柴朴湯は市販で買える？効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説

柴朴湯とは

「咳が長引いているのに、検査でははっきりした異常が出ない」

「息苦しさや喉のつかえ感があり、不安になると症状が強くなる」

「気管支症状と同時に、気分の落ち込みや緊張が抜けない」

こうした身体症状と気持ちの不調が重なっている状態で、選択肢に挙がる漢方薬が柴朴湯です。

柴朴湯は、小柴胡湯と半夏厚朴湯という二つの古典処方を組み合わせた漢方薬で、咳や喘鳴などの呼吸器症状に加え、不安感や喉の違和感といった心身の緊張を伴う状態を整える方向性で設計されています（参考※1）。

特に、「気管支症状がなかなか落ち着かない」「緊張やストレスで咳が悪化する」「喉に何か詰まった感じが続く」といった、身体と心理の影響が絡み合うケースで処方されることの多い漢方薬です。

この記事では、柴朴湯の効果、使われる場面、構成生薬、注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点で整理します。

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※1 参考：医薬品インタビューフォーム「ツムラ柴朴湯エキス顆粒（医療用）」

https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003078.pdf

柴朴湯の効果

柴朴湯が向くのは、咳や呼吸器症状が長引く中で、不安感や緊張、喉の違和感といった精神的な要素が重なっている状態です。

臨床現場では、検査では明確な異常が乏しいにもかかわらず、ストレスや不安をきっかけに咳や息苦しさが悪化するなど、単なる気道炎症だけでは説明しきれない経過をたどる場合に、柴朴湯が選択肢となることがあります。

• 咳が慢性化してなかなか切れない
• 喉に何か詰まったような違和感が続く
• 不安になると症状が強くなる
• 検査上は大きな異常がないのにつらさが残る

といった状態が重なっているケースが典型です。

また、漢方医学的には、梅核気と呼ばれる喉のつかえ感や、気の巡りが滞ったような苦しさを伴う状態にも用いられてきた処方であり、身体症状と心理的な緊張の両面を同時に整えることを意図した構成とされています（参考※2）。

ただし、喘息や咳の背景には感染症、アレルギー、心疾患など他の疾患が隠れていることもあるため、必要に応じて西洋医学的な鑑別や検査を行った上で、処方の適否を判断します。

※2 参考：名城大学 特設サイト「第79回 漢方処方解説（40）柴朴湯」

https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal\_medicine/2021/079.html

柴朴湯の構成生薬

柴朴湯は、小柴胡湯と半夏厚朴湯を組み合わせた漢方薬で、複数の生薬がそれぞれ異なる役割を担いながら、呼吸器症状と精神的緊張が重なった状態を整える構成となっています（出典※3）。

中心となるのは、柴胡・黄芩・人参・甘草といった生薬群で、体調の揺らぎや慢性的な不調が続く背景を支える役割を担います。

これに、半夏・厚朴・蘇葉・茯苓が加わることで、喉のつかえ感や胸部の圧迫感、不安や緊張に伴う気の滞りへ働きかけます。

半夏と厚朴は梅核気に代表される違和感の改善を担い、蘇葉は情動の緊張を和らげ、茯苓は不安感や動悸などを含めた全体のバランス調整に寄与します。

柴朴湯は、気道そのものだけでなく、症状を長引かせている心理的・自律神経的背景も含めて整えることを意図した漢方薬です。

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※3 出典：医薬品インタビューフォーム「ツムラ柴朴湯エキス顆粒（医療用）」

https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003078.pdf

柴朴湯が向いている人

柴朴湯が向くのは、体力が極端に落ちているわけではないものの、心身の不調が重なって症状が長引いているタイプです（出典※4、参考※5）。

咳や息苦しさといった呼吸器症状に加えて、不安感や緊張、喉の違和感などが同時にみられる場合に検討されることが多い漢方薬です。

具体的には、

• 咳や喘鳴が続いている
• 喉に何か詰まったような違和感が取れない
• 不安や緊張が強く、症状が悪化しやすい
• 胸が苦しい感じや息苦しさを自覚する
• 検査では大きな異常が指摘されないがつらさが続く

といった特徴が重なっているケースで選択肢になります。

特にポイントとなるのは、「症状そのもの」と「心理的な緊張や不安」が相互に影響し合っている点です。

仕事や人間関係、慢性的なストレスを背景に、呼吸器症状がこじれている印象の方では、柴朴湯が適応しやすいと感じる場面があります。

※4 出典：医薬品インタビューフォーム「ツムラ柴朴湯エキス顆粒（医療用）」

https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003078.pdf

※5 参考：名城大学特設サイト「第79回 漢方処方解説（40）柴朴湯」

https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2021/079.html

飲み方・服用のタイミング

医療用のツムラ柴朴湯エキス顆粒では、通常、成人では1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用します（出典※6）。

柴朴湯も他の漢方薬と同様に、空腹時の方が吸収が安定しやすいとされており、食前や食間での服用が基本となります。

食前とは食事の30分〜1時間前、食間とは食後2〜3時間後を指します。

服用時は水またはぬるま湯で飲むのが一般的で、胃腸が弱い方では、少量のぬるま湯に溶かしてから服用すると負担が軽くなる場合があります。

柴朴湯は、気道症状や喉の違和感、不安感といった状態を徐々に整えていくタイプの処方であり、「飲んですぐに咳が止まる」といった即効性を期待する薬ではありません。

数日から数週間かけて、症状の出方や強さが少しずつ変化してくるケースが多く、途中で自己判断によって中断したり、量を変えたりすると効果が安定しにくくなることがあります。

服用期間や用量については、症状の経過をみながら、医師と相談しつつ調整していくことが大切です。

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※6 出典：添付文書「ツムラ柴朴湯エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/096/pdf/096-tenbun.pdf

副作用・注意点

柴朴湯は比較的使いやすい漢方薬ですが、甘草を含む処方であるため、偽アルドステロン症には注意が必要です。

甘草に由来するグリチルリチン酸の作用により、むくみ、血圧上昇、倦怠感、手足の脱力感、低カリウム血症などが現れることがあります（出典※7）。

甘草は他の漢方薬にも多く含まれるため、漢方薬を併用している場合や、長期にわたって服用する場合には、医師または薬剤師に相談することが大切です。

また、柴朴湯には柴胡を含むため、まれではありますが、間質性肺炎などの重篤な副作用が報告されています（出典※7）。

咳の悪化、息切れ、呼吸困難、発熱などが新たに出現した場合には、速やかに服用を中止し、医療機関を受診する必要があります。

体質的な面では、胃腸が極端に弱い方では、まれに胃部不快感、軟便、腹部膨満感などの消化器症状が出ることがあります。

柴朴湯は、心身の緊張や気の滞りが関与する状態に用いられる処方であり、体質や症状が合わない場合には、かえって不調が強く出ることもあります。

高血圧、心疾患、腎機能障害をお持ちの方、妊娠中・授乳中の方、高齢者では、服用前に医師へ相談し、慎重に使用することが望まれます。

症状の変化を確認しながら、自己判断での継続や中断は避け、医師と相談しつつ調整していくことが大切です。

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※7 出典：添付文書「ツムラ柴朴湯エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/096/pdf/096-tenbun.pdf

柴朴湯を入手するには？｜オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能

柴朴湯は、医療機関で医療用漢方薬として処方されるほか、一般のドラッグストアでも市販薬を購入することは可能です。

ただし、市販薬と医療用では成分量が異なることもあり効果を安定して得るためには医療機関での処方が望ましいケースがあります。

咳や息苦しさ、喉の違和感が長引く場合、その背景には喘息や感染症だけでなく、ストレスや自律神経の乱れ、不安障害などが関与していることも少なくありません。

検査では大きな異常が見つからなくても、症状そのものが生活に支障をきたしているケースでは、自己判断で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診しましょう。

『患者目線のクリニック』では、柴朴湯が検討されるような咳が長引く状態や喉の違和感、不安感を伴う不調に加え、不眠、動悸、イライラ、めまい、胃腸症状など、漢方外来で対応する慢性的な症状について幅広く相談が可能です。

年間診療件数10万件以上の実績があり、年中無休で早朝6時から深夜24時まで診療を行っています。仕事の前後や夜間、休日など、自分の生活リズムに合わせて受診しやすい体制が整えられています。

全国どこからでも受診でき、予約から診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結可能です。

薬は自宅配送のほか、当日にいつもの薬局で受け取ることもできるため、通院の負担を最小限に抑えながら治療を進められます。

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柴朴湯の市販薬｜代表的な製品と特徴

柴朴湯を市販で試したい場合、医療機関を受診する前のセルフケアとして選択できる製品がいくつかあります。

咳や喉の違和感、不安感が絡む不調が続いているものの、すぐに受診するほどではないと感じる段階で検討されることが多い市販漢方薬です。

松浦薬業株式会社「柴朴湯エキス〔細粒〕82」

細粒タイプの一般用医薬品で、柴朴湯エキスを服用しやすい形にした製品です。顆粒よりも粒が細かく、水に溶けやすいため、粉薬が苦手な方でも比較的続けやすい設計となっています。

咳が長引いている、喉に詰まったような違和感が取れない、不安や緊張で症状が悪化しやすいといった、柴朴湯が想定する状態をセルフケアで試したい場合に選ばれることが多い製品です。

出典：松浦薬業株式会社「柴朴湯エキス〔細粒〕82」

https://www.matsuura-gp.co.jp/kampo/1056/

赤尾漢方薬局「柴朴湯 サイボクトウ お手軽煎じ薬」

こちらはエキス剤ではなく、生薬を煎じて服用するタイプの柴朴湯です。あらかじめ刻まれた生薬がセットされており、自宅で比較的簡単に煎じられるよう工夫されています。

エキス製剤よりも漢方薬本来の風味や香りを感じやすく、煎じ薬に慣れている方や、エキス剤では物足りなさを感じる方に向いています。喉の違和感や咳、不安感などが続く状態で、より伝統的な服用方法を試したい場合に検討される製品です。

出典：赤尾漢方薬局「柴朴湯 サイボクトウ お手軽煎じ薬」

https://www.yakuzenyu-yu.co.jp/item/saibokuto_kpc/

市販の柴朴湯はいずれも、咳や喉の違和感、不安感を伴う不調に対して取り入れやすい一方、生薬量や配合の細かな設計は医療用とは異なります。

症状が長引いている場合や、息苦しさが強い場合、持病がある方では、市販薬のみで様子を見るのではなく、早めに医師へ相談し、医療用漢方の処方を含めて検討することをおすすめします。

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よくある質問（Q&A）

Q：どのくらいで効果を感じますか？

個人差はありますが、柴朴湯の場合、数日〜1週間ほどで咳の出方や喉の違和感に変化を感じ始める方がいます。

不安感や緊張が強く関与しているケースでは、2〜3週間ほどかけて症状の波が落ち着いてくることも多く、短期間での即効性というよりは、徐々に整っていく印象の処方です。

症状が慢性化している場合は、数週間以上の継続が必要になることもあります。

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Q：他の薬や漢方と併用できますか？

併用自体がすべて禁止されるわけではありませんが、甘草を含む他の漢方薬や市販薬との併用には注意が必要です。甘草の重複により、偽アルドステロン症や低カリウム血症のリスクが高まる可能性があります。

また、咳止めや感冒薬、喘息治療薬を使用している場合も、症状や治療方針によって調整が必要になることがあります。併用を考える際は、必ず医師または薬剤師に相談してください。

Q：妊娠中や授乳中でも使えますか？

妊娠中・授乳中は、母体や胎児・乳児への影響を考慮し、有益性がリスクを上回ると判断された場合にのみ、慎重に使用されます（出典※8）。

自己判断での開始や、市販薬との併用は避け、必ず医師へ相談したうえで使用してください。

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※8 出典：添付文書「ツムラ柴朴湯エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/096/pdf/096-tenbun.pdf

まとめ

柴朴湯は、咳や喉の違和感、息苦しさといった身体症状に、不安感や緊張といった心理的な要素が重なっている状態に用いられる漢方薬です。

特に、「検査では大きな異常がないのに症状が続く」「不安やストレスをきっかけに咳や息苦しさが悪化する」といった、心身の影響が絡み合う不調と相性が良い処方として知られています。

効果は即効性というよりも、症状の出方や強さを少しずつ整えていくイメージで現れることが多く、継続することで咳や喉の違和感、不安感の波が穏やかになってくるケースがあります。

そのため、短期間で判断するのではなく、経過をみながら医師と相談して使い続けることが大切です。

もし、

• 咳や息苦しさが長引いている
• 喉の詰まり感が取れない
• 不安や緊張で症状が悪化する
• 検査では異常がないと言われたがつらい

といった状態が続いている場合は、市販薬だけで様子を見るより、一度医療機関へ相談することをおすすめします。喘息や感染症、自律神経の乱れなど、背景となる要因を整理した上で処方を検討する必要があるためです。

オンライン診療を活用すれば、外来に行く余裕がない時でも、自宅や職場から相談でき、診察から処方、薬の受け取りまでを無理なく進めることができます。

忙しい方や体調が優れない時でも、治療を先延ばしにせず取り組める選択肢です。

「咳や違和感を抱えたまま、不安と一緒に毎日をやり過ごしている」

そんな時、柴朴湯は心身の緊張をほどく一つの選択肢として、検討する価値のある漢方薬です。

『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わりません（別途システム利用料1,000円が必要です）。本日予約の空き枠も確認できますので、症状が気になる方は気軽に相談してみてください。

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