四逆散は市販で買える？効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説

四逆散（しぎゃくさん）とは

「ストレスがかかると胃が固まるように感じる」
「みぞおちが重く張って、食べると余計に苦しくなる」
「気持ちが乱れると腹痛や食欲の波が出る」

こうした、感情面と胃腸症状が同時に動く状態で検討される漢方薬が四逆散です。

四逆散は、胸やみぞおちの張り、イライラ、気分の乱れによる腹痛、食欲低下などが見られる状態に使われてきた処方で、停滞した気の流れをほどき、こわばった腹部の緊張を緩める作用があります（出典※1）。

特に、ストレスや抑え込んだ感情が引き金となって症状が悪化するタイプ、過敏性腸症候群（IBS）のように症状が波打つタイプ、食欲・気分・腹部症状が同じ方向に揺れる場合に適した処方として知られています。

この記事では、四逆散の効果、体質との相性、構成生薬、注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点で整理します。

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※1 出典：ツムラ四逆散エキス顆粒（医療用）添付文書
https://medical.tsumura.co.jp/products/035/pdf/035-tenbun.pdf

四逆散の効果

四逆散が合いやすいのは、ストレスや感情の負荷がかかると胃腸の動きが滞り、症状に波が出るタイプです。みぞおちのつかえ、胸の張り、食欲の浮き沈みなど、心の揺れと身体症状が同じ方向に動く印象があります。

症状像として整理されているのは、怒りや抑え込んだ感情が胸腹部の停滞として現れるタイプで、症状が一定ではなく良い日と悪い日を繰り返すのが特徴になります（参考※2）。
また、胸の締めつけ、イライラ感、過敏性腸症候群（IBS）のような変動性にも触れられています（参考※3）。

実際の診療では、

• ストレスのあとに胃腸が止まる
• 緊張すると腹部が硬くなる
• 気分と体調が同じ方向に揺れる

といった場面で選択肢に挙がります。症状の幅が一定ではなく、「揺れる」こと自体が特徴になっている場合は特に一致しやすい印象です。

ただ、似た症状でも別の疾患が背景にあることもあるため、必要に応じて検査や鑑別を行いながら判断します。

※2 参考：NPO法人みんなの漢方「vol.7 四逆散」
https://mkampo.net/essay-doctors/vol-7/

※3 参考：巣鴨千石皮ふ科「漢方薬35 四逆散」
https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/shigyakusan.html

四逆散の構成生薬

四逆散は、4種類の生薬で構成されたシンプルな処方です（出典※4）。
中心となるのは、柴胡・枳実・芍薬・甘草の組み合わせで、停滞した気の巡りをほどき、胸腹部の張りや詰まりを緩める方向性で設計されています。

中でも作用の軸になるのが、次の働きです。

• 柴胡・枳実：動かなくなった気の流れを外向きに開き、胸腹部のつかえや緊張をほどく
• 芍薬：ストレス反応や自律神経の揺れに伴う筋緊張・痛みをやわらげる
• 甘草：全体の作用を調整し、過剰な働きにならないよう支える

構成は少ないものの、役割分担は明確で、「詰まって動かなくなった流れを、本来のリズムに戻していく」ためのバランスで構成されています。

飲んですぐに劇的な変化が出るというより、張り詰めた感覚や症状の波が少しずつほぐれていくような変化が出ることが多く、揺らぎながら改善していく印象がある処方です。

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※4 出典：ツムラ四逆散エキス顆粒（医療用）添付文書
https://medical.tsumura.co.jp/products/035/pdf/035-tenbun.pdf

四逆散が向いている人

四逆散が向くのは、ストレスや感情の負荷をきっかけに胃腸の働きが止まり、症状が波のように変動するタイプです（参考※5）。腹痛、食欲低下、膨満感、便通異常などが良い日と悪い日を行き来し、体調が安定しません。

ストレスがかかるとみぞおちが固くなり、胸が詰まる感覚が出ることがあります。緊張や苛立ちがそのまま胃腸の動きに反映され、症状が再燃する流れを繰り返すことが特徴です。

同じ胃腸症状でも、体力の低下が基盤となるタイプではなく、内部の停滞や自律神経のアンバランスが中心にある場合に四逆散と重なります。弱っているのではなく、流れが止まっているという表現のほうが近い状態です。

こうした、感情と身体症状が連動しながら変動する不調では、四逆散が選択肢になります。

※5 参考：巣鴨千石皮ふ科「漢方薬35 四逆散」
https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/shigyakusan.html

飲み方・服用のタイミング

通常、成人では1回1包を1日2〜3回に分けて、食前または食間に服用します（出典※6）。
食前は食事の30〜60分前、食間は食後2〜3時間後が目安です。

四逆散は、胃腸症状やストレス反応の揺れに使われる処方ですが、吸収の面では空腹時の方が作用が届きやすい印象があります。とはいえ、症状が不安定な時期は食事リズムそのものが崩れていることもあるため、厳密さより「無理なく飲めるタイミング」を優先して問題ありません。

飲み忘れた場合は、次の服用時間が近くなければ気づいた時点で服用し、2回分をまとめて飲むことは避けます。自己判断で量を調整せず、体調の変化がある場合は医師と相談しながら続ける方が安全です。

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※6 出典：ツムラ四逆散エキス顆粒（医療用）添付文書
https://medical.tsumura.co.jp/products/035/pdf/035-tenbun.pdf

副作用と注意点

四逆散は比較的使いやすい処方ですが、甘草を含むため偽アルドステロン症には注意が必要です。むくみ、筋力低下、倦怠感、血圧変動、低カリウム血症などがみられることがあります（出典※7）。特に、芍薬甘草湯・小建中湯・半夏瀉心湯など、ほかの甘草含有薬との併用時はリスクが高くなります。

まれに、腹部の違和感やゆるみ、便通の変化が先に出ることがあります。四逆散は停滞している流れを動かす方向性の処方のため、体が動き始める過程で生じる反応としてみられることがあり、量やタイミングを調整すると落ち着くことがあります。

高血圧、心疾患、腎疾患を持つ方、妊娠・授乳中の方、ほかの医薬品を使用中の方では、自己判断で服用せず、かかりつけの医師に相談しましょう。

※7 出典：ツムラ四逆散エキス顆粒（医療用） 添付文書
https://medical.tsumura.co.jp/products/035/pdf/035-tenbun.pdf

四逆散と似た処方との違い

四逆散は、同じくストレスや自律神経の揺れと関係する処方と比較されることがあります。境界を整理すると、四逆散は「体力はあるが、気の流れが停滞し、腹部の緊張や詰まりが中心にある状態」に位置づけられます。

同じ分類でも、処方の目的は少しずつ異なります。

• 四逆湯：冷えや虚弱が基盤にあり、体力低下や寒さが主軸
• 柴胡疎肝湯：緊張が強く、刺すような痛みが前面に出るタイプ
• 半夏厚朴湯：喉のつかえや不安感が主体で、胸部の停滞が中心

一方で四逆散は、ストレスや感情の動きと胃腸症状が連動し、腹部に張りや詰まりが生じるタイプで選択されます（参考※8）。症状が良くなったり悪化したりを繰り返す、波のある経過も判断の手がかりになります。

処方選択では、症状そのものより、「弱っているのか」「詰まっているのか」「感情が身体症状に反映しているのか」が重要です。四逆散はその中で、詰まりと停滞が中心にあるタイプに位置します。

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※8 参考：NPO法人みんなの漢方「vol.7 四逆散」
https://mkampo.net/essay-doctors/vol-7/

四逆散を入手するには？｜オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能

四逆散は医療機関で医療用漢方薬として処方できるほか、一般のドラッグストアでも市販薬を購入することは可能です。

ただし、ストレス反応と胃腸症状が連動するタイプでは、うつ病、不安障害、過敏性腸症候群（IBS）、機能性ディスペプシア、甲状腺異常、自律神経失調症など、ほかの疾患が背景にあることもあります。症状が続く場合や、日常生活に支障がある場合は、市販薬で様子を見るより医師に相談する方が安全です。

『患者目線のクリニック』では、四逆散を含む漢方処方に対応しており、ストレス・不安感・胃腸の揺れ・胸のつかえ・睡眠の乱れといった、四逆散が向く症状について相談することができます。

診療体制は年中無休で、早朝6時から深夜24時まで受診可能です。症状が不安定な時期や、外出や通院が負担となる状況でも、自宅から落ち着いて相談できる環境が整えられています。

診察はオンラインで完結し、予約・診察・決済・薬の受け取りまでスマホで完了します。薬は自宅配送に加えて、希望する薬局で受け取ることも可能なため、生活リズムや体調に合わせて無理なく利用できます。

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四逆散の市販薬｜代表的な製品と特徴

四逆散を市販で試したい場合、ドラッグストアや漢方薬局で購入できる製品がいくつかあります。
ここでは購入しやすい代表的な製品を紹介します。

赤尾漢方薬局「四逆散　シギャクサン（長倉製薬）」

細粒タイプの第2類医薬品で、成人（15歳以上）は通常1回1包を1日3回、食前または食間に服用します。長倉製薬の古方系エキスで、生薬配合がシンプルな四逆散の基本処方に忠実。ストレスで胃腸の調子が乱れやすい方、情緒不安・抑うつ気分・脇腹〜みぞおちのつかえなど「気の巡り」が悪いと感じるタイプに選ばれることが多い製品です。

出典：赤尾漢方薬局「四逆散　シギャクサン　長倉製薬」https://www.yakuzenyu-yu.co.jp/item/sigyakusan30N/

ひだか薬局「四逆散料エキス細粒〔東洋〕」

こちらも細粒タイプの第2類医薬品で、成人は1回1包を1日3回、食前または食間に服用する形式です。
東洋薬行のエキスを用いた製品で、胃腸の停滞感・ストレスによる腹部膨満感・情緒不安定に伴う体調不良に向くタイプです。

出典：ひだか薬局「四逆散料エキス細粒〔東洋〕」
http://8758hidaka.jp/shopping/item_shigyaku.html

市販の四逆散はいずれも、ストレス反応や気分の揺らぎ、腹部の張りなどに対して取り入れやすい一方、生薬量や細かな構成は医療用と異なることがあります。症状が長く続く場合や、精神症状の強い方、胃腸が極端に弱い方は、市販薬だけで判断せず一度医療機関に相談することをおすすめします。

よくある質問（Q&A）

Q：どのくらいで変化が出ますか？

個人差はありますが、数日ほどで腹部の張りや胸のつかえが和らぎ、ストレスによる胃腸症状が揺れにくくなる感覚が出る方もいらっしゃいます。ただし、症状が慢性化している場合は、数週間以上かけて変化が出ることもあります。焦らず医師と相談しながら使うことが大切です。

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Q：市販の漢方薬や他の薬と併用できますか？

併用は可能ですが、四逆散には甘草が含まれており、甘草を含む漢方薬・総合感冒薬・鎮咳去痰薬との併用で偽アルドステロン症（低カリウム血症、むくみ、血圧変動）が起こる可能性があります。
市販の医薬品にも甘草が含まれていることがあるため、自己判断ではなく必ず医師または薬剤師に確認してください。

Q：妊娠・授乳中も使えますか？

妊娠中や授乳中でも使用されることがありますが、必要性と安全性を医師が判断したうえで慎重に使用します（出典※9）。自己判断で開始・中止したり、市販薬と併用することは避け、必ず医師に相談してください。

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※9 出典：ツムラ四逆散エキス顆粒（医療用）添付文書https://medical.tsumura.co.jp/products/035/pdf/035-tenbun.pdf

まとめ

四逆散は、ストレスや感情の負荷をきっかけに胃腸症状が揺れるタイプに向く漢方薬です。
みぞおちのつかえ、食欲の波、腹部の張り、胸の息苦しさ、便通リズムの乱れなど、症状が「良い日と悪い日を行き来する」場合に一致しやすい処方とされています。

効果は劇的な即効性ではなく、乱れていた自律神経や胃腸の動きが少しずつ整っていくイメージです。
そのため、飲んだ直後の変化よりも、数日〜数週間の継続で「不調の波が小さくなる」「食事が負担になりにくい」といった変化が見えてくることがあります。

もし、

• ストレスで胃腸が止まる
• 食べられる日と全く受け付けない日がある
• 感情と症状が連動している
• 自律神経が乱れているように感じる

こうした状態が続く場合、市販薬だけで対応し続けるより、一度医療機関で相談するほうがより安心で、適切な治療選択肢も広がります。

四逆散が合う症状は、身体の問題だけでなく、生活背景やストレス要因が関係していることも多いため、無理に我慢するより、早めに介入するほうが回復が滑らかになることがあります。

オンライン診療であれば、外出がしづらい時期や仕事が忙しい日でも受診しやすく、処方から受け取りまで負担を最小限にできます。忙しい方や体調が優れない時でも、治療を先延ばしにせず取り組める選択肢です。

『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わりません（別途システム利用料1,000円が必要です）。本日予約の空き枠も確認可能ですので、お忙しい方はぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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