関で処方される医療用医薬品のほか、ドラッグストアや通販でも一般用医薬品（OTC）として購入できます。
体質や症状に合っていれば、薬局で薬剤師や登録販売者に相談して購入することも可能です。

ただし、似た症状を呈する疾患（貧血、メニエール病、自律神経失調症など）も多く、自己判断での長期使用は避けるべきです。
症状を繰り返す、悪化する、または長引く場合には、医師の診断を受けましょう。

近年では、オンライン診療で医師の診察を受け、ツムラ製の医療用苓桂朮甘湯を処方してもらうことも可能です。
たとえば、「患者目線のクリニック」では、診察から決済、薬の配送まで自宅で完結でき、忙しい方でも安心して利用できます。

【24時まで診療】オンライン診療の詳細を見る

よくある質問（Q&A）

Q：どんな人に向いていますか？

苓桂朮甘湯は、体力が中等度以下で、冷えやすく、立ちくらみや動悸を感じやすい人に向いています。特に、頭がふらつく、朝起きたときにめまいがする、むくみやすい、といった症状に適します（出典※9）。

Q：どのくらいで効果が出ますか？

経験則上は早い方だと服用後1〜2週間でふらつきの軽減を感じる方もいらっしゃいますが、個人差があります。

【24時まで診療】オンライン診療の詳細を見る

Q：他の薬と一緒に飲んでも大丈夫？

他の漢方薬や総合感冒薬などに含まれる甘草（カンゾウ）との併用には注意が必要です。過剰摂取により、むくみや低カリウム血症などの副作用が起こるおそれがあります（出典※10）。必ず医師・薬剤師に相談しましょう。

Q：妊娠中でも使えますか？

妊娠中・授乳中は安全性が確立していません（出典※11）。自己判断での服用は避け、必ず医師に相談しましょう。

※9 出典：クラシエ 漢方セラピー「苓桂朮甘湯（りょうけいじゅつかんとう）」
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/ryokeijutukanto.html

※10 出典：ツムラ医薬品インタビューフォーム「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/039/pdf/039-if.pdf

※11 出典：添付文書・薬剤情報「ツムラ苓桂朮甘湯エキス顆粒（医療用）」
https://medical.tsumura.co.jp/products/039/pdf/039-tenbun.pdf

まとめ

苓桂朮甘湯は、体の“水の滞り”と“冷え”によって起こるめまい・立ちくらみ・動悸・息切れなどを整える漢方薬です。
茯苓・桂皮・蒼朮・甘草の4つの生薬が、体内の水分バランスをととのえ、気血の巡りを改善します。

特に、疲れやすく冷えやすい人、立ちくらみやふらつきが気になる人に向いています。
体質を根本から整えることで、めまいや動悸が軽減し、日常生活の快適さを取り戻せます。

ただし、甘草を含む薬との併用や長期服用では注意が必要です。
医師の指導のもと、体質や症状に合わせて適切に使うことが大切です。

オンライン診療の普及により、通院が難しい方でも自宅から診察・処方を受けられるようになりました。
めまいやふらつきに悩むときは、「疲れ」や「ストレス」だけのせいにせず、苓桂朮甘湯のような体質改善の一助を検討してみましょう。
早めのケアが、日々の安定したコンディションにつながります。

【自宅からスマホ1台】オンライン診療の詳細を見る