小柴胡湯加桔梗石膏は市販で買える？効果や副作用、飲み方、処方薬との違いを医師が解説

小柴胡湯加桔梗石膏（しょうさいことうかききょうせっこう）とは

「風邪は治ったはずなのに、のどの痛みだけが残っている」

「声を出すとヒリヒリする感じが続く」

「抗菌薬を使うほどではないと言われたが、なかなか改善しない」

こうした上気道炎や咽頭炎の症状が長引いている状態で選択肢に挙がる漢方薬が、小柴胡湯加桔梗石膏です。

小柴胡湯加桔梗石膏は、小柴胡湯をベースに、のどの炎症を鎮める生薬を加えた処方で、急性期を過ぎたあとに残る咽頭・喉頭の炎症や違和感を主な対象としています。

発熱や全身症状が落ち着いた後も、のどの痛みや違和感だけが遷延するケースで用いられてきた漢方薬です（参考※1）。

特に、「強い細菌感染ではないが、粘膜の炎症がくすぶっている」状態に向く点が特徴で、抗菌薬の適応になりにくい咽頭症状への選択肢として位置づけられます。

この記事では、小柴胡湯加桔梗石膏の効果、向いている体質、構成生薬、注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点で整理します。

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※1 参考：名城大学特設サイト「第91回 漢方処方解説（46）小柴胡湯加桔梗石膏」

https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2022/091.html

小柴胡湯加桔梗石膏の効果・使われる場面

小柴胡湯加桔梗石膏が想定する中心的な病態は、上気道感染後に残る炎症や、のど周囲の粘膜の熱感・腫脹が持続している状態です。

添付文書上では、咽喉頭炎、扁桃炎、扁桃周囲炎などに伴う症状に用いられる処方として位置づけられています（出典※2）。

発熱や全身症状が前面に出る急性期というよりも、症状が軽快しきらずに残っている段階で検討されることが多い漢方薬です。

臨床現場では、

• 風邪後にのどの痛みだけが長引く
• 声を出すと違和感や痛みが出る
• のどの腫れ感が続く
• 抗菌薬を使うほどではないが不快感が残る

といった状態で処方されることが多く、「炎症はあるが強すぎない」ケースに向きます。

単なる咽頭の乾燥や刺激感だけでなく、軽度〜中等度の炎症が持続している点が、この処方を選ぶ際の重要なポイントです。

※2 出典：添付文書「ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/109/pdf/109-tenbun.pdf

小柴胡湯加桔梗石膏の構成生薬

小柴胡湯加桔梗石膏は、小柴胡湯を基礎に、のどの炎症を抑える生薬を加えた構成が特徴です（出典※3）。

構成生薬は、柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草に、桔梗と石膏を加えた処方で、「炎症を鎮めつつ、粘膜の状態を整える」方向性で設計されています。

その中でも重要なのは、

• 柴胡・黄芩：炎症反応を調整し、体の内側の熱をさばく
• 桔梗：咽喉部の炎症や腫脹に作用し、のど症状に直接働く
• 石膏：熱感や炎症を冷まし、痛みを和らげる
• 半夏・生姜・大棗：消化管を整え、処方全体の吸収と安定性を支える
• 人参：体力の消耗を補い、回復期を下支えする
• 甘草：諸生薬を調和し、処方全体の働きをまとめる

といった役割分担です。

小柴胡湯加桔梗石膏は、単にのどを潤す処方ではなく、炎症を伴う咽頭症状を内側から整える点に特徴があります。

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※3 出典：医薬品インタビューフォーム「ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/109/pdf/109-if.pdf

小柴胡湯加桔梗石膏が向いている人

小柴胡湯加桔梗石膏が向く体質・状態には、次のような特徴があります（参考※4）。

• 風邪後にのどの痛みや違和感が残っている
• 咽頭炎・扁桃炎が軽快しきらず長引いている
• 声を使うと症状が悪化しやすい
• 強い発熱はないが、のどの腫れ感や熱感がある
• 抗菌薬の適応になりにくい咽頭症状が続く

特に、「急性期は過ぎたが、炎症だけが残っている状態」という点が大きなポイントです。

全身状態が著しく悪いわけではないが、咽頭部の不快感が生活に支障をきたしているケースと相性が良い処方です。

一方で、高熱や強いのどの痛み、強い倦怠感などの全身症状を伴う感染症が疑われる場合には、他の治療が優先されます。

※4 参考：巣鴨千石皮ふ科「漢方薬109 小柴胡湯加桔梗石膏」

https://sugamo-sengoku-hifu.jp/medicines/shosaikotokakikyosekko.html

飲み方・服用のタイミング

医療用のツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒では、通常、成人では1日7.5gを2〜3回に分けて、食前または食間に服用します（出典※5）。

食前は食事の30分〜1時間前、食間は食後2〜3時間後を指します。

漢方薬は空腹時の方が吸収が安定しやすく、効果を実感しやすいとされています。

小柴胡湯加桔梗石膏も即効性を期待する薬ではなく、数日〜1週間程度で徐々にのどの違和感や痛みが軽くなるケースが多い処方です。

ただし、のどの痛みが急速に強くなる場合や、飲み込みにくさ、開口障害、発熱の増悪、呼吸のしづらさを伴う場合には注意が必要です。

咽頭痛は、重症化すると扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、命に関わる病態に進展することもあるため、そのような症状がみられる場合は、漢方薬で様子を見るのではなく、速やかに医療機関を受診することが望ましいと考えられます。

※5 出典：添付文書「ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/109/pdf/109-tenbun.pdf

副作用と注意点

小柴胡湯加桔梗石膏は比較的使用される機会の多い漢方薬ですが、注意すべき副作用が明確に知られている処方でもあります。

添付文書上では、間質性肺炎、肝機能障害などの重篤な副作用がまれに報告されています（出典※6）。

発熱、咳、呼吸困難、全身倦怠感、黄疸などが現れた場合には、服用を中止し、速やかに医療機関を受診してください。

また、甘草を含むため、長期投与や他の甘草含有薬との併用では、偽アルドステロン症にも注意が必要です。

むくみ、筋力低下、血圧上昇、低カリウム血症などが疑われる症状がみられた場合も、医師への相談が必要です。

さらに、小柴胡湯加桔梗石膏は咽頭痛や咽喉頭の炎症に用いられる処方ですが、のどの痛みそのものが常に軽症とは限らない点にも注意が必要です。

咽頭痛が急速に悪化する場合や、強い嚥下痛、開口しづらさ、発熱の増悪、呼吸のしづらさを伴う場合には、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、命に関わる病態が背景にある可能性もあります。

そのような場合には、漢方薬の継続や様子見に固執せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。

持病による通院がある方や、他の薬を服用している場合には、自己判断で開始・継続せず、必ず医師に相談したうえで使用してください。

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※6 出典：添付文書「ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/109/pdf/109-tenbun.pdf

小柴胡湯加桔梗石膏を入手するには？｜オンライン診療・患者目線のクリニックでも処方可能

小柴胡湯加桔梗石膏は医療機関で医療用漢方薬として処方できるほか、一般的なドラッグストアでの取り扱いは限られていますが、漢方薬局を中心に煎じ薬タイプとして購入できる製品があります。
ただし、市販薬と医療用では成分量が異なることもあり効果を安定して得るためには医療機関での処方が望ましいケースがあります。

• 風邪や上気道炎のあとに、
• のどの痛みや違和感だけが長引いている
• 声を出すとヒリヒリする感じが続く
• 抗菌薬を使うほどではないと言われたが改善しない

といったケースでは、通院の時間が取れない場合でも、オンライン診療が選択肢となることがあります。

一方で、咽頭痛は軽症に見えても、症状が急激に悪化する場合や、発熱の増悪、嚥下困難、呼吸のしづらさを伴う場合には、扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎など、重篤な病態が背景にある可能性もあります。

そのような場合には、オンライン診療ではなく、対面診療での速やかな評価が優先されます。

『患者目線のクリニック』では、風邪後に残るのどの症状や咽頭違和感といった小柴胡湯加桔梗石膏が考慮されるケースだけでなく、慢性的な咽頭症状、体調不良、疲労感、不眠など、漢方外来で幅広い相談が可能です。

年中無休で早朝6時から深夜24時まで診療を行っており、仕事の前後や夜間、休日など、生活リズムに合わせて相談しやすい体制が整えられています。

全国どこからでも受診可能で、予約から診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結できます。
薬は自宅配送のほか、当日にいつもの薬局で受け取ることもでき、通院の負担を最小限に抑えながら治療を進めることが可能です。

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小柴胡湯加桔梗石膏の市販薬｜代表的な製品と特徴

小柴胡湯加桔梗石膏を市販で試したい場合、一般的なドラッグストアでの取り扱いは限られていますが、漢方薬局を中心に煎じ薬タイプとして購入できる製品があります。

風邪や上気道炎のあとにのどの痛みや違和感が長引いている場合に、セルフケアの一環として検討されることのある市販薬です。

赤尾漢方薬局「小柴胡湯加桔梗石膏 煎じ薬」

こちらは、生薬を煎じて服用するタイプの小柴胡湯加桔梗石膏で、漢方薬局を通じて販売されている煎じ薬製品です。あらかじめ刻まれた生薬を自宅で煎じる形式で、エキス製剤とは異なり、漢方薬本来の形に近い方法で服用できる点が特徴です。

風邪後にのどの痛みや腫れ感が残っている場合や、咽頭炎・扁桃炎が軽快しきらずに長引いている状態を想定した処方設計となっており、のどの炎症や違和感を内側から整える目的で選ばれることがあります。

煎じ薬特有の香りや味があるため、顆粒や錠剤が合わない方や、煎じ薬に慣れている方に向いています。

一方で、煎じる手間や時間がかかる点はデメリットでもあり、忙しい方にとっては負担になる場合があります。また、症状が強い場合や、発熱・嚥下困難・呼吸のしづらさを伴う場合には、市販薬で様子を見るのではなく、医療機関での評価が優先されます。

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出典：赤尾漢方薬局「小柴胡湯加桔梗石膏 煎じ薬」https://item.rakuten.co.jp/akaoyakkyoku/syousaikotukakkyousekousenzi30/

よくある質問（Q&A）

Q：どのくらいで効果を感じますか？

個人差はありますが、数日〜1週間ほどで「のどの痛みが和らぐ」「違和感が軽くなる」といった変化を感じる方が多い印象です。
風邪後や上気道炎後の遷延する咽頭症状では、症状の経過を見ながら1〜2週間程度継続して使用されることもあります。

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Q：他の薬や漢方と併用できますか？

併用できる場合もありますが、小柴胡湯加桔梗石膏には甘草が含まれているため、他の甘草含有薬との併用には注意が必要です。
市販の総合感冒薬や漢方薬にも甘草が含まれていることがあり、知らずに重ねてしまうケースもあります。併用を考える場合は、必ず医師または薬剤師に確認してください。

Q：妊娠中や授乳中でも使えますか？

妊娠中・授乳中は、母体や胎児・乳児への影響を考慮し、有益性がリスクを上回ると判断される場合に限って慎重に使用されます（出典※7）。
自己判断での開始や中止、市販薬との併用は避け、必ず医師へ相談してください。

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※7 出典：添付文書「ツムラ小柴胡湯加桔梗石膏エキス顆粒（医療用）」

https://medical.tsumura.co.jp/products/109/pdf/109-tenbun.pdf

まとめ

小柴胡湯加桔梗石膏は、風邪や上気道炎のあとに残る咽頭・喉頭の炎症や痛みが長引いている状態に用いられる漢方薬です。発熱や全身症状は落ち着いたものの、「のどだけが治りきらない」「違和感や痛みが残っている」といった回復期の不調と相性が良い処方です。

効果は即効性というよりも、のどの炎症を内側から整えながら、少しずつ回復を後押ししていくイメージで、数日から1週間ほどかけて症状の変化をみていくことが多い処方です。

もし、

• 抗菌薬を使うほどではないが不快感が続く
• 声を出すと症状が悪化する
• 風邪は治ったはずなのに、のどだけが治らない

こうした状態が続いている場合は、一つの選択肢として検討される処方です。

一方で、

• のどの痛みが急速に強くなる
• 強い嚥下痛や飲み込みづらさが出てくる
• 発熱の増悪や呼吸のしづらさを伴う

といった場合には、重篤な病態が隠れている可能性もあるため、漢方薬で様子を見るのではなく、早めに医療機関を受診することが大切です。

オンライン診療を活用すれば、外来に行く余裕がない時でも、自宅や職場から相談でき、処方から薬の受け取りまでを無理なく進めることが可能です。
忙しい方や、「まずは相談してみたい」という段階でも、治療を先延ばしにせず取り組める現実的な選択肢といえるでしょう。

「風邪は治ったはずなのに、のどの不調だけが残っている」
そんな時、小柴胡湯加桔梗石膏は回復のきっかけとして検討する価値のある処方です。

『患者目線のクリニック』のオンライン診療は、料金も対面診察と大きく変わりません（別途システム利用料1,000円が必要です）。本日予約の空き枠も確認可能ですので、お忙しい方はぜひ気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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