呉茱萸湯(ごしゅゆとう)とは
「頭痛が起こると、吐き気まで出てくる」
「手足が冷えやすく、体が温まらない感じが続いている」
「胃が弱く、少しの刺激でも気分が悪くなりやすい」
こうした冷えを背景とした頭痛や嘔気、体調不良が繰り返されるときに、選択肢として挙がる漢方薬が呉茱萸湯(ごしゅゆとう)です。
呉茱萸湯は、体の内側が冷えやすく、胃腸の働きも弱りがちな状態を背景として生じる不調を整えることを目的とした漢方薬で、習慣性頭痛、偏頭痛、嘔吐、手足の冷えなどを伴う状態に用いられます(出典※1)。
単に「頭が痛い」「吐き気がある」といった症状そのものだけでなく、
- 冷えると症状が悪化しやすい
- 頭痛と同時に胃の不調や嘔気を伴う
- 体力はあまり強くなく、寒さに弱い
といった、全身状態と消化管の弱さが重なった体質を想定して設計されている点が、この処方の特徴です。
この記事では、呉茱萸湯の効果、向いている体質、構成生薬、注意点、飲み方、オンライン診療での処方について、医師の視点でわかりやすく整理します。
※1 出典:医薬品インタビューフォーム「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/031/pdf/031-if.pdf
呉茱萸湯の効果
呉茱萸湯が検討されるのは、体力が著しく低下しているわけではないものの、冷えを背景として頭痛や嘔気が繰り返される状態です。
寒さに弱く、手足や体の内側が冷えやすい体質で、体調の変化をきっかけに症状が出やすい場合に選択肢となります。
習慣性頭痛や偏頭痛、これに伴う嘔吐などが適応とされており、臨床では、頭痛そのものよりも「冷え」と「胃腸の弱さ」が同時にみられるかどうかが処方判断の軸になります(出典※2)。
頭痛の診断名だけで整理するのではなく、嘔気や胃部不快感、食欲低下などを伴い、全体として「冷えによって体調を崩している」印象がある場合に、呉茱萸湯の適応を検討します(参考※3)。
なお、急激に出現した頭痛、神経学的異常を伴う場合、嘔吐が持続する場合などでは、器質的疾患の除外を優先します。経過や随伴症状を確認したうえで、必要に応じて検査を行い、処方を判断します。
※2 出典:
添付文書・薬剤情報「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/031/pdf/031-tenbun.pdf
※3 参考:
名城大学 特設サイト「第60回 漢方処方解説(26)呉茱萸湯」
https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2019/060.html
呉茱萸湯の構成生薬
呉茱萸湯は、頭痛や嘔気について冷えを背景として生じる全身状態の乱れと捉え、それを内側から温め直すことで整えることを目的とした処方です。
冷えによって体の働きが鈍くなり、頭部や消化管に不調が現れやすい状態を想定しています。
中心となるのは呉茱萸(ゴシュユ)で、ここに人参(ニンジン)、生姜(ショウキョウ)、大棗(タイソウ)が組み合わされています(参考※4)。
呉茱萸は、体の内側を温めながら、冷えによって起こりやすい頭痛や嘔気を和らげる役割を担い、この処方の軸となる生薬です。
生姜は、温める作用を補強しつつ、胃腸の働きを穏やかに支える位置づけとなります。
冷えによって停滞しやすい消化管の動きを助け、嘔気や胃部不快感が前面に出る状態を整える方向に働きます。
人参と大棗は、体力や消化機能の土台を支える役割を担います。
冷えやすく、胃腸が弱い体質では、症状を抑えるだけでなく、全身の回復力を補う視点が重要となるため、これらの生薬が処方全体の安定性を高めます。
呉茱萸湯は、頭痛を即座に抑え込む処方ではありません。
冷えを是正し、胃腸を含めた全身の状態を整えながら、頭痛や嘔気が起こりにくい状態へと徐々に導いていく漢方薬です。
※4 参考:添付文書・薬剤情報「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/031/pdf/031-tenbun.pdf
呉茱萸湯が向いている人
呉茱萸湯が向くのは、寒さに弱く、冷えをきっかけに頭痛や嘔気を繰り返しやすいタイプの方です(参考※5)。
体力が著しく低下しているわけではないものの、手足や体の内側が冷えやすく、体調の変化や気温の低下に伴って症状が出現しやすい傾向がみられます。
体格はやせ型から中等度まで幅がありますが、全体として寒がりで、胃腸が弱く、頭痛が出ると同時に吐き気や肩こり、胃部不快感を伴いやすい点が特徴です。
「冷えると頭が痛くなる」「頭痛が出ると食欲が落ちる、気分が悪くなる」といった訴えがみられる場合には、呉茱萸湯の適応を検討します。
このように、頭痛だけが単独で起こるタイプというよりも、冷えや消化管の弱さを背景として全身の調子が崩れ、その一部として頭痛や嘔気が現れていると考えられる場合に、呉茱萸湯は適した漢方薬となります。
一方で、体力が十分にあり、冷えが目立たず、緊張やストレスが主因と考えられる頭痛では、別の処方が選択されることもあります。症状の強さだけでなく、体質や経過を含めて判断することが重要です。
※5 参考:名城大学 特設サイト「第60回 漢方処方解説(26)呉茱萸湯」
https://www.meijo-u.ac.jp/sp/harbal_medicine/2019/060.html
飲み方・服用のタイミング
医療用のツムラ呉茱萸湯エキス顆粒では、通常、成人では1日7.5g(3包)を、1日2〜3回に分けて、食前または食間に服用します(出典※6)。
漢方薬は一般に空腹時の方が吸収が安定しやすく、呉茱萸湯も同様に、食前または食間での服用が基本となります。食前は食事の30分〜1時間前、食間は食後2〜3時間後を指します。
冷えやすく胃腸が弱い方では、服用後に胃の不快感を覚えることがあるため、少量のぬるま湯に溶かしてゆっくり飲むことで、負担が軽くなる場合があります。
呉茱萸湯は、服用してすぐに頭痛や吐き気を抑え込むことを目的とした処方ではありません。
冷えを是正し、胃腸を含めた全身の状態を整えることで、頭痛や嘔気が起こりにくい状態へと導いていく漢方薬です。数日から1〜2週間ほどで、「冷えると出ていた頭痛が軽くなった」「吐き気を伴う頻度が減った」といった変化を自覚するケースがみられます。
症状が残っている段階で自己判断により服用を中断したり、量を調整したりすると、効果が安定しにくくなることがあります。経過をみながら、医師と相談のうえで、継続の判断や用量調整を行うことが大切です。
※6 出典:添付文書・薬剤情報「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/031/pdf/031-tenbun.pdf
副作用・注意点
呉茱萸湯は、冷えを背景とした頭痛や嘔気に対して用いられる処方ですが、漢方薬であっても適正使用が重要です。体質や体調に合わない場合には、副作用がみられることがあります。
添付文書では、過敏症として発疹や蕁麻疹などの皮膚症状、ならびに肝機能異常(AST・ALT上昇など)が報告されています(出典※7)。服用中に皮膚の異常、倦怠感、食欲不振などがみられた場合には、服用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。
また、呉茱萸湯は体を温める方向に働く処方であるため、体質によっては、のぼせ感や胃部不快感などの消化器症状が出現することがあります。とくに、胃腸が極端に弱い方や、服用後に胃のもたれや不快感が出やすい場合には、体調をみながら慎重に使用します。
妊婦または妊娠している可能性のある方、授乳中の方、小児、高齢者では、治療上の有益性と安全性を考慮したうえで、医師の判断のもとで使用されます(出典※7)。
なお、頭痛や嘔吐を主訴とする場合でも、急激に出現した強い頭痛、神経学的症状を伴う場合、嘔吐が持続する場合などでは、まず器質的疾患の除外が優先されます。呉茱萸湯は、あくまで体質や全身状態を整える治療の一部として位置づけられる処方です。
※7 出典:添付文書・薬剤情報「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/031/pdf/031-tenbun.pdf
呉茱萸湯を入手するには?|オンライン診療でも処方可能
呉茱萸湯は、医療機関で医療用漢方薬として処方されるほか、一般のドラッグストアで市販薬を購入することも可能です。
ただし、市販薬と医療用では配合量や用法が異なる場合があり、冷えを背景とした頭痛や嘔気といった症状を継続的に評価・調整していくためには、医療機関での処方が望ましいケースがあります。
頭痛や吐き気は、片頭痛や体調不良として扱われがちですが、その背景に冷え、胃腸機能の低下、自律神経の乱れなどが関与していることも少なくありません。自己判断で市販薬を使用するよりも、まずは医師に相談し、症状の出方や悪化因子、体質を含めて整理することが重要です。
オンライン診療においても、頭痛の頻度や出現するタイミング、冷えとの関連、嘔気や胃部不快感の有無、これまでの経過、既往歴、服用中の薬剤などを丁寧に確認したうえで、呉茱萸湯が適応となるかどうかを判断します。必要に応じて、他疾患の可能性を考慮し、検査や対面診療への切り替えを提案することもあります。
『患者目線のクリニック』では、呉茱萸湯が適応となる冷えを伴う頭痛や嘔気といった症状だけでなく、漢方外来で対応する慢性的な体調不良について幅広く相談が可能です。全国どこからでも受診でき、予約から診察、決済、薬の受け取りまでをオンラインで完結できます。
薬は自宅への配送に加え、当日にいつもの薬局で受け取ることも可能です。仕事や家事の合間、夜間や休日など、自分の生活リズムに合わせて相談しやすい体制が整っています。
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呉茱萸湯の市販薬|代表的な製品と特徴
呉茱萸湯を市販で試したい場合、ドラッグストアなどで購入できる製品があります。
冷えを背景とした頭痛や吐き気が気になるときに、まずはセルフケアとして検討されることの多い漢方薬です。
クラシエ「呉茱萸湯エキス錠クラシエ」
錠剤タイプの第2類医薬品で、成人では通常1回2錠を1日3回、食前または食間に服用します。
顆粒が苦手な方でも続けやすい点が特徴で、外出時や職場でも服用しやすい製品です。
冷えやすく、頭痛に加えて吐き気を伴いやすい体質の方や、天候や体調の変化で頭痛が出やすい場合に選ばれることがあります。
「冷えると頭が痛くなる」「頭痛と同時に気分が悪くなる」といった症状が気になるときに、市販薬として取り入れやすい選択肢です。
出典:クラシエ「呉茱萸湯エキス錠クラシエ[48錠]」
https://www.kracie.co.jp/products/ph/10172759_2220.html
市販の呉茱萸湯は、冷えを背景とした頭痛や吐き気に対して取り入れやすい一方、生薬量や配合バランスは医療用とは異なります。
症状が長引く場合や、頭痛が強い・頻度が増えている場合、他の症状を伴う場合には、市販薬だけで判断せず、医療機関での評価を受けることをおすすめします。
呉茱萸湯に関するQ&A
Q:どのくらいで効果を感じますか?
個人差はありますが、数日〜1週間ほどで「冷えると出ていた頭痛が軽くなった」「吐き気を伴う頻度が減った」といった変化を感じる方が多い印象です。
冷えや体調変動が主な引き金となっている場合には比較的早く変化が出ることもありますが、頭痛や嘔気が慢性的に続いている場合には、1〜2週間ほどかけて徐々に整っていくケースもあります。
Q:頭痛があれば誰でも使えますか?
呉茱萸湯は、頭痛があれば誰にでも適する処方ではありません。
寒さに弱く、冷えをきっかけに頭痛や嘔気が出やすい体質に向いた漢方薬です。
体力が十分にあり、冷えが目立たない場合や、緊張・ストレスが主因と考えられる頭痛、急激に出現した強い頭痛では、別の処方や検査が優先されることがあります。症状の強さだけでなく、体質や経過を含めて判断することが重要です。
Q:他の薬や漢方と併用できますか?
併用できる場合もありますが、呉茱萸湯を含め、漢方薬は生薬構成が重複することがあります。
処方薬や市販薬、他の漢方薬を併用する場合には、事前に医師または薬剤師へ相談してください。特に、胃腸薬や頭痛薬を常用している場合には注意が必要です。
Q:妊娠中や授乳中でも使えますか?
妊娠中または妊娠している可能性のある方、ならびに授乳中の方では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限って、慎重に使用が検討されます(出典※8)。
自己判断での開始や継続、市販薬との併用は避け、必ず医師に相談したうえで使用の可否を判断してください。
※8 出典:添付文書・薬剤情報「ツムラ呉茱萸湯エキス顆粒(医療用)」
https://medical.tsumura.co.jp/products/031/pdf/031-tenbun.pdf
まとめ
呉茱萸湯は、頭痛や吐き気を単独の症状として切り分けるのではなく、冷えを基盤とした体質の乱れとして捉え、内側から整えていくことを目的とした漢方薬です。
一時的な頭痛というよりも、寒さや体調変化をきっかけに、頭痛とともに嘔気や胃腸の不調が出やすくなっている場合に、その特徴が生きてくる処方といえます。
効果は即効性というより、数日から1〜2週間ほどかけて、
「冷えると出ていた頭痛が和らいできた」「吐き気を伴う頻度が減った」
といった変化が少しずつ現れてくるイメージです。
頭痛そのものだけでなく、体調全体が安定してくる中で、症状を気にする時間が減っていくケースも少なくありません。
もし、冷えると頭痛が起こりやすい、頭痛と同時に吐き気や胃の不快感を伴う、天候や体調の変化で症状がぶり返す、検査では大きな異常がないと言われたものの不調が続いている、といった状態が続く場合には、市販薬だけで様子を見るのではなく、一度医療機関で体質や全身状態を含めた評価を受けることをおすすめします。
頭痛の背景には、片頭痛以外の疾患や、漢方薬だけで判断すべきでない原因が隠れていることもあるためです。
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忙しい時期や外出が負担に感じられる状況でも、体調の違和感を後回しにせず向き合える選択肢といえるでしょう。
「いつもの頭痛だから」「冷えのせいだから」と見過ごされがちな症状の背景に、体質のアンバランスが関与していることもあります。
呉茱萸湯は、そうした状態を整理し直し、頭痛や嘔気と付き合いやすい体調へ立て直すきっかけとして、検討される価値のある処方のひとつです。
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夜間早朝等加算をいただいております。
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/日曜日・祝日 6~22時
3割負担の方は150円、1割負担の方は50円多くいただくことになります。
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※以下のような診断書類は心療内科・睡眠外来では発行していません。
傷病手当金支給申請書|休職・復職・病状説明のための診断書|自立支援医療に係る医師の診断書(重度かつ継続に関する意見書含む)|精神障害者福祉手帳に係る医師の診断書|猟銃・美容師などの資格取得書類 など
クリニック紹介
溝尾 朗(院長)
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