柴苓湯とは
「夕方になると足が重くてつらい」
「疲れると尿の出が悪く、体がだるくなる」
こうした「水分バランスの乱れ」による不調に用いられることが多い漢方が、柴苓湯(さいれいとう)です。むくみ、尿量の変化、だるさ、頭重感などが重なる体質に合わせて使われる処方で、腎・泌尿器、胃腸、産婦人科領域まで幅広く応用されています。
この記事では、柴苓湯の効果や構成生薬、向いている体質、副作用、正しい飲み方、オンライン診療での処方まで、医師が詳しく解説します。
柴苓湯の効果
柴苓湯は、体の中で「水の巡り」が乱れ、余分な水分が滞りやすくなっている状態に対して、利水と全身調整の両面から働きかける処方です。むくみや尿量の変化、頭重感、だるさ、口渇など、水の偏りに関連した不調が続くときに、巡りを整える目的で用いられることがあります(参考※1)。
※1 参考:添付文書・薬剤情報「ツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016188
柴苓湯の構成生薬
柴苓湯は、小柴胡湯と五苓散を合わせた構成であり、以下のような生薬からなります(出典※2)。
- 柴胡(サイコ)
- 黄芩(オウゴン)
- 半夏(ハンゲ)
- 人参(ニンジン)
- 生姜(ショウキョウ)
- 大棗(タイソウ)
- 甘草(カンゾウ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 猪苓(チョレイ)
- 沢瀉(タクシャ)
- 蒼朮(ソウジュツ)
- 桂皮(ケイヒ)
実際の配合生薬・分量は製剤ごとに添付文書で確認が必要です。
小柴胡湯に含まれる柴胡・黄芩は、体内の熱や炎症の偏りを整える働きがあり、半夏、生姜、大棗、人参、甘草は、胃腸の働きや全身のバランスを支える役割があります。一方、五苓散に含まれる茯苓、猪苓、沢瀉、蒼朮、桂皮は、水分の停滞に関わる症状を調整し、むくみや尿量の変化、頭重感などに対応するための生薬です(出典※2)。
これらの生薬が組み合わさることで、柴苓湯は「水の偏り」と「全身状態の変化」が同時に起こる場面で使いやすい処方として構成されています。
※2 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)」
https://pins.japic.or.jp/pdf/medical_interview/IF00003079.pdf
柴苓湯が向いている人・使い分けのポイント
柴苓湯が向いているのは、水の巡りがもともと乱れやすいタイプです。むくみやすい、気圧の変化で体調が揺れやすい、疲れると尿量が変わりやすいなど、いくつかの「水の偏り」のサインが重なっている場合に選択されることがあります。
水がさばけにくい状態では、だるさや頭重感、口渇が続き、体調の波が大きくなることがあります。こうした「巡りの崩れ」を整える目的で、柴苓湯の利水作用と全身調整のはたらきが補助的に使われることがあります(参考※3)。
妊娠や産後のように、水分バランスが大きく揺れやすい時期も同じで、むくみや倦怠感が続く場合に、全身の巡りを整える選択肢の一つとして用いられることがあります(参考※4)。
ただし、むくみやだるさが長く続く、高熱が出る、強い炎症や急激な体調悪化がみられる場合は、他の疾患が隠れていることもあるため、まずは早めの医療機関の受診が大切です。
※3 参考:巣鴨千石皮ふ科「漢方薬114『柴苓湯(サイレイトウ)』」
https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/saireito.html
※4 参考:医療法人社団 冬城産婦人科医院「産婦人科関連領域での『柴苓湯』の役割」
用法・用量と飲み方
医療用のツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)では、通常、成人1日量を2〜3回に分割し、食前または食間に経口投与することが基本とされています(出典※5)。年齢、体重、症状の程度に応じて、医師が用量や服用回数を調整します。
漢方薬は、空腹時に服用することで生薬成分が吸収されやすく、効果を発揮しやすいと考えられています。食前とは食事の30分〜1時間前、食間とは食後2〜3時間程度を目安とするとよいでしょう。白湯と一緒にゆっくり服用し、その後は体を冷やしすぎないようにすることで、体調の整えやすさを後押しできます。
飲み忘れた場合には、気づいた時点で1回分を服用し、次の服用時間が近い場合は1回分を飛ばして調整します。自己判断で2回分をまとめて服用することは避けるべきです。特に腎機能に不安がある方や、利尿薬を併用している方では、尿量や体調の変化をよく観察しながら、医師や薬剤師と相談して服用を続けることが大切です(出典※5)。
※5 出典:添付文書・薬剤情報「ツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016188
副作用と注意点
柴苓湯の添付文書ではいくつかの副作用や注意点が記載されています(出典※6)。
消化器症状として、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胃部不快感などがあらわれることがあります。もともと胃腸が弱い方や、すでに食欲不振・悪心・嘔吐がある方では、これらの症状が悪化する可能性があるため、症状が気になる場合には早めに医師に相談しましょう。
また、まれではありますが、肝機能障害や間質性肺炎などの重篤な副作用が報告されています。全身倦怠感、黄疸、息切れ、空咳、発熱などが続く場合には、柴苓湯を一旦中止し、速やかに医療機関を受診することが大切です。
そのほかに、腎機能が低下している方や、利尿薬・降圧薬などを服用している方では、水分バランスの変化に注意が必要です。自己判断での長期連用は避け、定期的に医師の診察や血液検査を受けながら使用することが望まれます。
妊娠中や授乳中の使用については、添付文書上、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています。自己判断での服用は避け、必ず医師と相談しましょう。
※6 出典:添付文書・薬剤情報「ツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016188
柴苓湯を入手するには?|オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能
柴苓湯は、医療機関で処方される医療用医薬品のほか、一般用医薬品としてドラッグストアなどで購入できる製品もあります。ただし、医療用と一般用では用法・用量が異なり、安全性を高めるために服用量が調整されている点には注意が必要です。
むくみやだるさ、頭重感などは「体質だから仕方ない」と考えられがちですが、背景には腎疾患、心疾患、内分泌疾患などが隠れていることもあります。市販薬だけで様子を見続けるのではなく、症状が続く場合や生活に支障をきたしている場合には、一度医療機関で診察を受けることがお勧めです。
近年は、オンライン診療に対応したクリニックも増えており、通院の時間が取りにくい方でも、自宅から医師の診察を受け、柴苓湯を含む漢方薬を処方してもらうことが可能です。問診やビデオ通話を通じて、体質・既往歴・服用中の薬剤などを確認したうえで、柴苓湯が合っているかどうかを総合的に判断してもらえます。
たとえば『患者目線のクリニック』のオンライン漢方外来では、柴苓湯を含むさまざまな漢方薬の処方が可能です。年間診療件数10万件以上の実績があり、年中無休で早朝6時から深夜24時まで診察を受け付けています。仕事の前後や夜間、休日など、自分の隙間時間に相談しやすい体制が整えられています。
全国どこからでも受診可能で、予約、診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結でき、薬の自宅配送にも対応しています。
「クリニックに行くほどではないと思っていたけれど、むくみやだるさが続いてつらい」「妊娠中・産後のむくみや水分バランスが気になる」といった場合でも、オンライン診療を入り口に相談し、必要に応じて対面診療や他科受診につなげてもらうことができます。忙しい方や小さなお子さんがいる方にとって、オンライン診療と漢方処方の組み合わせは、負担を減らしながら症状に向き合う有効な選択肢の一つといえます。
柴苓湯の市販薬|代表的な製品と特徴
柴苓湯(さいれいとう)を市販で試したい場合、ドラッグストアで購入できる製品をいくつかご紹介します。急性期のだるさや感染症後の不調、下痢・食欲低下を伴う回復期など、“まだすっきりしない”という場面でセルフケアとして検討されることの多い市販薬です。
小太郎漢方製薬「柴苓湯エキス細粒G『コタロー』」
細粒タイプの第2類医薬品で、成人(15歳以上)は通常1回1包を1日3回、食前または食間に服用します。小児にも年齢に応じた用量が設定され、家族でも使いやすい設計です。
むくみ、口渇、食欲不振、下痢、尿量減少といった「水の偏り」による不調に向き、感染症後の回復が進まない時期や急性胃腸炎の後期に選ばれやすい製品です。
出典:小太郎漢方製薬株式会社「柴苓湯エキス細粒G『コタロー』」
https://www.kotaro.co.jp/iryou/product_list/detail/virtue/d148.pdf
赤尾漢方薬局「柴苓湯 煎じ薬」
構成生薬を煎じて服用するタイプの柴苓湯で、オンライン注文が可能です。エキス顆粒よりも「生薬の風味や効き方をしっかり感じたい」という方に向く製品で、煎じることで体質や症状に合わせた微調整がしやすいのが特徴です。
むくみや倦怠感が強い時期、胃腸の働きが落ちている時期などに、より「漢方らしい手応え」を求める方から選ばれています。
出典:赤尾漢方薬局「柴苓湯 煎じ薬」
https://www.yakuzenyu-yu.co.jp/item/saireito_kpc/
市販の柴苓湯はいずれも、日常生活での「むくみ」「だるさ」「回復しにくさ」に対して取り入れやすい一方、生薬量や構成は医療用と異なることがあります。症状が長引く場合や持病がある方は、市販薬だけで判断せず、一度医療機関に相談することをおすすめします。
よくある質問(Q&A)
Q:柴苓湯の効果はどのくらいで実感できますか?
個人差はありますが、経験的には、体質に合っている場合、1〜2週間ほどでむくみや倦怠感の変化を感じ始める方もいらっしゃいます。
Q:妊娠中や授乳中でも柴苓湯は使えますか?
妊娠中・授乳中の使用については、添付文書上、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することとされています(出典※7)。自己判断での服用は避け、必ず産婦人科医・主治医と相談したうえで使用の可否を決めてください。
※7 出典:添付文書・薬剤情報「ツムラ柴苓湯エキス顆粒(医療用)」
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00016188
Q:他の漢方薬や西洋薬と併用しても大丈夫ですか?
他の漢方薬と併用する場合には、構成生薬の重複に注意が必要です。特に利水作用のある処方や、同じく小柴胡湯系の処方、五苓散を含む処方などと併用する際には、利尿作用や水分バランスへの影響が強まりすぎないよう注意が必要です。自己判断での服用は避け、まずは医師か薬剤師に相談しましょう。
また、利尿薬、降圧薬、腎機能に影響する薬剤などを服用している場合には、尿量や電解質バランスの変化に注意しつつ、主治医と相談しながら併用の可否を判断することが重要です。
まとめ
柴苓湯は、小柴胡湯と五苓散を合わせた処方で、水分バランスの乱れと軽い炎症の双方に働きかけるよう構成されています。水が滞りやすく、全身の巡りが乱れやすい場面で用いられることがあります。
柴胡・黄芩・半夏・人参・生姜・大棗といった生薬が炎症や自律神経の揺らぎを整え、茯苓・猪苓・沢瀉・白朮などの利水薬が余分な水分をさばくことで、むくみ、尿量の変化、頭重感、口渇、倦怠感などに総合的にアプローチします。
一方で、消化器症状、肝機能障害、間質性肺炎などの副作用が報告されていることから、自己判断での長期服用は避け、定期的に医師の診察を受けながら使用することが大切です。妊娠中・授乳中の使用についても、有益性とリスクを慎重に見極める必要があります。
オンライン診療の普及により、忙しくて通院が難しい方や、小さなお子さんがいて外出しづらい方でも、自宅から柴苓湯を含む漢方治療について相談しやすくなりました。特に『患者目線のクリニック』のように、年中無休で早朝から深夜まで診療を行うオンライン漢方外来を利用すれば、仕事や家庭と両立しながら、水分バランスの乱れやむくみ、だるさと向き合う選択肢が広がります。
「昔からむくみやすいから仕方ない」「体質だから諦めている」と感じている場合でも、その裏側には調整可能な要素が隠れていることがあります。気になる症状が続くときは、一人で抱え込まず、医師と相談しながら自分の体質に合った治療を考えてみましょう。『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わりません。本日予約の空き枠も確認可能ですので、お忙しい方はぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
オンライン診療について
オンライン診療と対面診療の違い
専用アプリをダウンロードしたスマホやタブレットを使い、好きな場所で受診することが可能です。処方薬はご自宅へ配送します。
オンライン診療の流れ
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※医療証も利用可能です。(東京都以外は各自治体で後日精算が必要)
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下記の時間帯に診療を受けられる方に関して初診料及び再診料に加えて、
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/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
上記時間帯を指定して予約を取られた方も加算の対象となりますので、あらかじめご承ください。
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・2割負担の方 100円
・3割負担の方 150円
ご利用者様の声
30代 女性
通院だと予約しても待ち時間が非常に長く億劫でしたが、今回のオンライン診療は待ち時間が全くありませんでした。また、薬(処方箋取得)目的のためだけに時間を割いて病院に行くのは面倒でしたが、その負担も軽減されました。
50代 男性
仕事を休んで病院へ行く事がなかなかできないので、好きな場所でスキマ時間に受診できるオンライン診療は本当に助かります。
40代 女性
とても丁寧でオンラインなのに本当に良く診ていただき、話もゆっくり聞いていただきました。普通のクリニックにはいけないです!
10代 男性
土日に診察してもらえるので、とても助かりました。体調が悪い時に病院で長い待ち時間がなく、家で過ごせるのでとても良いと思います。
一般オンライン診療
内科
風邪|咳|のどの痛み|片頭痛(偏頭痛)|花粉症・アレルギー性鼻炎|高血圧|痛風(高尿酸血症)|糖尿病|脂質異常症|生活習慣病|胃痛|逆流性食道炎|便秘|新型コロナウイルス感染症・後遺症 など
呼吸器内科
長引く咳|喘息|COPD など
皮膚科
湿疹|かゆみ|乾燥肌|発疹|皮膚炎|蕁麻疹|ニキビ・吹き出物|ヘルペス|アトピー|多汗症|あせも|汗疱|乾癬|帯状疱疹|口内炎|虫刺され|水虫(検査済みの方)|円形脱毛症(AGA除く)など
アレルギー科
蕁麻疹|喘息|鼻炎|結膜炎|目の充血|花粉症 など
泌尿器科
尿漏れ|頻尿|排尿困難|蛋白尿|尿糖|腎盂腎炎|膀胱炎|前立腺炎|尿路結石 など
頭痛外来
片頭痛(偏頭痛)|緊張型頭痛|ストレスによる慢性頭痛 など
心療内科
ストレスに伴う身体症状(食欲不振、下痢、倦怠感) など
睡眠外来
不眠 など
小児科
風邪|鼻炎|便秘|下痢|発疹|アトピー など
※治療・処方に対して検査が必要になる場合は対面診療をお願いすることがあります。
※以下のような診断書類は心療内科・睡眠外来では発行していません。
傷病手当金支給申請書|休職・復職・病状説明のための診断書|自立支援医療に係る医師の診断書(重度かつ継続に関する意見書含む)|精神障害者福祉手帳に係る医師の診断書|猟銃・美容師などの資格取得書類 など
クリニック紹介
溝尾 朗(院長)
- 千葉大学医学部 卒業
- 資格:医師、日本内科学会認定総合内科専門医、日医認定産業医
白月 遼(代表理事)
- 旭川医科大学 卒業
- 資格:医師、日本外科学会専門医、日本小児学会専門医、がん治療認定医、日医認定産業医
東京 虎ノ門・新橋で対面診療も受診可能
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よくある質問
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Q 対面診療(外来)より高くなりますか? keyboard_arrow_down
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